AQUBE MUSIC PRODUCTS
- 2024/11/16
Gibson Custom Shop / Historic Select 1959 Les Paul Reissue Murphy Aged PSL
現代における最高のレス・ポールと誉れ高いTrue Historicシリーズ。このTrue Historicの仕様をベースに、ディーラーからのオーダーに応じて杢目のセレクト(いわゆるハンドセレクト)、カラーリングの指定や様々なモディファイに応じてくれるのがHistoric Selectです。今回、Historic Selectのまさにスペシャル・モデルが到着しました。トム・マーフィーの手によってフィニッシュ&エイジドが施された、数々の名演を残したあの個体を想起させる59バーストの登場です!
週刊ギブソン読者の皆様にはもうお馴染みの、True Historicシリーズ(以下:TH)。しかしながら、Historic Select(以下:HS)についてはまだよくわからないという声も聞きますので、簡単におさらいしましょう(週刊ギブソン第63回も確認してみてください)。
まずTHの基本コンセプトは、ギブソンが当時工場から出荷していた製品をそのまま再現すること。カラーリングも、バースト・モデルはデフォルト3色です。皆さんがレコード・ジャケットや動画、書籍等で見る多種多様なバーストのカラーは経年変化によるもので、初めからギブソンがあのようなカラーで出荷しているわけではありません。それはわかっているけれど、どうしても憧れのギタリストと同じカラー、同じような杢目のギターが欲しいという気持ちも、よく理解できます。そこで、出荷時の状態にこだわることなく、杢目やカラー、ピックアップなどについてディーラーからのカスタム・オーダーを受けるという仕組みがHSプログラムです。もちろんベースとなる仕様はTHのもの、つまり最高グレードです。ときどき、HSを「THの廉価版?」と誤解している人もいますが、とんでもない、むしろアップグレード版なのです。その違いはシリアル・ナンバーに表われます。THはモデルとなった年の数から始まるシリアルで(例えば59モデルなら9 xxxx)、HSは“HS”から始まる専用のナンバー(59モデルならHS9 xxxx)となります。
今回紹介する個体は、HSの59モデルです。この色、杢目、そしてフロント・ピックアップのポールピースが通常と逆の位置になっているこのレス・ポール! レス・ポール好きなら見覚えがありますよね? そうです、数々の名演を残したあの個体をイメージしてオーダーされたものです! ギブソンは2010年にコレクターズ・チョイスの#1としてメルヴィン・フランクスの名前をつけた59レス・ポールをリリースしましたが、限定ということもあり現在は入手困難な状況です。ちなみに、オリジナル器はその後、メルヴィンからカーク・ハメット(メタリカ)に渡ったということです。今回、日本の正規ディーラーがやってくれました! しかも、ベースとなる仕様は最新のTH仕様ですから、その意味では2010年当時のコレクターズ・チョイス以上と言えるかもしれません。
それでは、動画をチェックしてみましょう!
使用アンプ:マーシャルJVM205H(ヘッド)+1960A(キャビネット)
使用シールド:ギブソン18' Purple Gibson Instrument Cable
この杢目、そしてカラー。フィニッシュ&エイジングを担当したのは皆さんご存知、トム・マーフィーその人です。このマーフィー・バーストは、日本からのリクエストによりトム・マーフィーが自らカラーリングするという、HSだけに用意された特別なオプションで、さらに少数生産されるこの「PSL」では、トムの十八番であるエイジングも施されています。ギターをケースから出した瞬間、そのオーラに圧倒されるほどの出来です。サウンドについては、しっかりとハイが出ていて、でも決して耳に痛くない良質なレス・ポールの典型的なトーン。太く粘りがあるのですが、音の解像度が高い、バーストならではのマジカルなサウンドですね。その上で、この個体はサステインが尋常じゃないレベルで伸びます! ゲイリー・ムーアばりの泣きのフレーズが、面白いように弾けるんです。本当にゲイリーが愛用したオリジナル59に触れているような、神聖な気持ちになりました。
それから面白いのはピックアップのセンター・ポジションを選んだ時の、フェイズアウト・サウンド……鼻をつまんだような中音域に、抜ける高域を持った独特のサウンドです。動画では後半に登場します。クセの強い音ですが、動画よりも歪みを落として(できればビンテージ・アンプの歪みで)リバーブを深めにかければ、今度はもう一方の伝説、ピーター・グリーンのような音も作れるかもしれません。
本器は特にゲイリー・ムーアのファンの方には絶対にオススメです。高価なものではありますが、あの音、あのサステインがするギターという点で、実用面でもコレクティブな側面でも、「間違いない1本」と太鼓判を押させていただきます。
※次回の週刊ギブソン〜Weekly Gibsonは11月13日(金)を予定。
価格:¥1,511,000 (税別)