プライベート・ストックのような超ハイエンド・モデルからコストパフォーマンスに優れたエントリー・モデルまで、変わらぬ情熱とこだわりでギター製作に取り組むポール・リード・スミス社（PRS）。設立当初からパーツを含めてほぼ全てを自社ファクトリー内で製作し、独自の視点で数多くの素晴らしいパーツをデザインしてきた。その姿勢はSEシリーズ等のエントリー・クラスの製品にも強く反映され、ギターを始めたばかりのユーザーが手に取れる価格帯を実現しながら、プロ・ギタリストが使用しても問題ないぐらい高水準な楽器をデザインしてきた。

　そんなPRSが新しく発表したのが、レギュラー・ラインと同じくUSAファクトリー内で製作されるエントリー・クラスのギター、S2シリーズだ。シンプルで精悍なルックス、すぐに手に馴染む高いプレイアビリティ、こだわりのあるパーツ・セレクト、そしてサウンド。どこを切ってもPRSスピリットが息づいている。

　このS2 Miraはオール・マホガニーのボディを持ち、ボディ・トップに左右非対称のコンター・カーブ（ベベル）を入れることにより、ルックスだけでなくプレイアビリティの高さに貢献している。Solid Guitar（SG）が想起されるデザインだが、サウンドもまさしくその辺を狙っている。メイプル・トップのボディではないため、サステインよりもアタックに重点を置いた鳴り感が心地良い。ネック・シェイプはすでに好評のパターン・レギュラーを採用。状態の良いビンテージ・ギターのような弾き心地が最高だ。トラディショナルでありながら、ほど良いパワー感を持ったピックアップは、フロント／リア共にクリーンでも非常にダイナミクスを表現しやすく、クランチなオーバードライブ・サウンドでその真価を発揮する。

　動画ではクリーンからクランチ／ドライブに変化した際にも揺るがない「音の芯」と「バランスの良い鳴り」をチェックしてみて欲しい。セットネック・ギターのメリット＆デメリットを知るPRSらしいバランスは本当に素晴らしく、PRSの新しいギター・ラインが確立したと感じられる。音楽のジャンルや年齢層を問わずにこれからのスタンダードとしてお薦めできる間違いない1本だ。

※使用アンプ：Fender '68 Custom Deluxe Reverb

Paul Reed Smith / S2 Mira