キーワードは「らしさ」と「合理性」。ビリー・シーンのシグネチャー・モデルということで、やはり彼のようなプレイ・スタイルを志すプレイヤーには気になる機種かと思います。プラグインして音を出して、最初に出た言葉は「あ、なるほど。ビリー・シーンっぽい（笑）」でした。ベース向けの歪みエフェクターとしては、かなり攻撃的なディストーション、という位置づけかと思います。基本的に歪み音とクリーン音を混ぜることが前提で、歪み音単体では軽快、かつ攻撃的な抜けの良い音色です。低音域はクリーン音を足すことで補うと良いでしょう。

　COMPを入れると、とても弾きやすくなりますね。裏蓋を開いてMIDの設定を細かく調節することもできますが、音色のキャラクター的には歪んだ状態でオンかオフかザックリと使い分けたほうが良さそう。決してクオリティが低いわけでは無いですが、コンプを追求するなら専用機に任せて、本機のCOMPはあくまで歪み専用として使うほうが合理的、かつ本機の趣旨に合っていると感じました。

　DRIVEとCLEANには、それぞれエフェクト・ループ端子が搭載されているのも大きな特徴です。例えば、飛び道具的な歪みエフェクターとして使うならば、空間系やモジュレーション系のエフェクターも同時にオンにしたくなるものだし、かつそれらのエフェクターを単体で利用することは少ない状況が多いと思います。そんな時、本機のループを活用すればスイッチャーが無くても複数のエフェクターをオンにできるし、スイッチャーのループを1つ無駄に消費せずに済みます。アイデア次第で様々な使い方ができるとは思いますが、これもまた実に合理的かつ実用的な機能だと思いました。

EBS / Billy Sheehan Signature Drive