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- 2024/11/16
Fender Custom Shop / INORAN JAZZMASTER #2 LTD Masterbuilt by Dennis Galuszka
INORAN氏は2010年にフェンダーとのエンドースメント契約を締結。翌年に発表されたINORAN JAZZMASTER #1 LTDは、チームビルトで50本限定製作された、日本人アーティスト初のシグネチャー・ジャズマスターとして話題となった。今回取り上げる#2 LTDは、その第2弾という事になる。
このFender Custom Shop製の“INORAN JAZZMASTER #2 LTD, Masterbuilt”の製作者はデニス・ガルスカ氏。つまりINORAN氏の使用するギターと同じビルダー、製作行程を経て購入者の元に届けられる、30本限定製作のスペシャルな1本だ。
音を出してみると、かなり弾き込まれたビンテージ・ギターを思わせるレリック加工のルックスでありながら、随所に“ライブ・レコーディング現場からのフィードバック”を反映させている点に気づく。そのため、例えばシングルコイルならではのウィークポイントである電源ノイズや“パワー感の無さ”が改善されており、モダン・ギターから持ち替えた際にも違和感無く使用できる。この辺りは実際にビンテージ・ギターを所有するプロ・ギタリストが、ギターを手に入れた後に施す必須のモディファイと言えるだろう。
さらに、製作しているビルダーは、INORAN氏の持つギターを製作したデニス氏である。そう言った意味でも“憧れのプロ・ギタリストと全てが同じ仕様のギターを手にする”という喜びが得られるだろう。実際に枯れたビンテージ感をルックスだけでなくトーンからも感じられるが、アリーナ会場でもライブハウスでも使用できる“安心感”の様なものも同時に感じられる。
パリっとしたアタックや中域のスッキリとした印象はレリック加工の賜物だが、ハードにドライブさせても音像は薄くならない。そう言った細かいポイントがプロが選ぶ楽器とはどういうものか? という質問への回答の様にも思える。
個人的には“トゥルー・ビンテージ”と言える見事なネック・シェイプとその質感、そして鳴りのバランスの良さに驚いた。ビンテージ・ジャズマスターを弾いた事がある人であれば“おっ!”と思わずニヤけてしまうポイントが随所に盛り込まれている。弦高のセッティングも恐らく本人と同仕様になっていると思われ、ファンでなくとも“プロ・ギタリストが選ぶ良いギターとは?”と言う事に興味がある皆さんは、チャンスがあればチェックしておきたい1本だと言えるだろう。
※使用アンプ:VOX AC30C2-TV
価格:¥760,000 (税別)
村田善行(むらた・よしゆき)
株式会社クルーズにてエフェクト・ペダル全般のデザイン担当、同経営の楽器店フーチーズ(東京都渋谷区)のマネージャーを兼任。ファズ関連・エフェクター全般へのこだわりから専門誌にてコラムを担当する他、覆面ネームにて機材の試奏レポ/製品レビュー多数。