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- 2024/11/16
Truetone / V3 Jekyll & Hyde
Jekyll & Hydeの歴史は古く、Visual Sound時代の1997年に1stバージョンが発売されている。オーバードライブとディストーションがひとつのボックスに収まったこのスタイルは当時とても革新的だった。オーバードライブはチューブスクリーマー(TS-808)のサウンドをかなり忠実に再現しており、当時そのトーンが再認識・再注目され始めたチューブスクリーマーのブームをかなり先取りした形となった。そしてディストーション・セクションは潰れすぎず、レンジの広いハイゲイン・サウンドが魅力的。深いゲイン・セッティングでも音がスッキリと伸び、Soldanoに代表されるアメリカン・ハイゲインをコンパクト・サイズで再現したサウンドで、アメリカのスタジオ・ミュージシャンやセッション・ミュージシャンに高評価を持って受け入れられた。V2シリーズになるとノイズ・リダクションが追加され、ハイゲイン時のフィードバック・ノイズに強くなる。そしてブランド名をTruetoneに変更し、更なるトーン・シフトやモディファイを加えて登場したのが、このV3シリーズだ。
ディストーション・セクションはこれまでのVOL/TREBLE/GAINコントロールに加え、BRIGHTスイッチと2種類のボイシングを切り替えるA-B VOICEスイッチを装備。さらにMIDとBASSコントロールも用意する事で「フル・スペック」を持たせている。オーバードライブ・セクションはVOL/TONE/DRIVEという808直系のコントロールに加えてBASSとCLEAN MIXも装備。808をブラッシュアップしていく様なイメージでサウンドをクリエイトできるのが特徴。ブースター的に使用するか? それともアンプのクランチ風にするか? そのイメージで自然とコントロールは変化するはずだ。動画で確認してみて欲しい。
とにかく使いやすいペダルで、音が良い。加えてノイズリダクション(ゲート機能)とトゥルー・バイパスとバッファード・バイパスを内部で切り替え可能なのも特筆すべきポイント。この機能は本当にサウンドにこだわるギタリストにはありがたい仕様だ。ルーティング・ユニットに組み込まない場合はやはりバッファード・アウトを推奨したい。さらに2つのセクションは完全に独立しており、通常の直列配線に加え、各セクションのIN/OUT端子を駆使すれば、異なる2台のエフェクターとして使用する事も可能となる。
かなりコアな作り込みとサウンドへのこだわり。是非チェックして欲しいオススメのペダルだ。
※使用アンプ:Fender '68 Custom Deluxe Reverb
※使用ギター:James Tyler JAPAN / STUDIO ELITE HD
価格:¥24,000 (税別)
村田善行(むらた・よしゆき)
株式会社クルーズにてエフェクト・ペダル全般のデザイン担当、同経営の楽器店フーチーズ(東京都渋谷区)のマネージャーを兼任。ファズ関連・エフェクター全般へのこだわりから専門誌にてコラムを担当する他、覆面ネームにて機材の試奏レポ/製品レビュー多数。