AQUBE MUSIC PRODUCTS
- 2024/11/16
Marshall / JCM-1C "IKEBE 40th Anniversary"
Marshall JCM800と言えば、80年代から90年代のマーシャルを代表する、クランチ/ドライブ・サウンドに最適なアンプだ。それ以前のメタル・パネルJMPやプレキシ・モデルに比べると、スッキリとしたロー・レンジ、喰いつき感の良いハイ・ミッド・レンジが最高で、その当時ブームを巻き起こしたハイパワーのカスタム・ピックアップをマウントしたギターとは特に相性が良く、独特のザクザク感を生み出した。また、「ブースターとアンプを組み合わせる」という使用方法が定着したのも、BOSS OD-1やIbanez TS9と抜群に相性が良かったJCM800がキッカケと言えるだろう。
今回イケベ楽器店40周年を記念してリリースされた「JCM-1C “IKEBE 40th Anniversary”」は、Marshall 50 YEARS OF LOUDとして全世界完全限定発売され、瞬く間に完売となった1Wシリーズ「JCM-1C」をベースに、特別な3カラーで仕上げられた限定生産モデルだ。そのサウンドは、往年のJCM800のテイストが存分に再現されている。ルックスはもちろん最高なのだが、様々なバージョンが存在するJCM800が持っていた「芯となる音」がそのまま継承されているのが嬉しい。ブースト・スイッチはアンプの手前に置いたブースターをONにした様なニュアンスを再現してくれる。EQはJCM800と似ているが、より使いやすく感じられる。例えばMIDはすべてカットして完全な「ドンシャリ」セッティングにしても音が引っ込んだりしない。このあたりは改良が施されているのだろう。加えて自宅での使用には特に嬉しい0.1W出力が装備されているのもありがたい。
質も音もかなり良いアンプであることは間違いない。加えて、マイクへの音の乗りも良く、小音量の宅録でチューブ・サウンドを得たい、というギタリストのわがままも叶えてくれる。残念ながら限定生産との事なので、欲しいカラーのモデルを早めにゲットしておいた方がいいだろう。
※使用ギター:Crews Maniac Sound / OSL
価格:¥100,000 (税別)
村田善行(むらた・よしゆき)
株式会社クルーズにてエフェクト・ペダル全般のデザイン担当、同経営の楽器店フーチーズ(東京都渋谷区)のマネージャーを兼任。ファズ関連・エフェクター全般へのこだわりから専門誌にてコラムを担当する他、覆面ネームにて機材の試奏レポ/製品レビュー多数。