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- 2024/11/16
Gibson Acoustic / J-15
今週から3回に渡ってお届けする、“ジルデコ”の愛称で知られるJiLL-Decoy associationのギタリスト、kubota氏にギブソン最新モデルを試奏していただく特別企画。バーサタイルなkubota氏だけに、バリエーション豊かな3本をチェックしていただきます。まずは、ギブソン・アコースティックのハイ・コストパフォーマンス・モデルJ-15をご紹介。この価格でこのサウンド! 正直、驚きの1本です。
2014年に発表されたギブソンJ-15は、名器J-45の流れを汲む“Jシリーズの末っ子”とも言える意欲作。ボディ・シェイプはJ-45譲りのラウンド・ショルダーで、外観はJ-45のそれに近いが、マテリアルは大きく異なる。本器は、ボディ・トップにシトカ・スプルースを、サイド&バックにはアメリカン・ウォルナットを採用している。メイプル・ネック/ウォルナット指板というのも特徴的。ブリッジはトラディショナルなレクタングル・タイプで、ここにもウォルナットが使われている。
ギブソンらしいキレがありながらも音に膨らみがあるJ-45に対し、J-15は全体にスッキリと鳴る印象。全帯域のバランスが良く、手が届きやすい価格を考えるとかなりコストパフォーマンスが高いモデルと言える。若いミュージシャンのファースト・ギブソン、ファースト“J”には最適な1本。また、独自のマテリアルを持つ本器が経年変化によってどのようなサウンドに変わっていくのか、成長が楽しみなモデルでもある。L.R.バッグス製エレメント・ピックアップを標準装備しており、即ステージで使えるのも嬉しいポイント。
──このモデルの第一印象を教えてください。
最初にコードを弾いた時に、深い鳴りを感じました。音圧があって、お腹に響くような鳴りですね。同時に、高域には透明感があって、抜けがいいです。高い方のシャリーンという音に濁りがなくて、コード・ストロークはもちろん指で弾いても気持ち良くて、思わずずっと弾いてしまいました。
──プレイアビリティについてはいかがですか?
僕は普段ガット・ギターを弾くことが多いんですが、違和感なく弾けました。すごく弾きやすいですよ。ボディ厚も適正で、ストロークの時に右腕が引っかかる感じもないですし、ネックのグリップも太過ぎず・細過ぎず、しっかり握れます。
──リーズナブルな価格帯については?
あとで価格を聞いてびっくりしました! その値段、あり得ないですよ。最初から楽器が鳴ってくれているんで即戦力で使えますし、安いからどうこうということはまったくないです。
──いろいろなタイプの演奏を聴かせていただきましたが、特に気持ちが良かったのは?
コードを鳴らした時の上から下まで全部出る感じが素晴らしくて、ストロークでジャカジャカ弾くのは本当に気持ちがいいですね。指で弾いてもレスポンスが良くて。
──材構成も独特のモデルです。
ええ、音が明るいですよね。メイプル・ネックの影響なのか、音の立ち上がりの速さ、粒立ちの良さはすごく感じました。
──定番のJ-45と比べると、いかがでしょうか?
やっぱり、違いは透明感でしょうね。ギブソンならではの“土臭い感じ”はJ-45に一歩譲りますが、その分、高域の透明感に優れていると思います。今までのギブソンにはないカラーを持った1本という感じですね。
──このギターをオススメするとしたら?
普段、弾き語りをやっている人で、ギターに新鮮さが欲しい人にはオススメです。若い方でも手に入れやすいですし、手の届く価格でいい音が欲しい人には試してもらいたいですね。それと、すでにメイン・アコギを持っている人にも、このギターの個性を試してもらいたいと思います。プロの現場でも使えるクオリティの音ですし、もちろん家で弾いても気持ちいいでしょう。ピッチもいいので、複雑なテンションのコードを弾いてもキレイに鳴ってくれますから、ジャズ、ポップスなどジャンルを問わず使えますよ。僕なら小編成の歌モノで、バラードなんかで使ったら、気持ちいいかなと思います。特にライブの現場で、これを使ってみたいです。
※次回の週刊ギブソン〜Weekly Gibsonは7月24日(金)を予定。
価格:¥226,000 (税別)
kubota
1976年、静岡県生まれ。本名:久保田浩之。JiLL-Decoy association(ジルデコ)で活躍するギタリスト。8歳でエレクトーンを始め、その後ピアノを習得。高校では吹奏楽部でクラリネットを担当、また指揮法、編曲を学ぶ。同時期にギターを始め、大学進学後ジャズ・ギターに目覚める。卒業と同時に渡米しジャズを本格的に学ぶと同時にプロとしてのキャリアをスタート。ジャズを中心にHIP-HOPやR&Bなど様々なギグやレコーディングを重ねる。2002年、セッション・ギタリストとして活動する中、towada(d)と出会い意気投合。その後chihiRo(vo)を加え、JiLL-Decoy associationを結成する。これまで6枚のフル・オリジナル・アルバムを発表している。