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- 2024/11/16
Gibson/J-45 Vintage、Hummingbird Vintage、1967 J-45
今回は、ギブソン・アコースティックから届いた入魂の3モデルを紹介します。新技術“サーマリー・エイジド加工(Thermally Aged)”をボディ・トップ材に施し、経年変化したビンテージの鳴りを再現した「J-45 Vintage」「Hummingbird Vintage」 、そしてクロサワ楽器店と三木楽器がコラボして1967年製J-45を忠実に再現した「1967 J-45」の3本を、過日開催された「拡大版!お茶の水楽器祭り」に来場されていたギブソン・モンタナのプロダクト・スペシャリストであるジェレミー・モートン氏の解説を交えてお届けします。
名器揃いのギブソン・アコースティック・ギターの中でも、特に人気が高いモデルと言えば、もちろんJ-45。1942年の誕生以来、様々なスペックの変遷を経ており、いずれの時期も評価が高いのですが、中でも1940年代、50年代のビンテージは別格のサウンドだと言われています。今回、ギブソンは新製品でありながら、黄金期のビンテージ・サウンドを持つモデルを開発しました。そこで重要なポイントになっているのが“サーマリー・エイジド加工”です。果たしてどのような技術なのか、それを用いて製作されたJ-45 Vintageの特徴とサウンドはどのようなものか、ジェレミー・モートン氏に解説していただきましょう。
Jeremy このギターはビンテージ・シリーズで新しく採用した“サーマリー・エイジド・トップ”を使用しています。これはトップ材に熱加工を施す技術で、ミネソタ・ダルース大学と共同開発したものです。これによって、トップ材はより硬くなり、オールド・ギターのようなトーンを帯びていきます。このトップ材とその他の仕様──1930年代のワイドXブレイシング、マホガニー・サイド&バック、マホガニー・ネック、ローズウッド指板&ブリッジ、クルーソン・タイプのビンテージ・チューナー、ボーン・ナット&サドル──と相まったJ-45 Vintageは、非常に幅広い表現を可能にしてくれます。また、素晴らしいVOSフィニッシュも大きな見所ですね。私たちは1942年から現在まで生産され続けているJ-45の中で、各年代の最高の仕様をこの1本に凝縮できたと思います。発売されたら楽器店でぜひ試してみて下さい。
パワフルなサウンドと華麗なルックスが人気のハミングバード。こちらも著名な使用者が多い名器です。2015年に発表されたHummingbird Vintageは、ボディ・トップのシトカ・スプルースに前述の“サーマリー・エイジド加工”を施し、木材の経年変化を再現してビンテージ・サウンドを生み出す逸品です。ボディやピックガードの色味、そしてゴールド・ペグも雰囲気満点! 新品でありながら、ビンテージのような存在感を持つモデルに仕上がっています。ジェレミー氏は本器について以下のように語ってくれました。
Jeremy このモデルは今までのハミングバード・シリーズの中でも特別なものです。トップ材に“サーマリー・エイジド加工”を施しているのを始め、1960年代製を思わせる特徴的なピックガード、素晴らしいVOSフィニッシュ、トラディショナルなデザインの指板、トラスロッド・カバー、チューナーを備えています。人気の高い1960年代製ハミングバードの音色や感触が新品の状態で感じられるようになっているのです。トップ材の熱処理加工は“ビンテージ・シリーズ”のすべてのラインナップで採用していますが、ハミングバードの場合、歯切れの良い音が特徴のシトカ・スプルースに熱処理を加えて使っています。この素晴らしい音色をぜひ体感してください。
上のJ-45 Vintageでもお伝えしたように、J-45は様々な仕様の変遷を経てきました。1940年代、50年代のJ-45が世界的に高い人気を誇っているのは周知の事実ですが、ここ日本では1960年代中〜後期のJ-45が非常に高い人気となっています。ナロー・ネックの握りやすいグリップや、アジャスタブル・サドルによる独特のパーカッシブな音色などが人気の秘密ですが、日本のフォーク〜ニューミュージック・シーンで活躍した吉田拓郎氏や加藤和彦氏、細野晴臣氏が愛用していたJ-45が同年代であったことも人気の理由でしょう。言わば“日本人の耳に最も馴染んだJ-45の音”が、1967年製の音なのです。最近では斉藤和義氏が1968年製を、秦基博氏が1966年製を愛用されているのは有名ですね。
今回、クロサワ楽器店と三木楽器、そしてギブソンのコラボレーションによって、1967 J-45が100本限定で生産されました。クロサワ楽器店は2011年に1956 J-45を、2013年には1959 J-45を限定販売して、大人気となったのは記憶に新しいところです。今回は三木楽器と連携して1967年製を再現するプロジェクトを立ち上げ、2年越しで完成に至りました。前述のナロー・ネック、アジャスタブル・サドル以外にも、14度のヘッド角、当時と同じ形のピックガード、そしてサンバーストの周りの黒い部分が細い“タイト・カスタム・バースト”フィニッシュなど、こだわりが満載されています。
製作にあたっては、クロサワ楽器店スタッフが所有するオリジナルの1967年製J-45をもとに3DのCADデータを採取。それをギブソン・モンタナのボーズマン工場に持ち込み、クロサワ楽器店/三木楽器のスタッフが何度も渡米してディスカッションしながら、ギブソンの高い技術でひとつひとつの課題をクリアしていきました。そんな本器の製作ストーリーはこちらでも詳しく紹介されていますので、ぜひご確認を!
製作サイドの思いが詰まる1967 J-45についても、ジェレミー・モートン氏に伺いました。
──1967 J-45を紹介していただけますか?
Jeremy この1967 J-45は、とても面白いギターです。このギターが特別な理由はふたつあります。ひとつ目はネック周りで、ヘッド角度が17度から14度になっていることと、1960年代前半製よりもさらに細くなったグリップです。とても握りやすく、弾きやすいネックになっています。ふたつ目は、トップのサンバーストの外周がタイトになり、オリジナルの1967年製のサンバーストを復刻できたことと、1967年製の実器をもとに、工場内でピックガードを復刻できたことです。
──14度ヘッド角を作るにあたって苦労した点は?
Jeremy 1967年製のJ-45はギブソン史上初の14度ヘッド角を採用したモデルですが、14度のヘッド角は今までボーズマン工場では作ったことがありませんでした。また、このようなナロー・ネックを作ったことがなかったので、一から始めなくてはなりませんでした。
──ヘッド角を14度にすることによって、サウンドはどう変わりますか?
Jeremy テンションが低くなりますので、ロー・テンションならではのファットな音色を得ることができます。このことによって、よりオールラウンドな特性を持つギターになったと言えるでしょう。また音とは関係ありませんが、テンションが下がることで弾き心地も快適です。ナロー・ネックと相まって非常に高い演奏性も実現しました。
──演奏性はいかがですか?
Jeremy 指が短い私にとっても音が出しやすく、細いネックも手にフィットして、とても弾きやすいですよ(笑)。簡単に音色を出すことができるので、弾いていてとても心地好いです。
39mmのナロー・ネックがもたらすコードの押さえやすさ、狭めの弦間ピッチとアジャスタブル・サドルが生み出す独特のストロークの鳴り、14度のヘッド角による緩やかなテンションと深いサウンド、そして所有者を満足させる“タイト・カスタム・バースト”と当時のままのピックガード……。1967 J-45がいかに特別なギターか、ご理解いただけたでしょうか? ぜひそのプレイアビリティとサウンドを実感してみてください。なお、J-45 Vintage、Hummingbird Vintageについては後日、週刊ギブソンにて改めて紹介予定!
※次回の週刊ギブソン〜Weekly Gibsonは9月4日(金)を予定。
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