AQUBE MUSIC PRODUCTS
- 2024/11/16
自分の耳型を採取してオーダーメイドする“イヤホンの最高峰”カスタムIEM(カスタム・インイヤー・モニター)の魅力を伝えるべく、ミュージシャンやエンジニアがカスタムIEMを実際に製作しプロの耳で語ってもらう本企画。デジマガでもお馴染みのイヤホン・ヘッドホン専門店「e☆イヤホン」にご協力頂き、前回の記事では、今年結成20周年を迎えたクラムボンのミト、原田郁子、伊藤大助にカスタムIEMを製作体験してもらったが、今回、彼らがオーダーした製品がついに完成したということで、早速そのサウンドを体感頂いたインプレッションをお届けしよう。
前回の記事では、自身の耳型を採取して製作するイヤホンの最高峰、カスタム・インイヤー・モニター(IEM)の製作を行なったクラムボン。製作にご協力頂いたのは、最近渋谷にも新店舗をオープンし、カスタムIEMの普及に努めるイヤホン・ヘッドホン専門店の「e☆イヤホン秋葉原・カスタムIEM店」だ。そこで数あるカスタムIEMブランドの中からクラムボンがチョイスしたのが、「須山補聴器」が手掛けるブランド「FitEar」。詳しい製作の過程、機種の解説は前回の記事を参考にしてほしいが、改めてカスタムIEMの魅力と製作方法についておさらいしておこう。
一般的なイヤホンは、元々付属しているイヤーチップから自分の耳穴のサイズに近いものをセットして使用する。しかし製品によっては、自分の耳にしっかりとフィットするイヤーチップが付属していない場合もある。イヤーチップの形状が耳穴に合っていないと、そこから音漏れなどが起こり、外部の音も侵入しやすくなるため、イヤホン本来の性能を楽しめない原因にもなってしまう。イヤホン自体の性能はもちろんだが、イヤーチップも音質面で大きな役割を担っているため、付属のイヤーチップが合わない場合には、別途購入することをお薦めしたい。
それに対してカスタムIEM最大の特徴は、なんと言っても自分の耳型を採取し、自分の耳にぴったりとフィットするイヤホンを製作できることだ。そのため常に安定した音質を得る事ができ、また耳穴とハウジングのクリアランスが少ないため、外部の音も通しにくくなるなど音質面でのアドバンテージが大きい。さらにハウジング内部に入っているドライバーはモデルによっても様々だが、基本的にはプロがステージ上などでサウンドをモニタリングするために使われることを前提として開発されているため、複数個のドライバー(音を鳴らすための駆動パーツ)を用いて、音を緻密に描き出す方向で作られているものが多い。それ故、近年のイヤホン/ヘッドホン・ブームもあって、その音質の高さが注目され、一般的なリスニングに使うユーザーも増えてきている。そのため、元々は非常に高価であったカスタムIEMも一般ユーザーに向けた、様々なバリエーションのモデルが登場し、以前よりは求めやすい価格が設定されている機種も多くなってきた。今回、クラムボンが製作した「FitEar」も、数多くのモデルを展開するカスタムIEMを得意とするブランドだ。
FitEarは、歯科技工/歯科関連技術(須山歯工)の蓄積と補聴器のノウハウを有する「須山補聴器」が展開するブランド。そのため耳型採取、ハウジングの製作の技術力も高いうえに、代表取締役の須山慶太氏はオーディオや音楽に関する造詣も深く、マスタリング歴40年のベテラン・マスタリング・エンジニアである原田光晴氏のアドバイスもあり、音質面でも高い評価を受けている。
元々は、プロのモニターをベースに開発された音を緻密に聴き分けられるようなモデル「MH334」をメインに据えたラインナップを展開していたが、徐々にその評価が高まり、現在はより楽しく音楽を聴く方向にシフトした「Aya」や「Monet 17」など幅広いカスタムIEMを販売し、様々なニーズに対応できる製品ラインナップが揃う。今回、クラムボンのメンバーが数あるFitEar製品から選んで製作したのは2機種。スタジオモニターとしてのベースは備えながら、より音楽に浸ることのできるような音質傾向で製作されたAyaを、ボーカル&キーボードの原田郁子とベースのミトが選択。ちなみにAyaのハウジングは、3Dプリンタを使って製作されているのも特徴だ。ドラムの伊藤大助はMH334をベースにしながらも、ウーハーをダブルにすることで、より低域の再現性を高めた「MH335DW」を製作。楽器の音を聴き分け、さらに音楽も楽しみたいという理由から、これをチョイスしていた。
製作する前に、ユニバーサルタイプの試聴機でその音質を確かめ、機種を選択したクラムボンのメンバーだが、自身の耳型を採取し、より密着度を高めた状態で聴くサウンドにどんな感想を抱くのか、この後のインタビューでたっぷりと語ってもらった。
前回の耳型採取から約1ヶ月半、都内某スタジオでリハーサルを行なっていたクラムボンのもとへ、「e☆イヤホン」のPR本部 本部長・岡田氏に完成したFitEarをご持参頂いた。では早速、クラムボンのカスタムIEMインプレッションをお届けしよう!
e☆イヤホン・岡田氏 ようやくお届けすることができました。早速開けてみて下さい。
ミト 小さい弁当の支給みたい(笑)。嬉しいですね。早速、開けます。
一同 お〜〜(笑)
──では早速ですが、付けてみてのファースト・インプレッションはいかがですか?
ミト 以前に比べて、少し軽くなったかな。
岡田氏 このAyaだけ、3Dプリンタでハウジングを作るようになったんですね。その影響もあると思います。
ミト 前より軽くなったから、付け心地も良さそうですね。デザイン的に、すごくカジュアルになった気もしますね。以前は、もう少し業務用っぽさがあったような気がしますが、キャッチーというか親しみやすいデザインだと思います。
──そんなにすぐにわかるんですね!?
ミト わかりますよ。装着がすごく楽になった気がします。
岡田氏 一般の方だと、なかなか気付かないと思いますよ。
──大助さんのMH335DWはいかがですか?
伊藤大助 僕のモデルは、中身(ドライバー)が多いと思うんですけど、前よりも付けやすくなった気がしますね。それでいて、耳の奥までしっかりと入ってきて。以前はもっと圧迫感があったかと思ったんですけど、それが良い意味でないですね。
──大助さんのモデルは、ハウジングが青と赤で、LとRがものすごくわかりやすいですね(笑)。
大助 異常なくらいわかりやすくしました(笑)。例えば、真っ暗なところで扱うこととかも考えて、強烈にわかりやすい配色にしてみたんですけど、これはいいですね。色も綺麗ですし。
岡田氏 FitEarのハウジングの色は、他のメーカーさんに比べて綺麗ですし透明感も高いんですよ。それも魅力のひとつです。
──郁子さんはAyaを選ばれましたがいかがですか?
原田郁子 スッと、付けれますね。初めて耳型から作ったカスタム・イヤホンは、最初少し手間取ったんですけど、これはすぐに付けれました。
──カスタムIEMは、ケーブルを耳の上を通して付けるという付け方にも特徴がありますが、付けるコツってありますか?
ミト なんて言ったらいいのかな。もう慣れちゃったのでよくわからないんですけど、耳の後ろから付けるから少し慣れが必要かも。コツは人それぞれかもしれないけど、それほど苦にはならないと思いますよ。
郁子 あとは、自分ってこんな耳の形しているんだっていう驚き(笑)。けっこう、エグい…。
ミト たしかに耳に入れる方を見ると、新しいクリーチャーに見えなくもないかも。
──ケーブル自体は硬くないんですか?
ミト FitEarは、耳にかける辺りに柔らかい針金が入っているから、すごくかけやすいですね。
──付けた際の外からの音はどうですか?
郁子 思ったよりは聴こえてる。
──そうなんですね。皆さん付け心地には、違和感が無さそうですね。
ミト 以前のものに慣れていたので、軽くてびっくりはしています(笑)。だけど以前のものに比べて、フィット感がいいですね。それと、驚いたのが細かい技が光っていました。“clammbon 20th Anniversary”の文字と名前がハウジングに刻まれています。
郁子 本当だ!
大助 これは嬉しいですね。
ミト 究極のカスタム・イヤホンですよ。すごいな。これは嬉しいです。
──では、早速ご自身のプレーヤーで音源を聴いてみて頂けますか?
ミト 今回も花澤香菜さんを聴いてみますね。
一同(黙々と試聴)
──まだエイジングが済んでいない状態で聴きましたが、それぞれ感想を頂けますか? ミトさんはAyaですね。
ミト これは、すごくいいですね。もうちょっとエイジングしたいかなって思うんですけど、パルテールと比べるとレンジが広いせいか、2dBぐらい違って聴こえますね。それとAyaの方が、音が柔らかい感じがします。特にローの聴こえ方がそう感じますね。
──エイジングしていない状態で、そう聴こえるんですね。
ミト エイジングしていない状態でこのローのふくよかさだったら、これからどんどん馴染んでいって、もっと高域も伸びてくると思うんですよ。伸びてくると、よりレンジが広く感じるんじゃないかな。
──以前に試聴したものと比べるといかがですか?
ミト 自分の耳に合っているので、ローの聴こえ方はかなり自然な感じですよね。あとはハウジングが共鳴している感じが、以前のものの方が全体で鳴っている印象を受けたんですが、これは3Dプリンタで作っていて軽くなっているせいか、それを感じなくなりましたね。
──それでは同じモデルでも、試聴用とは少し印象が異なるんですね?
ミト だいぶ違うかもしれない。
──では花澤さんの声も少し印象が違って聴こえましたか?
ミト 花澤さんはいつでも素晴らしいんですが、より良くなりました(笑)。
──女性ボーカルは聴きやすい印象ですか?
ミト そうですね。あとは、自分の作品も聴いたりしたんですが、ピアノが楽しく聴こえます。ピアノの透明感とか、アンビエンスの感じとかが、録音していた時の音で聴こえますね。その時は、すごく音の良いレコーディング・スタジオで、高価なデッカのマイクを吊って録音したんだけど、その雰囲気をこのイヤホンは再現してくれますね。それに空間の深みも表現してくれます。
──大助さんはMH335DWですが、如何ですか?
大助 試聴させて頂いた時と、かなり近い印象だと思います。いろいろな楽器が鳴っている状況での使用を考えて選びましたが、流れてくる音が記号として聴こえるんじゃなくて、音を聴くのが楽しくなるようなバランスですね。ちゃんと聴いていて楽しいというのが維持できつつ、なんと言うか、高音がシャキシャキし過ぎることもなく、こういうイヤホンを使ってみたいなって思っていた物に仕上がっていました。これを使い続けていけば、どうなっていくのかなっていうのも楽しみなイヤホンですね。
──大助さんが前回作る時にお話していた、普段の音楽リスニングと仕事用の両立ができている感じですか?
大助 本当にそうですね。使っていくのが楽しみです。
──ドラムは音のレンジが広い楽器だと思いますが、それをハッキリと描き切ってくれる印象ですか?
大助 ドラムももちろんですが、ドラムが鳴っている状況でも誰が何をやっているのかがわかると思います。
──今後、レコーディングでも使っていきますか?
大助 使っていきたいですね。両耳をイヤホンで塞いで生の楽器を弾くということには限界があると思いますが、でもこのイヤホンは物が振動して鳴っているというのがちゃんと聴こえてくるので、演奏していても盛り上がりそうですね。
──いまはどんな曲を試聴していましたか?
大助 クラムボンのアルバムとか、少し古いですが『Music for Airports』を聴いていました。これは本を読む時とかに聴いたりするアルバムですが、どんな感じに聴こえるかを試してみました。
──郁子さんは、ずっと聴いていますね。感想を聞くタイミングが、なかなか掴めなかったです(笑)。Aya、かなりお気に入りですね。
郁子 はい、(レイ・)ハラカミさんをずっと聴いてました。何かもう、抜け出せない、というか、抜け出したくないというか…。すごいですね、透き通った音が直接やってくる。いつも聴いているイヤホンと聴き比べてみたんですけど、聴こえる場所が違う。これ(Aya)は、目の裏に来る感じ。なんとなく聴き流したりできない、ものすごい情報量です。
──すごく具体的ですね(笑)。
郁子 うん、感覚的なことしか言えないんですけど。目の裏に入ってきた音が頭蓋骨の後ろの方とか、頭全体で鳴っていて、どんどんでっかくなっていって、絵で描くと、かなり宇宙人ぽい(笑)。未来だなと思います。それで、ここまで直接的なのに、どっか柔らかい。なるべく柔らかさのあるイヤホンを選ばせもらった、ということもあると思うんですが。ローにもハイにもちゃんと丸みがある。痛くない。
──音楽に浸れる感じですね。
郁子 そうですね。いまハラカミさんを聴いた後に、レコーディングに参加させてもらったハナレグミの新曲「おあいこ」を聴いてみました。アルバムの中でも、なるべく周りのノイズのないところで聴きたいような、静謐な曲なんですけど…うーん、すごかった。
──それは、すごく生々しい音っていうことですか。
郁子 野田洋次郎(RADWIMPS)くんがメインのピアノを弾いていて。その、ダンパーを踏み替える音とか、鍵盤と爪が当たる音とか、スタジオでは聴こえてる細部の音まで、鮮明に聴こえてきた。
──音の解像度も高そうですね。
郁子 これは、電車を乗り間違ったり、降りそこなったり、しますね(笑)。ものすごいクリアな写真を、次々見ている感じだから、通常の目を使わなくなっちゃう。さっきから焦点があわないというか…気をつけないと、日常生活に支障をきたしそうです(笑)。
──このイヤホンは、歌入れにも使えそうですか?
郁子 うーん、前回も話したんですが、歌入れもピアノ録りも、レコーディングの際にイヤホンを使うことには、あんまり前向きじゃなくて。どうしても必要がある時に、という感じだったんですけど。今度試してみようかな。楽しく演奏できるかもしれない。
──そうですか。ミトさんは、また何か試聴されていましたね(笑)。
ミト ちょっと嬉しかったですね。オーケストラのオケの状態とか、桁違いに描いてくれますね。僕らがスタジオでモニターしていた時のように感じます。僕がいまやっている『ここさけ』(劇場アニメ映画『心が叫びたがってるんだ。』)のサウンド・トラックはフルオケ(フル・オーケストラ)でやって、しかも20人ぐらいを従えて歌った曲が、ちゃんと再現されていたのに鳥肌が立ちましたね。一瞬、涙目になりましたから(笑)。オーケストラがこんなに聴こえるのは、本当に嬉しいっすね。
郁子 ミトさんの組み合わせは、いま移動して聴けるサウンドとして、最上級じゃないかな。
ミト そうかもしれない。
──ミトさんは、DAP(デジタル・オーディオ・プレーヤー)にAstell&KernのAK240を使っていますしね。
ミト AK380という上位機種もありますけど、かなりの高音質で聴ける組み合わせではあるよね。
──ミトさんはマスタリングなどもご自身で行ないますが、そういった仕事にも使えそうですか?
ミト 僕はいつもパルテールの後に、900(SONY MDR-CD900ST)で聴いて、その後にモニター・スピーカーでチェックするのがマスタリングの定番なので、パルテールに代わって使えると思いますよ。マスタリングは忍耐勝負で、何回も同じ曲を聴き続けなければいけないので。長い時は、徹夜ですよ。
──でも、長時間のマスタリングでも音楽が楽しく聴けたらいいですよね。
ミト そう。モチベーションに繋がりますよね。だからよく聴けるだけじゃなくて、楽しく聴ける音であることも大きいんですよ。Ayaは、解像度は高いですが、音を精査するという方向のイヤホンではなくて、すごくモチベーションを上げてくれるものですね。須山さん(FitEar)の最初の製品は、音を緻密に精査できる方向で作っていたけれど、最近はカジュアルに音楽を楽しめるイヤホンも作ってくれるのが嬉しいですね。
──ちなみにそれぞれのイヤホンに、お薦めのジャンルはあったりしますか?
ミト 何でもいいと思いますけど、個人的には自分の音源がよく聴こえるのがすごく重要なので。お薦めは『ここさけ』かな(笑)。すごく良かった。びっくりしました。自分がたいして上手くないピアノを弾いているんだけど、上手く聴こえますもん(笑)。
──それはすごく重要ですよね。次の作品へのモチベーションにもなりますし。
ミト すごく重要ですよ。すごくモチベーションがあがりますよ。
──大助さんのMH335DWで聴いたらお薦めの曲はありますか?
大助 なるべく音が多い曲を聴いたら面白いと思いますよね。音のバランスなんかに気付けたりしますし。僕の中では、楽器を弾くという視点で選ばせて頂いたのもあるので、音が固まっていても、誰が何を弾いているのかをわかることができるのが、すごくいいと思いました。
──カスタムIEMは、かなり高価なイヤホンではありますが、リスニング体験として考えると、一般的な製品では味わえない世界がありますよね?
ミト 段違いだと思いますよ。スタジオ・レベルの音というか、ミュージシャンがレコーディング・スタジオで贅沢に聴けている状態を持ち運べるようになったのって、ここ最近だと思います。いわゆるプロが良いって思っているようなサウンドを、簡単に聴けるっていうことだから、そういった意味では値段は確かにしますが、その欲求が高ければ満足できる音質だと思います。それを持ち運べるのがすごいですよね。
郁子 例えば、すごく大きくて良いスピーカーが置いてあるジャズ喫茶でレコードを聴いたりすると、「音の中に自分が入っている」っていう思うことがあるんですよね。演奏してた場所の空気と、店の空気が混ざりあって、その響きに包まれる。で、そういうことで言うと、こちらは、「音が自分の中に入ってくる」っていう感覚なんですよね。自分自身が音場っていうことですよね。空気感染しなくて、周りのノイズもほとんどなくて、…これまで、いろんな音楽の聴き方の歴史があったと思うんですが、ここまでクリアな音がまっすぐ入ってくる、っていうことは、無かったんじゃないかなと思います。
ミト そうかも。今まで経験したことのないリスニング体験ができるイヤホンだから、それは感動すると思いますよ。
──そういうことを考えれば、お値段的な敷居の高さはあっても、IEMを購入する魅力があると思いますね。最後に、IEMの性能が生きるハイレゾ音源の良さを教えて頂けますか?
ミト これからどんどん、データの容量も大きくなると思いますし、まだまだ知らない音の体験ができる未知の領域が広がっているはずですよ。だからミュージシャンも、その方向を自然と向くことになっていくんじゃないかな。これからもっとカジュアルにハイレゾが聴けるようになっていきますし。本当に、あと4〜5年後には普通になるんじゃないですか。iPhoneでも聴けるようになってきているわけですし。それが広まっていけば、もっと進化した音楽体験ができるんじゃないかなって思っています。すごく可能性を感じていますよ。
今回、20周年を迎えたクラムボンのメンバーに、もうひとつのサプライズが用意されていた。なんと須山補聴器さんから、彼らが選んだもう1モデルのカスタムIEMもプレゼントされたのだ。カスタムIEMは一度耳型を採取すれば、その耳型を使ってもうひとつ別のモデルを製作することもできる。あらためて別のモデルを手渡され試聴すると、MH335DWを渡されたミトは「これはエイジングいらずです。近年のモニター・スピーカーみたいな音がしますね。レコーディング・レベルです」と大絶賛。悩んでいたMonet 17を手渡された原田郁子からは「さっきのよりハイとローが強い感じがしますね。レコーディングで使うなら、ひょっとしてこっちの方がいいのかな。試してみたいかも」というインプレッションを頂けた。伊藤大助には、原田&ミトも選んだAyaがプレゼントされた。MH335DWと比べ、音を緻密に描き出すという方向性ではなく、より音楽を楽しく聴くことができるモデルで、使い分けがしやすい。今後の音楽活動に生かしていきたいとのことだった。最高峰のカスタム・インイヤー・モニターを手にし、20周年を迎えたクラムボンの音楽にさらなる変化が起こっていくかもしれない。今後も、彼らの活動から目が離せない。
プロの耳で体験するカスタムIEM、今回はクラムボンにご登場頂いたが、カスタムIEMの魅力が大いに伝わったのではないだろうか。音楽を楽しめるイヤホンを手に入れると、音楽制作はもちろん、リスニングも楽しくなって、より音楽との距離を縮められる。ぜひ、今回のインプレッションを参考にカスタムIEMの世界を体験してほしい。
非常にワイド・レンジでフラットな音質が得られるMH334をベースに、さらにダブル・ウーハー化することにより、より迫力とレンジの広い低域が得られるハイエンド・モデル。3ウェイ・3ユニット、5ドライバーという、バランスド・アーマチュア型のイヤホンで、低域から高域まで繊細なサウンドを描き出す。
元々アニメ・ソング専用モデルとして生み出された「Monet」を、リファインしたのがこのモデルだ。アニソンの世界観により浸れるよう、しっかりとした高域、低域が出ながらも、よりボーカルも聴きやすい方向性にチューニングされている。これまで以上に、音楽にハマることのできるイヤホンに仕上がっている。
FitEar初の3Dプリンタを使ってカスタム・シェルが製作されるモデル。ユニット構成などは非公表だが、MH335DWほど高繊細かつワイド・レンジではないものの、特にボーカルものなどに向くようなサウンドが得られる。インイヤー・モニターの素養は残しながらも、純粋に音楽を聴く楽しさも追求しているバランスの取れたモデルだ。
●店舗紹介:
東京・秋葉原と大阪・日本橋に店舗を構えるイヤホン&ヘッドホンの専門店。常時約2,000機種以上の試聴が可能。新品販売はもとより、修理やチューンナップ、中古買取/中古販売まで、イヤホン&ヘッドホンのビギナーの方からハイエンド・ユーザーの方々まで、幅広いお客様にご愛顧頂いております。また、2014年にオープンした1FのカスタムIEM専門店ではオーダーメイド・イヤホン等、世界でも当店のみの取り扱い品を揃えたイヤホン&ヘッドホンのテーマパークとなっております。皆様のご来店を心よりお待ちしております。
●住所:〒101-0021 東京都千代田区外神田4-6-7 カンダエイトビル1F&4F
●営業時間:11:00-20:00/年中無休
●TEL:03-3256-1701
●アクセス:JR各線 秋葉原駅より徒歩5分、地下鉄銀座線 末広町駅より徒歩2分(地図を見る)
●ウェブサイト:http://www.e-earphone.jp
●【デジマート店】eイヤホン 秋葉原店 カスタムIEM専門店(1F):https://www.digimart.net/shop/4942/
e☆イヤホン主催の大型ポータブル・オーディオ・フェスティバル「ポタフェス」の音楽ライブイベント、「ポタフェスLIVE 2015」にクラムボンが出演決定! 結成20周年アニバーサリーの“tour triology”ファイナルを初の日本武道館公演で飾ったクラムボンと、“イイ音”にこだわってきたポタフェスがどんな化学反応を起こすのか? クラムボン・ファンはもちろん、ポータブル・オーディオ・ファンにも間違いなくオススメのイベントです!
●公演名:ポタフェスライブ 2015
●日程:2015年12月10日(木)
●開場:17:00/開演18:00/閉演21:00(予定)
●会場:豊洲PIT(東京都江東区豊洲6-1-23)
●出演者:クラムボン、小室哲哉、ヒステリックパニック、水曜日のカンパネラ、ドラム☆ピエール中野(順不同)
クラムボン
1995年、ボーカル/キーボードの原田郁子、主にベースを担当するミト、ドラムの伊藤大助により結成。常に変化に富んだポップ・サウンドが、幅広いリスナーを惹き付ける。99年、シングル『はなれ ばなれ』でメジャー・デビュー。01年には、亀田誠治を共同プロデュースに迎えた3rdアルバム『ドラマチック』をリリース。同アルバムにはライブでもよく演奏される代表曲「サラウンド」ほか、「便箋歌」、「ララバイ サラバイ」などの名曲が収録され、多くのリスナーを魅了した。02年より自身らの事務所『tropical』を設立、また山梨県小淵沢にスタジオの制作、そして近年ではサウンドシステムを保有し全国ツアーを行うなど、バンドとして、独自のスタンスを築き上げている。05年に発売した6thアルバム『てん 、』は、モノラルとステレオ両バージョンを発売し、音質へのこだわりが結実した作品となった。09年には、Jポップ・アーティストとしていち早く、シングル「NOW!!!」のハイレゾ音源(24bit/48kHz)をOTOTOYより無料配信。結成20周年を迎えた今年発売された9thアルバム『triology』は、ハイレゾ、ブルーレイ・オーディオ、アナログなどを含む5種類のフォーマットでリリースするこだわりだ。各メンバーはソロ活動も精力的にこなし、また音質に対する意識もとても高く、原田郁子はDSDでの録音/配信も行なっている。今後も、日本の音楽シーンの先端を走る彼らから目が離せない。