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  • いっちーのデジタル・デジマート〜第2回

マルチトラックという考え方

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 デジマート・マガジンをご覧になっているみなさんの多くは、バンドをやったり、自宅で演奏したりして音楽を楽しんでいると思いますが、オリジナル、コピー問わず自分たちの演奏を録音したことはございますか? 最近では安価かつ高品位のステレオ・マイクを搭載したハンディ・レコーダーが多く販売されていますので、バンドのライブやスタジオ練習で使っているという方も多いのではないでしょうか。

▲左からTASCAM DR-22WL、ZOOM H1、YAMAHA Pocketrak PR7、SONY PCM-M10

 これらのハンディ・レコーダーは手軽なので自分たちのバンド演奏を客観的に聴くために使ったり、プロモーションとしてライブ演奏をWEB上にアップしたり、または楽曲制作のアイディア・メモとして使ったりするのに便利です。

 しかし、ドラムやベース、ギター、ボーカルといったパートがすべて混ざった状態で録音されるので、録音した後に「ちょっとベースの音が小さいから上げたい」とか「サビのボーカル・パートだけもう1回録りなおしたい」ということはできません。そういうことをしたい場合は、それぞれのパートを個別に録音しておく「マルチトラック・レコーディング」という考え方が必要になってきます。

▲ハンディ・レコーダーのレコーディング・イメージ

 「マルチ」というのは「複数の」という意味で、「トラック」というのは各パートを録音/再生できる通路のようなものです。陸上選手が走るためのトラックをイメージしてもらうと良いと思います。陸上は速さを競い合いますが、音楽では曲のそれぞれのパートがさまざまなスピートで演奏されては困るので(笑)、みんな歩調をあわせて仲良く進むというイメージですね。

▲トラック上を各パートが足並みそろえて走るイメージ

 マルチトラックで録音できる機材をマルチトラック・レコーダー、英語の頭文字をとってMTRと呼ばれています。

▲MTRのレコーディング・イメージ

MTRを使って上の図のような感じでパートごとに録音すれば、その後各パートの音量や音質を調整して最終的なバランスをとったり、ベースだけ録り直したりすることができます。極端な話、「一発録り」と呼ばれるメンバー全員でせーので演奏したものを録音するのではなく、各パートごと順番に録音することもできます。MTRを使えば、メンバーが全員そろわなくても録音できますし、たった1人でさまざまなパート演奏と録音を繰り返しながら曲を仕上げることもできます。MTRは自宅で録音できるツールとして非常に便利なんですね。

 昔は単体のハードウェアだけだったMTRですが、コンピュター・ソフトであるDAW(デジタル・オーディオ・ワークステーション)がマルチトラック・レコーディング機能を搭載して以来、ほとんどの音楽制作環境でDAWがMTRとして使われています。

▲DAWソフトウェアの例

 現在の音楽制作環境はDAWが基本になっているということがお分かりいただけましたでしょうか? 次回は苦手な人も多いのでは? MIDIについてのお話です!

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プロフィール

いっちー(市原 泰介)
サウンド&レコーディング・マガジン編集部WEBディレクター。学生のころから作曲やDJ活動、バンド活動などの経験を積む。某楽器販売店を経てリットーミュージックに入社。前職では楽天市場内の店長Blogを毎日10年以上更新し、2008年ブログ・オブ・ザ・イヤーを受賞。得意ジャンルはクラブ・ミュージック。日々試行錯誤中。

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