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- 2024/11/16
Gibson USA / Firebird V 2015
細部に渡りアップデートされた“2015モデル”が好評のギブソンUSA。今回紹介するのは、ファイヤーバードVの2015年モデルです。故ジョニー・ウィンターのイメージが強いモデルですが、どんなジャンルにも対応できる十分なパワーと明るく分離感の良いミニハム・サウンドが身上です。そんな魅力を動画で堪能してください!
1950年代後半から60年代前半にかけて、エレクトリック・ギターの世界では革新的なニュー・モデルが多く登場しました。そうした中でギブソンは、エクスプローラーやフライングVなど、時代を先取りした圧倒的なフォルムを持つ名器を発表。市場からさらにモダンなギターが求められる中で、1963年に発表したのがファイヤーバード・シリーズです。まず目を引くのは、このボディ・ライン。それまでのギターのカッタウェイは、低音弦側ホーンが長く、高音弦は短いのが普通でしたが、ファイヤーバードはそれとは逆の形状です。ヘッド・デザインも一般的なそれとは異なり、ペグも独特でいわゆるバンジョー・スタイルになります。こうしたことから“リバース型”とも呼ばれる特異なデザインは、当時相当なインパクトがあったと思われます(その後、1965年からの一時期は、この形状をさらに裏返したような“ノン・リバース型”に変わる)。
ファイヤーバードが革新的だったのは、ボディの形状だけではありません。実はギブソン初のスルーネック構造を取り入れたギターだったのです。70年代から80年代にかけて、“サステインが長い”ということで大流行したスルーネックですが、ギブソンはすでに1963年に導入していたわけです。ピックアップにはミニハムバッカーを搭載し、その搭載台数やポジション・マーク、ブリッジなどの仕様で、ファイヤーバードにはⅠ、Ⅲ、Ⅴ、Ⅶといったバリエーションがありました。今回の2015年モデルは、このⅤ(ミニハム×2、ディッシュ・ポジション・マーク他)の仕様をもとにしています。
2015年モデルだけあって、ワイドなネック幅とやや低めなフレットによるプレイアビリティの向上、弦高調整がしやすくサステインも良いゼロ・フレット・アジャスタブル・ナットなど、他のUSAモデルとも共通したギブソンの最新仕様が盛り込まれています。その一方で、ファイヤーバード伝統のスルーネック構造が採用されているのは嬉しいポイント(一時はセットネックだった時代もある)。また、ヘッド形状やギアレス・チューナーを採用しているからか、最新仕様のオートチューン機能は搭載されていませんが、クラシカルなファイヤーバードが好きな方には「これでよし」という人も少なくないはずです。それでは、そのサウンドを動画で確認してみましょう。
使用アンプ:マーシャルJVM205H(ヘッド)+1960A(キャビネット)
使用シールド:ギブソン18' Purple Gibson Instrument Cable
ここでは、ミニハム特有の高域がくっきりと明確なトーンが聴き取れると思います。トレブリーなのに耳に痛い感じがまったくないのは、マホガニー・ボディ、マホガニー/ウォルナット・ネックの相性の良さも大きいでしょう。動画の中間部では、オープンなコード・ワークや、低音弦でのブルース・リフを試していますが、シングルコイル搭載のギターほど細い音ではなく、太さや腰がしっかりありつつも分離が良い、実にミニハムらしい音がしていると思います。客観的に聴いて、非常に良い音ではないでしょうか。とても爽快感のある、気持ちのいい音です。
演奏性についても問題なし。かつて筆者自身が所有していた1976年のファイヤーバードは、まさに丸太のように太く厚いグリップで苦労しましたが、本器のワイドながら適度な薄さのネックは、誰もが違和感なく弾けるシェイプだと思います。カッコよく、弾きやすく、音も素晴らしいファイヤーバード。実は万人にオススメの1本なのです。
※次回の週刊ギブソン〜Weekly Gibsonは7月17日(金)を予定。
価格:¥259,000 (税別)