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- 2024/11/16
Gibson / Hummingbird Vintage
Gibson Acousticが開発した話題の新技術“サーマリー・エイジド加工”。ボディ・トップ材に熱処理を施し、作られてから50〜70年経過したビンテージ・ギターの木材コンディションと鳴りを再現するこの技術については第66回でもご紹介しましたが、今回は改めてサーマリー・エイジド・トップを持つ人気機種、Hummingbird Vintageを深掘り紹介します!
ギター誌やWebで話題騒然の新技術、“サーマリー・エイジド加工(Thermally Aged)”。Gibson Acousticがミネソタ・ダルース大学と共同開発したもので、トップ材に特殊な熱加工を施し、木の細胞の状態を変化させることで経年変化を再現、木の内部への水分の出入りがなくなることでトップ材がより硬くなり、形状も安定し、ビンテージ・ギターのような響きを帯びてくるというものです。 この技術を人気機種であるハミングバードに施したモデルが、今回のHummingbird Vintageになります。ハミングバードはご存知のとおり、ギブソン初のスクエア・ショルダーのモデルで、ハチドリのピックガード、パラレログラム・インレイ等の華麗なルックスが印象的なモデルです。1960年の登場以来、数限りないアーティストが使用してきましたが、中でも最近ソロ・アルバムが話題のキース・リチャーズが最も有名な愛用者でしょう。
Hummingbird Vintageは、60年代のビンテージ・ハミングバードのサウンド、ルックスを徹底的に追求した1本で、トップにはシトカ・スプルース(もちろんサーマリー・エイジド処理されたもの)、サイド&バックにはマホガニー、ブレイシングにはトラディショナルなスキャロップドXブレイシングを採用しています。ピックガードに描かれたハチドリやピックガードの色合い、VOSフィニッシュが醸し出す質感、オリジナルのトラスロッド・カバー、ビンテージ風のゴールド・チューナーなど、ルックス面でも細部にわたるこだわりが満載です。
それでは、このHummingbird Vintageのサウンドをチェックしてみましょう。
動画では、まずピックを使ってコード・ストロークで鳴らしてみました。余計な低音の膨らみのない、扱いやすいサウンドです。ギブソンらしいジャキッとしたニュアンスもありますが、暴れる感じが少ないのはストレート・サドルによる影響でしょうか。爆音で鳴るというよりも、心地良いレンジにまとまった音という感じです。“音量はやたらと大きいが、ローも出過ぎ、しかも芯がない”という使いづらいギターとは異なり、こちらは非常に扱いやすく、録音した時にも歌モノやバンド・サウンドの中でしっかりと存在感を示してくれそうです。ピックを使ったアルペジオでは高域がキラキラと輝きますが、指弾きでは一転してミドルが出てきます。とにかく反応が良いので、弾き手や弾き方、ピックの選択などでも随分印象が変わってくるでしょう。
また、ケースから出してすぐの音がこの状態です。新品によくある、“最初はまったく鳴らない”という感覚がありませんでした。ネックのグリップも最初からよく手に馴染みます。このギターをもう1時間弾くとどうなるか、半年、1年弾くとどうなるか、興味は尽きません。華麗なルックスと、長い年月を経たようなオーラ、そしてまとまりが良く最初から馴染むグッド・サウンドを持ったハミングバード。全力でオススメします。
※次回の週刊ギブソン〜Weekly Gibsonは11月6日(金)を予定。
価格:¥577,000 (税別)