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- 2024/11/16
Gretsch / G6136T-KF FSR Kenny Falcon
6月に製作がアナウンスされ、話題を呼んだ横山健のグレッチ・シグネチャー・モデルG6136T-KF FSRことKenny Falcon。132年に及ぶ同社の歴史において初めて日本人ギタリストの名が冠された1本だ。大きな注目を集める本モデル、及びグレッチ・ギターはどのように製作されているのだろうか? 今回、ギター・マガジンと連動し発売に先がけて横山健とともにグレッチ・ファクトリー・ツアーを敢行! その模様を動画でお届けしよう!
グレッチ創業132年の歴史の中で、初めて日本人ギタリストのシグネチャー・モデルとして製作されたG6136T-KF FSR Kenny Falcon。キャデラック・グリーン・フィニッシュのボディにゴールド・パーツを配したゴージャスな1本だ。おもなスペックはメイプル・ボディ、メイプル・ネック、エボニー指板で、ピックアップにはTVジョーンズ製TVクラシックを2基搭載。特筆すべきはマスター・ボリュームにAnti-dullサーキットを搭載している点だろう。これによりボリュームを絞ってもグレッチ特有のきらびやかなハイが損なわれることがないのだ。今後の音楽人生を長らくともにしていくであろう注目の1本。本器を手にどんな名曲を生み落としていくのか、期待が高まる。
──まずは工場見学を終えた感想から聞かせて下さい。 いやぁ~……本当に素晴らしかったです! ありがとうございました! なんというか……実際に製作する工程を順を追って見学させてもらったんですけど、機会があったらすべてギタリストは見たほうがいい!ってくらい、これからのギターへのアプローチが変わってくるように感じましたね。あと働いている職人さんがお若いんですね。それも素晴らしいなと思って。全員ギターやベースを弾けるんでしょ? なので今度名古屋の大きい会場でやる時は、みなさんをぜひライブにご招待させていただきたい! 実は昨日、名古屋でライブだったんですけど(※取材は7月30日に“I Won’t Turn Off My Radio Tour”の名古屋公演の翌日に行なった)、“明日待ってるよ!”って声をかけてくれたファンがいて、それがこの工場の職人の子だったという(笑)。以前も、今年の頭にグレッチのギターを名古屋公演で弾いたんですけど、俺が“このギターはグレッチって名前のブランドで……”って説明したら“健さん、それ俺が作った!”って話しかけられて、少し不思議な気持ちになって思わず口を突いて出た言葉が“グッジョブ!”でしたからね(笑)。その子とはライブが終わった後に少し話ができたんですけど……いやぁうれしかったですね。すごい縁というかいろんな奇跡が積み重なってここにいるような気がして。 ──たしかに。特に印象に残っている工程はありますか? もう……全部ですね。だんだんとギターが完成していく様を順を追って見ることができてゾクゾクしちゃいましたね。ずーっと見ちゃう(笑)。いや~うれしい! こういう現場を見させてもらってジーンとしていますね。明日からのライブでグレッチを鳴らす時の気持ちも変わってくる気がします。でも変なプレッシャーは背負い込まないようにしようと。ああやって丁寧に作っている人を前にガーッとアグレッシブに弾くくらいの気持ちでやりたい(笑)。やっぱりグレッチってルックスがめちゃくちゃキレイじゃないですか。なんだったら触りたくないくらい美しい。でも楽器だからガツン!と弾いてなんぼみたいなところだし、昨日も名古屋のバンドマンにびっくりされたんですけど、グレッチをディーゼルに突っ込んで鳴らしても全然大丈夫だよ!って。我ながら無茶な使い方をしているなって感じる部分もあるけど、楽器の可能性を広げていくという意味ではそういうのもアリだなと。 ──塗装セクションを始め、工程のいろんな箇所で“Kenny Falcon Jr.”という存在が見え隠れしていましたが、どのようなモデルなんですか? これは小さめのKenny Falconなんだけど、シグネチャー・モデルの第二弾として製作が進んでいて。こっちのカラーは、アーリー・サマー・グリーンなんですよ。なんかグッと来るでしょ? ちょっと初夏の若葉色をイメージしたメタリックなグリーンなんですよ。 ──詳細の発表を楽しみにしています! ちなみにグレッチを弾くことでギタリストとして変化した部分は? 体の使い方が変わったかな。まずピッキングが変わるから、レス・ポール・タイプを弾いていた時よりも背中が丸まったかもしれない。ほかにもいろんなことが変わって……右手の振りもすごくシュアになってきたんですよね。ここにきてギターうまくなった感がめちゃくちゃあるんですよ。30年近くギターを弾いてきて、“横山健のギター・スタイルがなんぼのもんじゃい!”って思っているし、やっぱり45歳からの挑戦が楽しいじゃない?! って感じ。もう一回青春をやり直しているというか、その気持ちで『Sentimental Trash』ってアルバムを作っちゃいましたからね。本当にシングルもアルバムもグレッチのギターとの出会いありきなんです。 ──では早速完成したばかりのKenny Falconを観てみますか? え?! もう観ちゃう(笑)?? じゃあ開けますね……(ケースを開ける)……うぉぉ……かっけぇなぁ! キャデラック・グリーン……カッコ良い……!!(しばらく無言でいろんな角度から見つめる)。生鳴りがすごいですね。エロい音がするなぁ……良いですねぇ! アンプで弾いてもいいですか?……歪ませて弾いてもばっちりですね! 普段、こんなにもできたてほやほやの状態のギターを弾くことってまずないですけど……もう……“いいすね!”しか出てこないし、うれしいって言葉じゃ表現しきれない(笑)。 ──現在はツアーのまっただ中ですが、ライブでも使えそうですか? すぐに投入してみたいですね! 自分のアンプで出していないですけど、歪ませた時のゲインも高くて、ライブにも一番対応してくれるんじゃないかな。 ──改めてグレッチ・ギターの魅力を聞かせて下さい。 まさかこんなにもハマっちゃうとは……って感じなんですけど(笑)、まずモノとしてのカッコ良さがあるのはもちろんなんですが、自分がこれまで弾いてきたギターとは違うマナーがあるように感じていて。グレッチ関係者を前に言うのも失礼な話なんですけど、全然弾けない時があるんです。でもグレッチだったら、それすらも楽しくて。“これ僕は弾けないわ!”っていうのを乗りこなす快感があるんですよね。 ──これから先、どのようにグレッチと付き合っていきたいと考えていますか? もしも僕が20代の時……自分のギター・スタイルを構築していく途中で出会っていたら今の僕はきっといなかったと思うんですよね。なので、むしろこのタイミングで出会えたのがすごく良かった。昔の曲を弾いて発見があるし、それで自分が弾くフレーズも少しずつ変わってきたりするんですよね。グレッチを弾くことが、プレイそのものに与える影響はすごく大きかった。今は本当にギターを弾くのが楽しくてたまらないので、これから先のギター・ライフを一緒にエンジョイさせてもらえたらうれしいなと思っています。 ここでは紹介しきれなかったグレッチ・ファクトリー・ツアーの詳細レポート、最新作である6thアルバム『Sentimental Trash』に込められた想いを紐解く最新インタビュー、さらには、箱モノ・ギター・コレクション、奏法分析などをとおして、まばゆい輝きを放つ横山健の魅力に迫ります! 是非チェックしてみて下さい。グレッチを弾くことがプレイそのものに与える影響はすごく大きかった。
ファクトリー・ツアーの模様はギター・マガジン2015年10月号でチェック!
価格:¥550,000 (税別)
横山健
1969年東京出身。1991年にHi-STANDARDを結成、ギタリストとして活躍。1999年にレーベル「PIZZA OF DEATH RECORDS」を設立、社長を務める。 Hi-STANDARD活動休止後の2004年にはアルバム『The Cost Of My Freedom』でKen Yokoyamaとしてソロ活動を開始。その後、2005年に『Nothin’ But Sausage』、2007年に『Third Time’s A Charm』、2010年には『FOUR』をリリース。2011年3月11日の震災を期にKen Bandを率いて東北でフリーライブ等を積極的に敢行。9月18日にロック・フェスHi-STANDARD主催『AIR JAM 2011』を横浜スタジアムで開催する。そこで、11年ぶりにHi-STANDARDの活動を再開させ、2012年には横浜での収益を基に念願の東北で『AIRJAM 2012』を開催。11月にはソロとして5枚目のアルバム『Best Wishes』をリリース。2013年11月には自身の生い立ちから現在までを追ったドキュメンタリー映画「横山健 -疾風勁草(しっぷうけいそう)編-」が、全国60館の劇場にて公開、2014年9月にはDVD化された。そして、最新アルバム『Sentimental Trash』を2015年9月2日にリリースし、2016年初頭まで「Sentimental Trash Tour」と題した全国ツアーが予定されている。