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- 2024/11/16
Line 6 / Firehawk FX
ギタリストの強い味方であるPODシリーズを始め、マルチ・エフェクト・プロセッサーの名機を生み出してきたLine 6。そんな同社がこのたび発表した最新マルチ・エフェクト・ペダルがFirehawk FXだ。200種以上の著名なアンプとエフェクトのサウンドを搭載しており、iOS、Androidに対応したFirehawk Remoteアプリにより手軽に操作できる逸品となっている。デジマート・マガジンではギター・マガジン2015年8月号の特集と連動しつつ、ストレイテナーの大山純による本機を使用したパフォーマンス動画と内蔵アンプ・サウンドの試奏レポート動画の計2本の動画で、その魅力を紹介する!
大山純がFirehawk FXを使ったら? 様々なアンプ&エフェクトを駆使した珠玉のギター・パフォーマンスをご覧いただき、本機の可能性を肌で感じてほしい。動画内の各セクションで使用したセッティングは後述するので要チェックだ。
使用アンプ:フェンダーSUPER SONIC
使用シールド:FREE THE TONE
Firehawk FXは、PODシリーズで培った強力なサウンドを、iOSやAndroidデバイスで簡単にエディットできる次世代のマルチ・エフェクト・プロセッサー。著名なアンプやエフェクトを選択でき、128種の内蔵プリセット・トーンを持つ。さらにオンラインのトーンライブラリーへアクセスすれば、膨大な数のサウンド・サンプルから、求める音を検索可能だ。POD HD500Xが比較的パラメーターやルーティング・オプションを駆使してトーンを作り込むタイプの人に向いているのに対し、本機は既存の音色をベースに直感的な操作で、手軽な音作りをしたい人に向くのが特徴。
●200種以上のアンプ&エフェクトを内蔵
本機はパワフルなDSPを搭載しており、200種以上のプレミアムなアンプ・モデリングとエフェクト・サウンドを実現。ビンテージ系ブルース・アンプから強烈なハイゲイン・アンプまでのコレクションをこれ1台でそろえられる。ディストーション、ディレイ、モジュレーションなど充実したエフェクトはリモート・コントロール可能だ。
●iOS、Android対応のアプリが示す可能性
iOS、Androidに対応したFirehawk Remoteアプリにより、指先だけでサウンドを作り込むことができるのが、本機の大きな特徴だ。クラウド上の膨大なトーンライブラリーにアクセスすれば、世界中から無制限にサウンドを手に入れられる。フロアに屈み込んだりPCを起動したりせずとも、その瞬間に得たい音を逃さずつかみ取れる点も、大きなメリットだ。
●スタジオからステージまで最高の動作を約束
Firehawk FXは、iOSデバイスへ超ロー・レイテンシーでレコーディング可能。MacなどのPCにも対応するので、場所を選ばず曲作りを行なえる。一方、Firehawk FXはステージでも威力を発揮。通常エフェクトとしての使用はもちろん、ダイレクトにPAやモニターに信号を送ってアンプレスでのステージや、内蔵ルーパーを使ったパフォーマンスも可能だ。
では、Firehawk FXの使い方について説明していく。誰でも簡単に音を出せるので、さっそくトライ!
ギターからのケーブルを、リア・パネルのギター・イン・ジャックに接続(Line 6 Variaxギターの場合は専用のVariax端子へ)。アンプにつなぐ場合は1/4アウト、PAやレコーディング・デバイスへはXLRアウト、ヘッドホンはフォン・アウトへつなぎ、電源をオン。トップ・パネルの1番大きいノブがマスター・ボリュームだ。
まず、モバイル・デバイスにFirehawk Remoteアプリをダウンロード。本体トップ・パネルのBluetoothペアリング・ボタンを押し、デバイスとのワイヤレスでコミュニケーションが可能になる。調整したいアンプやエフェクトのアイコンを選択し、細かなEQなどを設定するだけ。アイコン右上にはフット・スイッチの番号が表示される。
本体トップ・パネル左側、2段のフット・スイッチがバンクセレクト・スイッチ。各バンクには4つのプリセット・ロケーションが用意されているので下段のフット・スイッチで呼び出し、上段のFXフット・スイッチでFXをオン/オフ。アプリを使えばドラッグ&ドロップで接属順の入れ替えなども楽チン!
では、本記事冒頭のFirehawk FXを使用したパフォーマンス動画にて大山が使用したセッティングを紹介しよう。各セッティングはFirehawk Remote上で作成したもので、バンクにアサインしてフット・スイッチで切り替えながら演奏している。動画とあわせて確認してみよう。
ギター・パフォーマンスでは大山本人が愛用しているアンプにFirehawk FXを繋いでエフェクターとして使用したが、本機はライン出力も可能となっている。ここでは、内蔵されているアンプの中からハイゲイン系のLine 6 ElektriK、アメリカン系のBlackface 'Lux Normal、ブリティッシュ系のClass A-30 TBといった3つのアンプをピックアップし、iPhoneにインストールしたFirehawk Remoteアプリを直接触りながらサウンドをチェック。アプリの動きとリニアに音が変化していく様子を是非楽しんでほしい。まさに”次世代”を感じるはずだ。
アンプのサウンド変化も理解していただいたところで、使い方の応用編を紹介。あなたのアイディア次第で、まだまだ可能性は広がる。
本体リア・パネルにはFXセンド/リターンのモノまたはステレオのジャックが2つずつある。ここにお気に入りのエフェクターを繋いでみよう。ペダル・タイプやラック・タイプなど、つなぐエフェクターに最適な信号レベルをライン/ストンプ・ボタンで調整し、プリセット内のループの接続位置もアプリで編集できる。
エクスプレッション・ペダルは、ボリューム・ワウ・モード(ボリュームまたはワウとして機能する)と、Tweekモード(FXノブに設定されたアンプまたはFXのパラメーターを操作する)の、2種類に設定できる。任意で別のペダルをPedal 2端子に接続し、内蔵ペダルをワウ、Pedal 2をボリュームにするなども可能。
MacやiPadは、USBで接続すればすぐに使用できる。WindowsはLine 6から専用オーディオ・ドライバーをダウンロードすれば使用可能。接続後は高性能なステレオ・イン/アウト、24bitデジタル・オーディオ・インターフェイスとして機能。好みのDAWソフトでダイレクト・レコーディングができる。
Firehawk FXに触れてみた感想は、“ものすげぇおもちゃだな”って感じです。いったい、どんだけ遊べるんだっていう……。あれこれとやってみたんですけど、まだまだ試しきれていないアンプやエフェクターも多かったです。正直、知らないエフェクターもいっぱいありました。だから、“これ、なんだろう?”からスタートする感じで、もう時間がいくらあっても足りない感じですね。ただ、操作性はシンプルだから普段PCを使い慣れている人なら簡単に扱えるんじゃないですか? 僕は“最後のアナログ世代”なもんで(笑)、慣れるまではiPhone上で指をスライドさせるだけというところに、軽い違和感はありました。タブレットだと、画面が大きくて僕にはもう少し楽かもしれません。でも、これはすごいですよ。つまみがないということは、ライブ中につまみが壊れるとか、対バンのギタリストに意地悪されてセッティングを変えられるとか(笑)、そういうことが起こらないわけですから。いやぁ、ものすごい時代がきましたね。
音もいいですよ。また、内蔵しているアンプがすごいんですよ。ありえない組み合わせができる。あるパートをJCで弾いて、次のパートはマーシャルに変えて──って現実にやるには、かなり大変じゃないですか。それが簡単にできる。ハイゲイン系の音も過激ですね。ただ歪んでもハウリングは起こらないし、真空管のノイズも乗らない。出力はアンプとラインの両方を試しましたが、ラインの音もよかったです。アンプがなくてもいけるというのは、なんか、悔しいくらいです(笑)。こだわっていろいろなペダルやアンプを集めたりしたのに、“これでいいじゃん”ってなっちゃう。
これをお勧めしたい人は、例えばオールジャンルで弾きたい人、家での作曲に使うんでいちいちアンプ買っていられないって人、ギターを始めたのはいいけど何を目指せばいいかわからないって人。買って絶対に損はしないはずです。本物のアンプやエフェクターを買うよりものすごくお得ですもんね。自分で使うとすれば、レコーディング・セッションとかですね。“ちょっとギター弾いてくれない?”って時に、これ一台を持っていく。アンプもいらないし、ギターも借り物でいいくらいです。それでも、これ一台あれば何でも対応できますよ。
これまでいろいろな人が作ってきたエレキ・ギターの、歴史的な音のすべてがこのFirehawk FXの中に入っていて、それをiPhoneで再現できる。この“時代”が恐ろしいですね(笑)。
[Specifications]
●コントロール:Bluetoothペアリング・ボタン、DRIVE、BASS、MID、TREBLE、FX、REVERB、マスター・ボリューム・ノブ、FXフット・スイッチ×5、プリセット&バンク・セレクト・フット・スイッチ×6、タップ・テンポ・スイッチ、エクスプレッション・ペダル●接続端子:Pedal 2、ギター・イン、エフェクト・ループ、XLRアウト、1/4インチ・アウト、ヘッドホン、Variax、USB●電源:9VDCアダプター●外形寸法:510(W)×260(D)×82(H)mm●質量:4.5kg
リットーミュージック刊『ギター・マガジン』2015年8月号においても、「アプリでらくらく音作り! 大山純が試すLine 6 Firehawk FX」のタイトルで本機を特集している。是非あわせてチェックしてみてほしい!
定価:823円(本体762円+税)
仕様:A4変形版/274ページ
発売日:2015.7.13
価格:オープン
大山純
おおやまじゅん:78年生まれ、群馬県出身。ART-SCHOOLのギタリストとしてデビュー。03年にバンドを脱退したあと、しばらく音楽から離れていたが08年にストレイテナーに加入。現在は並行してanother sunnydayの一員としても活動中。