AQUBE MUSIC PRODUCTS
- 2024/11/16
ハイレゾ対応音楽再生ソフト
今回はWindowsとMacにインストールして使えるハイレゾ音源にも対応する音楽再生ソフトを有料/無料合わせて10本集めてみました。それぞれ異なる使用感、また有料/無料によるメリット/デメリットなどそれぞれ選ぶポイントは多々ありますので、自分の好みに合った1本を探してみて下さい。
PCでの音楽再生ソフトは、何を使っているでしょうか? 圧倒的に多いのは、Windowsであれば「Windows Media Player」、Macであれば「iTunes」でしょうか。両ソフトとも、バージョンによっても違いますが、ファイル形式の制約等はありながらもハイレゾ再生に対応しています。これらのソフトをそのまま使っても、PCでのハイレゾ再生を十分に楽しむことが可能です。しかし、PCでの音源再生において、音質面なども含め再生ソフトが担う役割はとても重要です。CDはCDプレーヤーによって音質が異なるのをご存知かと思います。高価なプレーヤーが必ずしも良音(好みの問題もあるため)とは限らないのですが、質の高いプレーヤーには厳選されたパーツが使われ、CDから読み取ったデジタル信号をアナログ信号に変換する際の精度も高いことが多いです。それが、最終的な音質に影響を与えます。
話をPCでの音楽再生に戻します。PCで音楽データを再生する際に、CDプレーヤーと同じような機能を担うのが、PC自体(再生ソフト)とUSB DAC等です。PCでデータを読み取り、音のデータ(デジタル信号)をUSB DAC等へと送ります(※1)。そのデータをUSB DAC等でアナログ信号へと変換し、アンプなどに送ることで、スピーカーから音楽が聞こえます。よってPCでの音楽データの再生では、USB DACの性能はもちろん、音楽データを読み取る再生ソフトによっても音質への影響が出てきます。再生ソフトごとに機能が違い、プログラムの組み方により、OSに与える影響や音声データを送る経路等も異なり、音質に差が出てきます。実際に、何本かの再生ソフトで同一音源を聴き比べてみると、その違いがハッキリとわかると思います。
今回のコラムでは、有料/無料を問わずハイレゾ再生に使える、音楽再生ソフトをご紹介したいと思います。中には1万円程度するソフトもありますが、それに見合うだけの音質と機能を備えています。無料でもハイレゾ再生を十分に楽しむ事ができるので、購入は躊躇しがちですが、試用版があるソフトもありますので、試してから購入することも可能です。素敵なUSB DACを手に入れても、PC側の問題で音質が劣化していることもあります。ぜひ、様々な再生ソフトから自分好みの1本を見つけて下さい。
※1 PC付属のスピーカーで音楽を鳴らす場合は、PC内部でD/Aを行います。
まずはWindowsのみで動く、音楽再生ソフトを紹介したいと思います。Windowsは、Macに比べるとOSのバージョンによる制約が少なく、古いOSでも動くソフトもありますが、オンラインで使うことがあるならば、Vista以上をお薦めします。WindowsはすでにXPのサポートが打ち切られているため、万が一コンピューター・ウイルス等の侵入によるデータの損傷などが起こる可能性もあり、セキュリティ面でも不利であるためです。またオーディオに関わる機能も、新しいOSにアドバンテージがあります。ただし、最新OSに関しては、USB DACのドライバーなどが未対応のこともあるため、注意が必要になります。
(※Windows 10への対応に関しては、各ソフトのページを参考にして下さい)
価格:無料
■ ダウンロードURL:http://www.foobar2000.org/download
■ 主な対応OS:Windows XP(SP2以降), Windows Vista, Windows 7, Windows 8ほか
■ 主な対応フォーマット:MP3, MP4, AAC, WMA, FLAC, WAV, AIFFほか
有料の再生ソフトが増えてきた中、無料で使うことができる高機能な再生ソフトウェアです。様々な拡張機能を加えることが可能で、それらの機能を駆使する事でDSDを含む多くの音楽データのフォーマットに対応しています。UI(ユーザー・インターフェイス)も見やすく、操作性も高く使いやすいプレーヤーです。
価格:18,110円
■ ダウンロードURL:http://www.shareit.com/product.html?productid=300615279&languageid=11&affiliateid=200171103(日本語版)
■ 主な対応OS:Windows Vista、Windows 7、Windows 8ほか
■ 主な対応フォーマット:FLAC、WAV、AIFF 、DSDIFF 、DSFほか
Signalyst社が提供する有料の音楽再生ソフトになります。今回は、日本語版が発売されているWindowsでの紹介ですが、Mac版も本国のサイト(http://www.signalyst.com/)では販売されています。MP3等の圧縮されたフォーマットの再生は捨て、ハイレゾやDSDといった高音質なファイルの再生に特化したソフトです。価格はやや高価ですが、こだわった音質が魅力です。
価格:無料(※GOLDは$24.95)
■ ダウンロードURL:http://www.mediamonkey.com/
■ 主な対応OS:Windows XP、Windows Vista、Windows 7、Windows 8ほか
■ 主な対応フォーマット:MP3、AAC/M4A、WMA、FLAC、WAVほか
無料ながら「iTunes」並のファイル管理機能があり、FLACなどの再生にも対応するソフトです。またCDのリッピングができる点も便利です。さらにファイルは限定されますが、音楽データの情報を管理(曲名/アルバムのアートワーク等)するタグの編集機能も充実しています。DLNAサーバーも構築でき、DSDの再生はできないですが、多機能で便利なプレーヤーと言えます。
価格:無料
■ ダウンロードURL:http://sourceforge.net/p/playpcmwin/wiki/PlayPcmWinJp/
■ 主な対応OS:Windows 7、Windows 8
■ 主な対応フォーマット:FLAC、WAV、AIFF、DSDIFF(非圧縮)、DSF
このソフトは、非圧縮のPCM音源を一度メモリ上に移してから再生する実験的なフリーウェアです。やや難解になるため詳しい説明は割愛しますが、Vista以降に搭載された“WASAPI”と呼ばれるオーディオAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェイス)を使って音源を再生できます。難しい設定なしに、音質重視の再生ができます。ぜひ一度音を聴いてみて下さい。
Macでの音楽再生と言えば、iTunesが圧倒的なシェアを誇ると思います。そのファイル管理能力、UIの使いやすさ、またCDDBに対応した楽曲情報の取得など、扱いやすさに関しては音楽再生ソフトの中ではトップ・クラスです。しかし、DSDやFLACに対応していません。また使いやすさを重視しているため、音質面を最重視したソフトとは言えません。人によって、音楽再生ソフトに何を求めるかにより、選ぶソフトも異なるかと思いますが、Macでのハイレゾ再生において、より音質を重視したい方は、iTunes以外の再生ソフトを試してみても良いと思います。また、有料ではありますがiTunesを使いながら音質を向上させるようなソフトも販売されています。ぜひ、いろいろと試してみて下さい。
価格:無料
■ ダウンロードURL:http://www.apple.com/jp/itunes/download/(Mac版)
※Macでのシェアが圧倒的なためMac編で紹介しています。
■ 主な対応OS: OS Xバージョン10.7.5以降
※Windows版は64ビット版、Windows 7、Windows 8
■ 主な対応フォーマット:MP3、AAC、ALAC、AIFF、WAVほか
Macユーザーのみならず、Windowsユーザーにも愛用者が多い、iTunes。強力なファイル管理やUIで、初心者でも簡単に音楽を楽しむことができ、完成度の高い音楽再生ソフトです。またCDからのリッピングを行なう際にも便利です。DSDの再生は不可ですが、ハイレゾ再生も可能です。近年はALACでのハイレゾ配信もOTOTOY等で始まっています。
価格:1,200円
■ ダウンロードURL:https://itunes.apple.com/jp/app/bitperfect/id455545700?mt=12
■ 主な対応OS:OS Xバージョン10.7以降(※iTunesが必要です)
このソフトウェア自体では再生をすることはできず、iTunesと組み合わせることで再生音をアップすることができます。最新バージョンでは若干の不具合も起きているようですが、手軽にiTunesでの再生音を向上させるには、お薦めしたいソフトウェアです。
価格:$99(Sonic StudioのHP内での価格)
■ ダウンロードURL:http://www.sonicstudio.com/amarra/amarra
■ 主な対応OS:Mac OS Xバージョン10.6以降
■ 主な対応フォーマット:MP3、AIFF、WAV、ALAC、FLAC、DSF、DSDIFFほか
アップル独自のファイル形式だけではなく、FLACやDSDにも対応した再生ソフトがAmarraです。DSDは5.6MHz、PCMは24bit/384kHzまで対応し、ほぼすべてのハイレゾ音源が再生可能です。販売元のSonic Studioは、世界の名スタジオで使われるマスタリング・ソフトを開発しているだけあり、音質面へのこだわりも十分に感じられる高音質での再生が可能です。
価格:$74
■ ダウンロードURL:https://audirvana.com/
■ 主な対応OS:Mac OS Xバージョン10.6以降(推奨:10.9以降)
■ 主な対応フォーマット:MP3、AIFF、WAV、ALAC、FLAC、DSF、DSDIFFほか
オーディオ・プレーヤーのようなUIで親しみやすいのが、Audirvana Plusです。Mac専用ながらDSDやFLACにも対応しています。iTunesとの連携もでき(iTunes Integrated Mode)、iTunes内のトラックを高音質で再生できます。ただし、このモードではFLACやDSDファイルの再生ができない点に注意が必要です。音質を追い込む機能も充実し、質の高い音楽再生が可能です。
ここからはWindows/Mac両方のバージョンがあるソフトを紹介します。最初に紹介するコルグのAudioGateは、同社のUSB DACなどにも付属するソフトですが、ソフト単体でも購入できるようになった製品です。ほかにも、コストパフォーマンスに優れたJRiver Media Centerなど、音質と使いやすさを両立したソフトもお薦めです。
価格:19,980円
■ ダウンロードURL:http://www.korgonline.com/products/detail.php?product_id=2850
■ 主な対応OS:Windows Vista、Windows 7、Windows 8、Mac OS Xバージョン10.8以降
■ 主な対応フォーマット:MP3、AIFF、WAV、FLAC、DSF、DSDIFFほか
DSDのネイティブ再生が、難しいセッティングなしに手軽に行なえるソフトがAudioGate 3(現在は、v3.0.4)です。簡易的なトラックリストのみですが、それがシンプルで使いやすいと感じるユーザーも多いと思います。またDSDディスクの作成も可能です。さらに様々なファイルのフォーマットをコンバートできる機能もとても便利で使いやすいソフトと言えます。
価格:$49.98(Windows かMac)
■ ダウンロードURL:http://www.jriver.com/
■ 主な対応OS:Windows Vista、Windows 7、Windows 8、Mac OS Xバージョン10.7以降
■ 主な対応フォーマット:MP3、AIFF、WAV、FLAC、DSF、DSDIFFほか
デザイン性も高く、使い勝手の良いUIを備えたソフトウェアがJRiver Media Centerです。DSDやハイレゾにも対応し、扱えるファイル形式が多いのも特徴です。また動画ファイルなどの再生にも幅広く対応しています。かなり多機能な再生ソフトながら、再生音にも配慮されています。また各種の出力フォーマットにも対応し、コストパフォーマンスに優れたソフトと言えます。
価格:無料
■ ダウンロードURL:http://www.videolan.org/vlc/
■ 主な対応OS:Windows XP(SP2以降)、Windows Vista、Windows 7、Windows 8、Mac OS Xバージョン10.6以降(最新バージョン)
■ 主な対応フォーマット:MP3、AAC、WAV、AIFF、ALAC、FLACほか
Macでも無料でFLACが再生できるようになるのがVLC media playerです。Windowsでは、foobar2000など優秀な無料の再生ソフトがありますが、Macでは選択肢がないため、とりあえずハイレゾ音源を楽しみたいと考えている方にもお薦めです。シンプルなUIのため使い方で迷う方は少ないと思います。音源をUI上にドロップするだけで音楽再生が楽しめます。
今回は数ある音楽再生ソフトの中から、厳選した10本を簡単にご紹介させて頂きました。各ソフトには、それぞれメリット/デメリットがあり、どれが一番使いやすい、音質が良いということは言えません。音質に関しては、再生する環境や音源によっても得手不得手があります。多くのソフトには、無料のトライアル期間があるので、いろいろとダウンロードしてみて、好きな音源を聴き比べて購入するのが良いでしょう。無料の再生ソフトでも十分にハイレゾ音源を楽しむことができますが、有料ソフトは使い勝手や音質面、さらには細かな設定などにこだわりが感じられ、ハイレゾ再生のストレスを減らすことができます。またDSD再生が簡単に行なえるソフトと、少し設定が難解なソフトもあるため、DSDの再生を考えている方は、なるべく再生のプロセスが簡単なソフトをお薦めします。再生ソフトの選択によって、聴く事ができるファイル、音質なども変わってくるため、既存のソフトのみならず、いろいろと試してみて下さい。高いソフトで2万円近いですが、ソフトによっては音質の違いを驚くほど感じられるはずです。まずは、ハイレゾ・ファイルを再生するソフトを見直すことで、大きな音質の向上が見込めるかもしれません。
最後に余談ですが、DAWのソフトでも再生音に違いがでます。試せる環境にある方は、DAWソフト(Cubase、Digital Performer、Logic、Studio One、SONAR、ProToolsなど)とも再生音を比較してみても楽しいと思います。ではまた次回!
菊池 真平(きくち・しんぺい)
音楽雑誌「Player」、オーディオ誌を発行するステレオサウンド社で「Beat Sound」、「Digi Fi」の編集に携わった後に独立。現在はフリーランスで、ビンテージ・ギター関連書籍/ギターに関する雑誌等に、編集/ライターとして携わる。国内外のミュージシャンへのインタビュー等も多数行っている。