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- 2024/11/16
Gibson Memphis / B.B.King Lucille
スペシャル企画「田中義人が弾く! ギブソン・メンフィスのアーチトップ・ギター」の第3週目は、自身のバンドを「C.C.King」と名付けるほどB.B.Kingを敬愛する田中義人氏が熱望した「B.B.King Lucille」編をお届けします。気持ちの入りまくった、ブルース魂爆発なプレイ、必見です!
世界で最も有名なシグネチャー・モデルのひとつ、B.B.King Lucille。B.B.Kingは1949年以降、最も大切なギブソン・ギターに“ルシール”の名を付けて愛用してきた。初代ルシールはアコースティック・ギター用のピックアップを付けたもので、60年代からはギブソン・シンラインのフラッグシップ・モデルであるES-355にルシールの名を付け愛用。現在のシグネチャー・モデルの原型が完成してからは、細部の変更はあるものの一貫して共通した仕様が見られる。フィードバック対策としてトップ材にfホールがない点(構造自体はソリッドではなくセミ・ホロウ)、バリトーン・スイッチを搭載している点、TP-6テイルピースを採用している点、そしてジャックはトップではなくサイドに位置している点などだ。これらの独特な仕様やゴールド・パーツ、ゴージャスなインレイやバインディングなどからも、ES-355をベースに改良したモデルであることが伺える。ピックアップには490R(ネック)、490T(ブリッジ)を採用、エッジの効いたサウンドを生み出してくれる。
──これまでルシールを弾いたことは?
いや、弾きたくて弾きたくてたまらなかったんですが、実際に弾いたのは今日が初めてです。
──印象はいかがでしたか?
もう「これぞ!!」という感じでした。もちろん、B.B.のような音は僕には出せないんですけれど、それでもB.B.的なものを感じることができました。
──とはいえ、まさにB.B.の音そのものという感じでしたが……あれは楽器そのものの音なのでしょうか、それともルシールを弾くことで何かが降りてくるのでしょうか?
うーん、どうなんでしょう……もちろん弾く側・聴く側の双方に先入観もあるかもしれないですけど……ただ、このルックスと独特のオーラが“やっぱりB.B.っぽいね”と納得させる何かを持っているということはあるでしょうね。
──では、普段使っている335と比較するとどこが違いますか?
まずは、手にした感じが重いですね。重量感があります。構造はともかく、音も少しソリッドな印象ですね。グリップなどの印象は335と変わらず、僕にとっては弾きやすいタイプです。
──バリトーン・スイッチはいかがでしたか?
いや、これは面白いなと思いました! フィルターっぽいかかり方をするので、サウンド・エフェクトとして使うと面白いんじゃないかと思って試してみたんですけど、いろいろな可能性があると感じました。試奏ではバリトーンの各ポジションの音の違いにインスパイアされて、「6」から弾いていき、最後の「1」ですごく太い音になった時はやはり思わずB.B.的なフレーズも出ましたね。
──やはり、オススメはB.B.のファンの方ということですね。
そうですね。まずB.B.のファンには間違いなくオススメできます。ただ、それ以外の方にもぜひ使ってみてほしいギターです。とてもインパクトが強いので、B.B.のファンの方以外は手が出しづらいかもしれませんが、実は歪みのノリがものすごく良くて幅広く使えるし、バリトーン・スイッチも非常に面白い。インスピレーションを与えてくれる楽器ですので、B.B.Kingやブルースのファンばかりではなく、他のジャンルの人にもぜひ試してみてほしいと思います。
※次回の週刊ギブソン〜Weekly Gibsonは4月24日(金)を予定。
価格:¥513,000 (税別)
田中義人
1973年、北海道札幌市生まれ。“今最も忙しいギタリスト”と称されるギタリスト/コンポーザー/アレンジャー。1997年にES-335を携えて上京。1999年、大沢伸一と出会い、monday michiru bandへ参加したことを皮切りに、bird、絢香、嵐、今井美樹、m-flo、大黒摩季、ケツメイシ、Chemistry、さかいゆう、Jazztronik、JiLL-Decoy association、柴田淳、Superfly、スガ シカオ、SMAP、徳永英明、中島美嘉、葉加瀬太郎、秦基博、Funky Monkey Babys、ファンキー加藤、藤巻亮太、BoA、松下奈緒、YUKI、塩谷哲、レミオロメンなど数々のアーティストのレコーディング・セッション/ツアー・サポートを務める。自身のプロジェクトとしては2010年に、松原秀樹(b)、森俊之(k)、玉田豊夢(d)とC.C.KING結成。2010年に1stアルバム『C.C.KING』を、2014年に2ndアルバム『C.C.KING Ⅱ』をリリースする。さらにソロ・アーティストとしても2013年2月に待望の初ソロ・アルバム『THE 12-YEAR EXPERIMENT / YOSHITO TANAKA』をリリースした。ブルージィでありながらジャジィ、ソウルフルでありながらファンキーというクレバー&ハイブリッドなプレイ・スタイルは、世代を問わず各方面から高い評価を得ている。