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- 2024/11/16
Gibson USA / SG Standard Bass 2015
今週も2015年版のギブソン・ベースを紹介します。今年3月に逝去されたフリーのベーシスト、アンディ・フレイザーへ敬意を込め、SGスタンダード・ベース(旧称:EB)を取り上げます。
サンダーバードと並ぶギブソン・ベースの代表的存在であるSGベースの歴史は、1953年に発表されたEB-1にまで遡ります。バイオリン型のソリッド・マホガニー・ボディを持つEB-1は、指板のすぐそばに配置された大型のハムバッキング・ピックアップが生み出す極太の重低音が特徴でした。その後、ES-335型のボディを持つEB-2や、レス・ポール・ジュニア型のボディを持つEB-0を経て、1961年には、型番はそのままに、レス・ポールに取って代わったSGギターと同じボディ・デザインを採用したEB-0が登場しました。同年には、ブリッジ寄りに小型のハムバッキング・ピックアップを追加したEB-3もラインナップに加わりました。EBの名は現在、まったく新しいデザインのモデルに受け継がれ、従来のEBはギターと同じ“SG”という名称になっています。
その最大の特徴は、30.5インチというショート・スケールと、コンパクトかつ軽量で取り回しやすいボディ、そして、その外観とは裏腹の図太い重低音を生み出すピックアップです。本器は、ジャック・ブルースやアンディ・フレイザーといった往年の名手に愛用され、根強い人気を誇るEB-3の基本仕様を受け継ぎつつ、より使いやすいようにハードウェアや電気系統がアップデートされています。主な変更点は、弦振動を効率的にボディに伝えるバビッツ製フル・コンタクト・ブリッジの採用と、豊かなサステインを狙った厚めのローズウッド指板、電気系統の使用パーツのスペックアップなどです。
早速、そのサウンドをチェックしていきましょう。
マホガニーのネックとボディ、ローズウッドの指板、大小のハムバッキング・ピックアップという基本構成を踏襲しているだけあって、期待通りの図太いサウンドです。ショート・スケールは弦のテンションが弱くて初心者でも弾きやすいのも魅力ですが、その一方、粘りのあるサウンドが得られて派手なビブラートもかけやすいという、ワイルドな性格も持ち合わせており、うねるようなロックのベース・ラインにはぴったりです。ハムバッキング・ピックアップ、とりわけ大型のフロント・ピックアップは重厚なサウンドを持っているので、このモデルを使う時にはそのあたりも存分に生かしたいところです。
コントロールは同じピックアップ構成のEB-3とは異なり、2ボリューム/1トーンとシンプルかつ明快なので、操作性は向上していると言えるでしょう。バビッツ製ブリッジは、弦のボール・エンドを固定する部分とサドルの距離が従来のものよりも長く、弦の端末処理部分がサドルに乗ってしまうという問題も解消されています。弦の伝達ロスの少なさは、厚めのローズウッド指板と相まって、より豊かなサステインの実現に寄与しています。ネックはロー・ポジションからハイ・ポジションまでグリップ感が均一で、サイズも太過ぎず、細過ぎずということで、演奏性も良好です。細かい改良の積み重ねで高性能な楽器に仕上がっています。
※次回の週刊ギブソン〜Weekly Gibsonは5月29日(金)を予定。
価格:¥207,000 (税別)