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- 2024/11/16
Gibson Memphis / 1959 ES-330TD
4週連続でお届けするスペシャル企画「田中義人が弾く! ギブソン・メンフィス・アーチトップ・ギター」の第2週目は、「1959 ES-330TD」編です。今回も名手・田中義人氏による、330の個性を活かしたファンキー&ブルージーなプレイでお届けします。
セミアコの代名詞=335と同じボディ・シェイプを持ちながら、フル・アコースティック構造を有するES-330。古くはグラント・グリーン、近年ではニュー・マスターサウンズのエディ・ロバーツなど、ファンキーなギタリストに愛されてきた。この1959 ES-330TDは、1959年にわずか270本しか出荷されなかったオリジナルのサンバースト/デュアル・ピックアップのES-330を再現したもの。ミッキー・マウス・イヤーと呼ばれるカッタウェイの形状、黒いドッグイヤー・タイプの2基のP-90、ドット・インレイ、そして深みのあるサンバーストの色合いなど、オリジナル・モデルを忠実に再現している。335と比較するとセンター・ブロックがない分軽量で、取り回しも良く、両者のスケールは同じながら、こちらは16フレット・ジョイントのため小振りに感じるはずだ。サウンドはアコースティカルで豊かな生音が特徴。アンプに通すと、生音にP-90特有のブルージーなニュアンスが加わり、本器ならではの魅力的なトーンを創出する。
──これまでに、ES-330を弾いた経験は?
知り合いが持っているのを触らせてもらったことがある程度ですね。今日は、ほとんど白紙の状態でプレイしました。
──実際に弾いてみて、いかがでしたか?
グラント・グリーンが好きでして、330と言えばファンキーでジャズっぽい音色というイメージは持っていたんですが、実際に触ってみると、それに加えてかなりソウルフルな音がする印象ですね。
──試奏は確かにソウルフルで、しかもとてもファンキーなプレイでした。
そうですね、なんかそういうのに“呼ばれる感じ”があって……。弾いていて自分でも“おっ? このギター、面白いな!”という感覚はありました。ギターに影響される感じはありましたね。弾き始めは335に比べるとサステインが短いので一瞬戸惑いましたが、それもすぐに馴染んできて、そうなるとどんどんインスピレーションをくれるギターだと感じました。
──カッティングも絶妙なニュアンスでしたね。
すごく歯切れが良いというより、ちょっと土臭いような、独特の雰囲気がありますよね。だから自分で弾いていて普段は浮かばないようなリフが浮かんだり。右手のタッチに対する反応もとても速くて、だからこそどんどんフレーズが湧いてきたということもあります。
──音色については、いかがでしたか?
フロントでジャズっぽいことをやると、すごくハマりますよね。そして、335に近いシェイプで抱えやすいのに、このトーンを得られるのは魅力的です。フルアコよりも扱いやすくて、フルアコっぽい音色を得られるというか。普段335を弾いている僕にはとても弾きやすいですね。それから、このP-90のシングルらしい独特の“鮮度”と言えばいいんでしょうか……ハムバッカーとは違う感じが新鮮でした。センターとリアに関しては、持っている“色”が強烈なので、このギターで弾くリフをメインにした曲を作ってみたいですね。自分のバンドでも活躍するシーンがありそうだと感じました。
──本器はどんな人にオススメできますか?
大人のプレイヤーにはもちろんなんですけど、すごく弾きやすい楽器だし、生鳴りも非常にいいので、これからジャズをやりたいとか次のステップに進みたいという若いプレイヤーにもオススメしたいですね。あまり深く歪ませるイメージはありませんが、それ以外ならかなりいろいろなシーンで使える楽器だと思います。
──最後に改めて、330の魅力について教えて下さい。
これまでにないインスピレーションをくれるところが魅力的で、僕にとっては新しい発見がたくさんあるギターでした。ちょっとパートナーシップを築いてみたいというか、長く付き合ってみたいギターだと感じました。そうすることでもっともっと可能性を引き出せる、そう感じさせる魅力的なギターです。
※次回の週刊ギブソン〜Weekly Gibsonは4月17日(金)を予定。
価格:¥462,000 (税別)
田中義人
1973年、北海道札幌市生まれ。“今最も忙しいギタリスト”と称されるギタリスト/コンポーザー/アレンジャー。1997年にES-335を携えて上京。1999年、大沢伸一と出会い、monday michiru bandへ参加したことを皮切りに、bird、絢香、嵐、今井美樹、m-flo、大黒摩季、ケツメイシ、Chemistry、さかいゆう、Jazztronik、JiLL-Decoy association、柴田淳、Superfly、スガ シカオ、SMAP、徳永英明、中島美嘉、葉加瀬太郎、秦基博、Funky Monkey Babys、ファンキー加藤、藤巻亮太、BoA、松下奈緒、YUKI、塩谷哲、レミオロメンなど数々のアーティストのレコーディング・セッション/ツアー・サポートを務める。自身のプロジェクトとしては2010年に、松原秀樹(b)、森俊之(k)、玉田豊夢(d)とC.C.KING結成。2010年に1stアルバム『C.C.KING』を、2014年に2ndアルバム『C.C.KING Ⅱ』をリリースする。さらにソロ・アーティストとしても2013年2月に待望の初ソロ・アルバム『THE 12-YEAR EXPERIMENT / YOSHITO TANAKA』をリリースした。ブルージィでありながらジャジィ、ソウルフルでありながらファンキーというクレバー&ハイブリッドなプレイ・スタイルは、世代を問わず各方面から高い評価を得ている。