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- 2024/11/16
VGS / Soulmaster VSM-120 7 Select
【Evertuneのシステム概要】
ギタリストにとってチューニングの安定は永遠の課題……と言っても過言ではないでしょう。
ギターは構造上、チューニングが非常に狂いやすく安定しにくい楽器で、環境によっては数曲毎にチューニングを確認・調整する必要があります。都度ぴったりと合わせても、アーミングやチョーキングによって、またライブ中の照明などで、たとえ曲中であってもチューニングが狂ってしまいます。更にもっとシビアに判断すれば、弦を押さえる力加減ひとつでピッチが狂ってしまい、シビアなレコーディングの現場などではそのわずかなピッチの狂いでNGになる場合もあります。それほどまでに、ギターという楽器はチューニングが安定しない楽器なのですが、今回紹介するVGS Soulmasterに搭載されている「Evertune」は、それら全ての悩みから解放される、チューニングが狂わない超発想の驚異のブリッジ・システムです。
Evertuneは各弦独立のサドルを持ち、各サドルに1本のスプリングが配されています。このスプリングはアーミングなどのトレモロに使用するのではなく、各弦にかかるテンションを調整するために使われます。押弦やネックの動きなどで発生した弦のテンションの変化をスプリングが吸収し、テンション(=チューニング)を一定に保ってくれます。動画内ではかなりの勢いで弦を引っ張ったりチョーキングをしたりしていますが、その後に弾いたCメジャー・スケールではピッチが一切狂わず安定しています。ぜひともご確認いただきたいポイントです。
【Evertuneのチューニング/セッティングについて】
基本的に一度チューニングしてしまえば、チューニング・パターンを変更したり弦を交換しない限りチューニングをする必要がありません。
Evertuneは二つのモードの設定が可能です。ひとつはチョーキングなどで弦に力が加わっても一定のテンションを維持し、チューニングやピッチが狂わない(変化しない)モード(動画内の解説では「ノーベンドモード」と解説しています)。もうひとつは、チョーキングやビブラートなどは通常のギターと同様に行うことができ、かつチューニングが狂わないモード(動画内の解説では「ベンドモード」と解説しています)。使用する状況としては、「ベンドモード」の使用率が高いと思いますが、レコーディング時のバッキング・トラックなどにはピッチにシビアな、ノーベンドモードが非常に便利になります。
こういった特殊な機構を最大限に発揮するために、Evertuneのチューニング方法は他のギターと少し異なります(詳しくは動画をご参照ください)。
1:全弦を全て緩める
2:スウィートスポットまで弦を巻き上げる
※ベンドモードに設定する場合は、スウィートスポットまで巻き上げ、さらに音程が変化するポイントまで巻き上げる。
3:付属の六角レンチを使用して、ファイン・チューナーの要領で微調整していく。
通常のチューニング方法と比べ工程は多くなりますが、一度合わせた後はペグを回してチューニングする必要がないので、手間と感じることもないかと思います。
【VGS / Soulmaster VSM-120】
動画で使用したEvertune搭載ギターについても触れておきましょう。ドイツのVGS(Visions in Guitars)というブランドの、Soulmaster VSM-120 7 Select。低音弦にローB弦を加えた7弦仕様です。ギターは比較的低音弦が安定しにくいので、ローB構成の多弦ギターにとってEvertuneはとても相性の良いシステムと言えるでしょう。
ボディはマットな仕上がりに加え細かなザラザラとした加工が施してあるので、ホールドした際に滑り止め代わりになり安定感が増します。ネックはさらっとしたサテン・フィニッシュのため、7弦から1弦までスムーズなフィンガリングが可能です。薄めのネックが採用されており、7弦というネック幅を意識することなく、アグレッシブなリフ・ワークもストレスなくプレイできます。また、ヒールカットも施されているので、24F仕様を生かしたハイ・ポジションでのリードもスムーズにプレイすることができます。
Evertuneブリッジ・システムがかなり複雑な構造で、かつ7弦仕様ということもあり重量が気になるところですが、かなり軽めに作られているので長時間でも疲れを知らずに演奏することが可能です。ピックアップにはBackdraftというVGSオリジナルのハムバッカーが採用されており、適度なパワーと優れた分離性でエフェクターの乗りも良いのが特長です。コイルタップを搭載しているので7弦をフルに使用したヘヴィなリフはもちろん、クリーン/クランチ・サウンドなど、あらゆるジャンルに対応することができます。
価格:¥140,000 (税別)
ぎんじねこ
YouTube動画再生回数520万回、チャンネル登録者数8000名以上のモンスター・チャンネルを運営し、オリジナル曲のセルフ・プロモーションや、メーカーの製品レビュー、モニター動画などの配信活動を数多く手がける。2009年、Gibson社のオフィシャル・バンド・コンテストにて、ギターソロで2位入賞。日本を代表するトップミュージシャンである、西川進氏や松田"FIRE"卓己氏とも共演。また、音楽誌の特集ページやCDレビュー等への寄稿など幅広く活動中。さらに、15年の講師活動を経て、現在は“ヤマノミュージックスクール”のギター科インストラクターとして、後進の指導育成も努めている。