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- 2024/11/16
国産中古&ビンテージ・エレクトリック・ギター
手頃な価格で古いギターの楽しさを満喫できる、魅惑のジャパン・ビンテージ・ギター。時を経たギターが醸し出す独特の魅力──その時代を表すデザイン、経年による外見やサウンドの変化など──を堪能できる楽しいギターを、ここでは集めてみました。何をもってビンテージとするかという定義付けは難しく、特に国産の製品に対してはビンテージとは認めないという声もありますが、古いギターでなければ楽しめない魅力が海外のギターに限らず国産のギターにもあるのは事実でしょう。ここでは、80年代までに製造された国産中古+ビンテージ・ギターをまとめて紹介します。どれも魅力的なギターであることに、異論はないはず! 皆さんの、ギター選びの参考になれば幸いです!
80年代までのグレコは、本数/種類ともに多く、かなりのギターが今でも十分使えるものとして残っています。今だからこそ新鮮に映るオリジナルや、「こんなギターまで?」と驚くようなコピー・モデルまで、見ているだけでも楽しいですよね? かつては中古楽器店やリサイクルショップの店頭で、グレコとの出会いを待つしかなかったのですが、今はこうして選び放題です!
まずはGOシリーズやMRなどのオリジナル・モデル。デザインや機能面からグレコの本気具合が伝わってきます。当時は買えなかったという方に勧めたいのはもちろん、若いプレイヤーにもぜひ試してみてほしい傑作ぞろいです。国産ギター・コピー競争のシーンでもトップ・クラスにいたグレコ。王道のレス・ポール・タイプやストラト・タイプ、それも70年代後半から80年代前半の黄金期のモデルは完成度が高く、やはりお勧め。レス・ポール・タイプの上位モデルはトグル・スイッチ付近の塗装にグレコ独特の味わいがあって、それが個性的な顔立ちを作っています。
オリジナル・モデルの製造・販売に強いこだわりを持つ、ヤマハ。いわゆるコピー・モデルを製造していた時期もあるのですが、やはりヤマハらしさを楽しみたいのであれば、オリジナル・モデルを狙うのが良いでしょう。大人気のSGは、上位機種を中心に価格が高騰気味です。欲しいモデルを予算内で見つけたら、早めに決断したほうが良いでしょう。また、比較的低価格のSGもしっかりとした作りとサウンドを持っていますので、チャンスがあれば試してみては? SG以外のSC、SFなどのオリジナル・モデルもよく出来たギターですが、高中正義、カルロス・サンタナのようなビッグ・ネームの使用例がないというだけで、それほど人気は高くありません。中古価格も控えめで、もちろんギターの出来はヤマハのクオリティですから、人と違うモデルが欲しい人にオススメです。
当時のヤマハはパーツまでオリジナルにこだわっていたので、今では交換が難しい場合もあります。オリジナル度や改造歴をよく確認して購入し、末長く大切に使ってください。
70年代後半から80年代前半まで、日本のギター・メーカーが海外のビンテージ・ギターをコピーし、“どちらがより本物に近いか”を競っていた時期がありました。トーカイのその時代の製品は国内外で人気があり、特にレス・ポール・タイプの上位機種は非常に評価が高く、市場に出回ることも稀です。市場に出ても、プレミア価格となっているにも関わらず、一瞬で買い手がつきます。LS120以上のモデルは国産中古・ビンテージ市場でも最も足の速いギターですから、もし見つけたら本当に迷っている時間はないと思ってください。
トーカイのストラト・タイプも、評価が高いギターです。こちらも上位機種は常に品薄状態。一方、低価格帯のモデルは、この年代のトーカイの中では珍しく、比較的手に入れやすいモデルです。だからこそ焦らずに、できれば試奏をしてから手に入れて欲しいところです。
1982年に登場した、フェンダー・ジャパンのギター。憧れのフェンダー・ロゴがヘッドに入ったギターが手頃な価格で手に入れられるということでユーザーからは好評を博しました。その品質についても国内外で高く評価され、特に初期に製造されたJVシリアルのギターは海外でも高値で取引されています。シリアルにこだわって“特別な1本”を探すもよし、予算から探していくもよし。どちらにしても、ちゃんと“使える”ストラトキャスター、テレキャスターを見つけることができるはずです。
改造用にしても良いのですが、それなら90年代以降のモデルでも十分。この年代のモデルは、できれば消耗品以外はそのまま使うとか、改造する場合でもザグリが不要な同タイプへのピックアップ交換程度に止めると、ギターも喜ぶかもしれません。
■魅惑のジャパン・ビンテージ「Fender Japan」を検索!
アイバニーズは、ご存知の通り、個性豊かなオリジナル・モデルやアーティスト・シグネチャーを多数ラインナップしているブランドです。国内外での評価も高く、名器と称されるモデルも数多くあります。ソリッドのAR、セミアコのASなどは、当時のアイバニーズを代表する名器です。音に嫌味がなくエフェクト乗りが良い点、とても弾きやすいネック(もちろんグリップの好みはあると思いますが)などが特徴です。AS200はジョン・スコフィールドが長年愛用していることでも知られていますが、これはシグネチャー・モデルではなく、オリジナルのレギュラー・モデルです。
シグネチャー・モデルには、ジョージ・ベンソン、ジョー・パス、アラン・ホールズワース、リー・リトナーなどジャズ/フュージョン系ギタリストの錚々たる名前が連なります。こうしたテクニシャン、スーパー・ギタリスト達と意見交換しながらギターを作っていったことがアイバニーズの財産になっているのでしょう。ファンにお勧めしたいのはもちろんですが、アイバニーズらしい弾きやすさ、扱いやすさは一度手にして体感してみてほしいところです。
アライ、アリアなどのブランドでギターを発売していた荒井貿易が、さらに完成度の高い(プロ)、一歩進んだ(ツー)ギター作りをという思いを込めて1975年にスタートしたブランドが、アリア・プロツーです。当初は、グレコ、フェルナンデス、トーカイなどに全く引けをとらない完成度の高いコピー・モデルを発売しており、特にストラト・タイプのモデルに当時新興メーカーだったディマジオのピックアップを搭載したモデルは、日本のギター・キッズにピックアップの重要性を知らしめた衝撃的なモデルでした。また、コピー競争からいち早く脱却し、オリジナル・モデルに力を入れていったことでも知られるブランドで、PE、RSなど数々の名器を世に送り出しています。 特にPEの高級機種は現在プレミアが付いて入手が難しい状況ですが、もしチャンスがあれば、ぜひ実器を見て、触っていただきたいと思います。ボディ・トップ&バックのカーブは息を飲むほどに美しく、70年代の後半に日本でこんなギターが作られていたのかと、驚くこと間違いなしです。
■魅惑のジャパン・ビンテージ「Aria Pro II」を検索!
フェルナンデスにも、使えるギターはたくさんあります。基本的にはフェルナンデスはフェンダー・タイプのギターに、またバーニーはギブソン・タイプのギターに使われたブランド名ですが、稀にフェルナンデス・ブランドのギブソン・タイプも混在し、マニアを喜ばせています。初期フェルナンデスは、筆記体のいわゆるスパゲティ・タイプのロゴで、77年頃に「F」が漢字の石に見えるデザインの通称「石ナンデス」ロゴに変更され、81年からはブロック体のロゴに変更されます。最も人気が高いのは、81年からのブロック体ロゴが採用された“リバイバル・シリーズ”のモデルで、ビンテージ・ギターの復刻を謳ったギターです。リバイバルの人気に隠れがちですが、石ナンデスも良いギターですし、比較的手に入れやすいと思います。
はっきり言って、フェルナンデスに限りませんが、いかにコピー精度を上げたと言っても決してビンテージ・フェンダーの音はしません。しかし、それとは別物ですがフェンダー系の心地よい音、弾いて楽しい音はします。ロゴや細部については割り切ってしまうのも、一つの選び方かもしれません。
国産ギター・ブランドの草分け的な存在であるグヤトーン。現在は残念ながら会社は存在していませんが、グヤトーンのギターはまだ市場に残っています。50年代以降無数に作られたオリジナルなのかコピーなのかよくわからないビザール系のギターと、ビザール系を発展させたような強烈な個性を放つオリジナル・モデル、そしてストラトやリッケン、モズライトなどのコピー系のモデルです。
グローリーと呼ばれたLG-1000、マロリーと呼ばれたLG-880などのオリジナル・モデルは、現在ほとんど市場に出てきません。比較的、入手しやすいのはビザール系の低価格帯のモデルです。作れば作るだけ売れた日本エレキの黄金時代があって、その頃には品質はお構いなしにとにかく量産されたようですから、当時のグヤトーン製品に現代的なクオリティ(ピッチの良さや安定感、グリップやフレットやナットの処理などによる弾きやすさ、ハウリングやノイズへの強さetc)を求めても仕方がありません。しかし、現代のギターでは出せないチープなサウンドは、ごく一部にハマるジャンルがあり(ガレージ、GS、B級ファンクなど)、そういったジャンルのプレイヤーには合うはずです。また、たまに見かけるストラト・タイプなどの王道コピー系のモデルにもそこはかとないビザール感が漂い、好きな人にはたまらないギターと言えます。
グヤトーンと並んで日本のエレキ・ギター史を作ってきたテスコ。チープな持ち味が70年代には評価されなくなってしまいましたが、ライ・クーダーやデヴィッド・リンドレイらによる“テスコ再発見”を経て、一定の評価を得るようになりました。今ではビザール系ギターの日本代表といったポジションを確立し、世界の好き者の憧れの的です。テスコが評価されているポイントは、そのピックアップにあります。テスコのピックアップといってもいろいろあるのですが、“ゴールドフォイル”、“スクエアポールピース”などが人気です(正式名称などありませんので、全て通称です)。例えばスクエアポールピースは非常にパワフルでありながらチープなニュアンスも残し、“爆音で鳴る針金”の音を出力します。
サウンドが良く、生産数が多いせいか比較的手に入れやすいのがテスコの良いところですが、反面、ネックが太くフレットが小さく非常に弾きにくい、ルックスの好みが分かれるなどの気になるところもあります。スライド用に使う人が多いのは、音は良いが弾きにくいという人が多いせいでしょう。スライド好きな方、1本いかがですか?
フレッシャーは、70年〜80年代に存続した国産ブランドで、はっきり言ってしまえばグレコやフェルナンデスにも手が届かないという少年/少女たちを対象に、低価格のコピー・モデルを提供していたブランドです。オリジナル・モデルや、コピー・モデルでも割としっかりした作りの比較的高価なモデルも存在しましたが、主力は低価格のコピー・モデルです。
同ブランドの低価格コピー・モデルは、駄菓子の味わいです。ずばり、お勧めは、デタッチャブル・ネック、実はシングルコイルのハムバッカー風ピックアップを搭載した、中空構造の“レス・ポール風”モデル。言語道断なスペックですが、もし見かけたら騙されたと思ってカッティングしてみてください。1〜2万なら即買いしたくなるはずです。また、王道モデルをベースに、エフェクターを多数搭載したモデルも密かな人気です。
ピアノで有名なカワイも、オリジナル・ブランドのギターを作っていました。大きくは、いわゆるビザール系のギターと、70年代後期から80年代にかけて製造された、当時の最先端っぽいギターに分けられると思います。ビザール系については他社のOEM生産も含めて恐ろしい数を作っていたようで、正確な種類やモデル名は把握できていません。スライド・ギターで有名なハウンドドッグ・テイラーが、カワイのビザール系モデルで極悪歪みスライドを決めまくっていたのは、少しだけ有名です。
70年代後期〜80年代のオリジナル・モデルは、日本の多くのメーカーがそうであったように、B.C.リッチやアレンビックといった当時の最先端ギターの影響を受けて、スルーネック構造が採用されています。また、ハイ・パワーのピックアップ、コイルタップなどの機能面も、当時は最先端でした。その後、著名なギタリストでこの最先端系カワイ・ギターを使っている人は、見たことがありません。あなたが最初の一人になるかもしれない──そう思うと、欲しくなってきませんか?
魅惑のジャパン・ビンテージ・ギター、いかがでしたでしょうか? 今回紹介しきれなかったブランドにも、80年代までの国産ブランドには面白い個体が数多くあります。例えば、ハービーのレス・ポール・タイプの上位機種は、恐らく国産レス・ポール・タイプ史上で最も高いトップのカーブを描き(盛りすぎ?)、復活を果たしたHSアンダーソンのテレ・タイプは、あのプリンスの心を鷲掴みにしました。高級ブランドの草分けナビゲーターの名器は、今でも輝きを放っています。
一方、今なら大問題のギボン、ギャンソン、ファウンダーなどのグレー・ゾーン・チーム、低価格帯の王者トムソン&トーマス等など、迷器も山ほどありました。今なら、半笑いのままファズでもかけて弾いてみたいところです。
いろいろなギターがありますが、誰がなんと言おうとあなたにとって良いギターなら問題ないはず。気になるギターが見つかったらぜひ手に入れて、末長く可愛がってあげてください。