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- 2024/11/16
MXR / Micro Amp Plus CSP233
MXRのペダル・ラインナップの中でもDyna Compに続く人気モデルと言えるのが70年代にリリースされたMicro Ampだろう。発売当時は「安物のギターでも高級ギターの音になる」的なフレコミで人気を集めたというMicro Ampは、非常にシンプルなブースト・ペダルだ。「プリアンプ」とネーミングされている様に、昨今人気のクリーン・ブースター等と比べると、コンプレッション感が強く、トーン自体もON時には若干太くなる。今回試奏したMicro Amp Plusは、レギュラー・ラインナップのMicro Ampにモディファイを加えた様な「カスタムショップ」らしい仕様を持っている。オペアンプが変更され、よりロー・ノイズになった点がまず一つ。そして、トレブルとベースのEQが追加されている点が二つ目だ。
Micro Ampはエッジィなギター・サウンドやアンプ・サウンドを、ほど良く「丸い音」にしてくれるペダルだ。それは愛用者にシングルコイル・ピックアップのギタリストが多い点からも察する事ができる。また、ビンテージ/ビザール系のピックアップ出力が低い楽器に使用すると、上記した「高級ギターの様な」サステインと出力が得られるのもポイント。さらに、このMicro Amp Plusはエッジィな方向にもトーンをシフトできる。よって、ハムバッカー・ユーザーや、ベーシストにも好まれるサウンドをクリエイトできるだろう。
動画で確認してほしいが、派手な効果では無い代わりに、弾き心地やトーンのニュアンスがMicro Amp PlusをON/OFFするとずいぶん変わるのが伝わるだろうか? スタック・アンプの様に「ローが膨らむ」アンプの低域をカットしながら若干ブーストを加える事や、小型真空管アンプの「物足りないトレブル」を足してやったり、トランジスタ・アンプの「音が硬い」ところを上手く「緩める」事も可能。地味なペダルゆえにトーンを損なわない、多彩な使用方法がある。アンプのセンド/リターンに接続し、ソロ用のレベル・ブーストとして愛用するミュージシャンも多い便利なペダルだ。ボードに忍ばせておくと、思わぬところで役に立つ、まさに「トーンの隠し味」と言える1台。
※使用アンプ:Fender '68 Custom Deluxe Reverb
※使用ギター:Crews Maniac Sound / OSTL-59
価格:¥20,000 (税別)
村田善行(むらた・よしゆき)
株式会社クルーズにてエフェクト・ペダル全般のデザイン担当、同経営の楽器店フーチーズ(東京都渋谷区)のマネージャーを兼任。ファズ関連・エフェクター全般へのこだわりから専門誌にてコラムを担当する他、覆面ネームにて機材の試奏レポ/製品レビュー多数。