カナダの良質なエレクトリック・アコースティック・ギター・ブランドとしてお馴染みのゴダン。今回ご紹介するSummit Classic CTは、そのゴダンが新たに発表したエレクトリック・ギターのラインナップとなる。トラディショナルなシングル・カッタウェイ形状のボディに、ゴダンならではのこだわりを感じさせるボディ構造やエレクトロニクスを搭載。シンプルでありながら完成度の高いギターに仕上がっている。

　ネック・シェイプは程良い肉厚でグリップにストレスを感じさせない。バインディングが施されたネック・サイドも丁寧に仕上げられている。見た目にはほとんどわからないが、プレイアビリティには非常に重要な部分だといえる。このあたりにも良い仕事が感じられる。実際にギターをプレイした際にも安心して演奏に集中できる完成度の高さを感じた。なだらかにアーチしたボディ・トップは、この形状ならではのリッチなミッド・レンジを生み出している。ボディ厚がいわゆるLPスタイルに比べて若干薄いので、鳴りがスッキリしており扱いやすい印象。例えばストロークでパワーコードを鳴らした際にも音の輪郭がはっきりしており、ロックなサウンドにも向いている。コントロールはシンプルで、マスター・ボリュームとマスター・トーン、ピックアップ・セレクターに加えてプッシュ式のミニ・スイッチ（後述）が搭載されている。ボリュームとトーンはボディに落とし込み加工が施されており、大振りにストロークをした際でも右手に当たってしまう様な事はないだろう。

　ピックアップは3種類のパターンから選択が可能で、動画でもその組み合わせを紹介しているのでぜひ聴き比べてお好みのモデルをセレクトして頂きたい。どのピックアップ・モデルでもキレのあるサウンドが好印象。これは楽器のテンション・バランスの良さに加えて、ボディ・バックに採用されたチェンバー加工が施されたスパニッシュ・シダーの音響特性にあると思う。一般的にはこのシェイプだとマホガニー材のサウンドを連想すると思うが、あえてシダーをチョイスする事でヌケの良さを得られ、ローのモタつき感がない。クリーン・トーンでも新品とは思えない音の馴染みがあり、実際に録音された音を聴いてみても弾いている時に感じられた心地良さがキッチリ表れている。

　そしてSummit Classic CTの音の要は、H.D.R. (High-Definition Revoicer)と命名されたアクティブ回路にある。前述のミニ・スイッチでON/OFFするのだが、まるでペダル・タイプのクリーン・ブースターのように、心地良い高域のヌケ感と低域の迫力を加えてくれる。クリーンでもドライブ・サウンドでもギターの音色がフッと前に出てくるエンハンス効果が感じれられる。耳障りな帯域をカットしてくれる様な印象もあり、弾いていて気持ちが良く、積極的にサウンド・バリエーションに取り込みたくなるトーンを持っている。もちろん、ブースト・オフの段階で良い音が出ていなければ意味がない。ブースターはあくまで出ている音を増幅させるものだ。倍音がリッチでバランスの良い生音だからこその、エレクトリック・サウンドだと言える。

　その他にも落下防止のマグネットを備えたグラフテック社製のテイルピースや、扱いやすい18:1のギア比のペグを採用するなど、細部にわたってチューニングされ、全体的な完成度を高めている。ピックアップの違いによるサウンド・キャラクターも「使える音」だ。この価格帯のギター・ラインナップの中でも注目すべき存在である事は間違いない。ぜひ動画と併せてチェックして欲しい。

※使用アンプ：Fender '68 Custom Deluxe Reverb

リッチなトーンを生むグラフテック社製のブリッジ＆テイルピース。テイルピースはマグネットを内臓し、弦交換時の落下を防ぎ弦振動を確実に伝える。

Convertibleのコントロール部。Classic CTシリーズ共通のボリューム、トーン、H.D.R.スイッチに加え、ピックアップのコイルを選択できるタップ・スイッチもふたつ搭載している。

スッキリとまとめられたキャビティ内部。バック材に採用されたスパニッシュ・シダーもトーンに大きな影響を与えている。

Convertibleはセイモア・ダンカンP-Railを2基搭載。

P90はセイモア・ダンカンのSP-90-1を前後にマウント。

HBはセイモア・ダンカンのアルニコⅡをフロント、セイモア・ダンカン ’59をリアに搭載している。

Godin / Summit Classic CT　※Convertible（大、右）、HB（中央）、P90（左）