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- 2024/11/16
Roland / Blues Cube Artist、Blues Cube Stage
Rolandが90年代に発表した“Blues Cube”。一時代を築いた名機が、このたびまったく新しい最新2機種として生まれ変わった。80WのBlues Cube Artistと60WのStageがそれだ。これらを開発するため、同社は数々のビンテージ・チューブ・アンプを徹底的に研究。そのうえで復刻やモディファイとは一線を画す、モダン・ビンテージ・サウンドを実現する回路設計を行なっている。さっそく、Superflyなどのサポートで活躍するロックンロール・ギタリスト、曽根巧の試奏レポートとともに紹介しよう。
90年代に発表されたBCシリーズと同じBlues Cubeを冠しながらも、リメイクやアップデートではない、ゼロからの新生に取り組んだ本シリーズ。数々のビンテージ・チューブ・アンプを研究し、Roland独自のTube Logicによりサウンドに影響する回路動作をトータル・デザイン。プリ管、パワー管での歪みはもちろん、電源によるコンプレッション感、加えてアウトプット・トランスやスピーカーなど、各パーツの相互作用までをも考慮して設計されている。80W出力のArtistは、クリーン&クランチの2チャンネル構成。そして、その2チャンネルを任意のバランスでミックスできるデュアル・トーンが、本シリーズ最大の特徴だ。またArtistは、プレゼンスとトレモロ、エフェクト・ループも装備し、より繊細かつ自由な音作りを可能としている。
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[Specifications]
●出力:80W●スピーカー:30cm×1●コントロール:POWER、DUAL TONE、CH SELECT【CLEAN】BOOST、TONE、VOLUME【CRUNCH】BOOST、TONE、GAIN、VOLUME【EQUALIZER】BASS、MIDDLE、TREBLE【EFFECT】TAP、EFX LOOP、TREMOLO、REVERB、PRESENCE、MASTER、POWER CONTROL●接続端子:INPUT HIGH/LOW端子=標準タイプ、LINE OUT端子=標準タイプ、PHONES端子=ステレオ標準タイプ、FOOT SW(TIP=TREMOLO、RING=EFX LOOP)端子=TRS標準タイプ、FOOT SW(TIP=CH SELECT、RING=DUAL TONE)端子=TRS標準タイプ、FOOT SW(GA-FC)端子=TRS標準タイプ、EFX LOOP SEND端子=標準タイプ、EFX LOOP RETURN端子=標準タイプ、REC OUT端子=USBタイプB、AC IN端子●外形寸法:592(W)×260(D)×485(H)mm●質量:16kg
このデュアル・トーンはすごい! 使い方としては歪みにクリーンを混ぜるという感じなんですが、周りは歪んでいるんだけどクリーンならではのキラッとした芯が残るので、バンド・アンサンブルで音がいっぱいあっても負けませんね。特にアナログ的な、ビンテージ的なサウンドの場合、ほかのドーピングしているような歪みと混じるとどうしても負けてしまいますけど、これなら大丈夫です。歪みの部分をキラッとさせることはほかのアンプやエフェクターでもできるんですけど、芯をキラっとさせるっていうのはなかなか難しいですし、かなり新鮮な体験ですね。かゆいところに手が届くスイッチ、かな(笑)。特にシングルコイルのギターには絶対合いますね。
クリーン・チャンネルも十分な馬力がありますし、ボリュームを上げても音が潰れないのは良いですね。ゴンッと腰から押し出される感じです。音のキャラとしてはフェンダー系な気はするんですけど、フェンダーのどれとも違います。クランチのほうは、ゲインを上げると音が潰れていく感じではなく、原音に“歪み”がうまく足されているような印象です。これはペダルで歪ませた感じとも違いますね。とにかく不思議な感触です。内蔵エフェクトに関してはトレモロが良かったです。タップ・テンポ設定もできるので、いろいろな遊びやトリックにも使えそうですよ。それと、ペダルのトレモロだとオンにした瞬間に音色が変わってしまうものもあるんですけど、これは原音のまま音量だけが上下するので良いですね。
Stageは、60W出力であること、プレゼンスとトレモロがないこと以外は、Artistモデルと同様のスペック。クリーン&クランチの2チャンネル構成で、デュアル・トーンももちろん装備している。シリーズ共通のスペックとしてはほかに、0.5W/15W/45W/Maxの4段階で出力切り替えが可能。シチュエーションを問わずに“欲しいクランチ・サウンド”を作れるというわけだ。さらに、各チャンネルのBOOST(ミッド・ブースト)とTONE(ブライト・スイッチ)、本シリーズ用に調整されたリバーブがある。USB端子を介してパソコンにダイレクト・レコーディングができるのも、宅録が身近になった現在では便利な機能だ。加えて、ポプラ材を用いた軽量な筐体は、スタジオやライブハウスに持ち込むのにもストレスを感じないだろう。
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[Specifications]
●出力:60W●スピーカー:30cm×1●コントロール:POWER、DUAL TONE、CH SELECT【CLEAN】BOOST、TONE、VOLUME【CRUNCH】BOOST、TONE、GAIN、VOLUME【EQUALIZER】BASS、MIDDLE、TREBLE【EFFECT】REVERB、MASTER、POWER CONTROL●接続端子:INPUT HIGH/LOW端子=標準タイプ、LINE OUT端子=標準タイプ、PHONES端子=ステレオ標準タイプ、FOOT SW(TIP=CH SELECT、RING=DUAL TONE)端子=TRS標準タイプ、REC OUT端子=USBタイプB、AC IN端子●外形寸法:513(W)×244(D)×465(H)mm●質量:14kg
こちらも馬力がありますね。音量も十分ですよ。僕の印象ではキャビネットの木が重いほどスピーカー・ユニットの本領を発揮できると思っていたんですけど、これは持ってみると軽いのに音に軽さはないですね。音の腰を押し出す印象はArtistと変わりません。そのうえで、このモデルは扱いやすいサイズなので普段家で弾くのはもちろん、スタジオやライブハウスに持ち込むのも便利だと思いますよ。それにUSB経由で宅録できるっていうのも便利ですよね。プラグインとかもいろいろ出ていますけど、やっぱり違和感を感じることもあるし、モニター画面を見ていることがストレスになることもある(笑)。これはいつもどおりのセットでレコーディングができるわけですから、ギタリスト向きだと思いますよ。
ビンテージ・アンプに比べると、ちゃんと抜けてくるという点でよく考えられていると思います。とはいえデジタル臭さはないし、普通に弾いていたらわからないですよ。それに、今のビンテージ系音楽って、本当にビンテージ楽器でやったら成立しないこともあると思うんです。意気揚々とビンテージを手にして、ひとりでは気持ち良いんだけど、バンドに混ざると出音がまったく聴こえなくてボロ負け、なんてことはよくありますしね(笑)。そういう意味で言うと、これは上から下までどのレンジも損していない。いなたい音をいなたいまま、バンドに負けずに聴かせることができると思います。Blues Cubeは、ビンテージ系音楽を現代の環境でやるためにはもってこいですね。
▶ギターはフェンダー・テレキャスターとギブソン・レス・ポール・ゴールド・トップを使用。
リットーミュージック刊『ギター・マガジン』2015年1月号においても、「Roland Blues Cube〜今までにないモダン・ビンテージ・サウンドの新生ブルース・キューブが登場!」のタイトルで、Artist、Stageの両モデルを特集している。曽根の的確なインプレッション、詳細な製品解説も必読の特集だ!
定価:823円(本体762円+税)
仕様:A4変形版/258ページ
発売日:2014.12.13
価格:オープン
価格:オープン
曽根巧
そね・たくみ:1974年3月13日京都府生まれ。日本有数のロックンロール・ギタリスト。セッション・ワークが中心で過去にa flood of circleなど、現在はSuperfly、竹原ピストル、つばきなどで絶品トーンを奏でる。