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- 2024/11/16
Greco / MRn-180G BLK
ミック・ラルフスのシグネチャー・モデルとして開発され、1975年にリリースされたグレコMR。生産中止後もその人気は高く、2012年に現代的にブラッシュアップされた“MRn”として復活した。今回のニュー・モデルはブラック・フニッシュとゴールド・パーツを組み合わせた高級感あふれる1本だ。
このルックスだとマホガニー・ネックを採用するかと思いきや、実はメイプル・ネックという意外性を持っており、指板はエボニー。使用する材の組み合わせが非常に個性的で、サウンドに対するこだわりを感じさせてくれる。ネック・グリップは、サイドが滑らかに落とされており、手に良く馴染む。どんなフォームでもストレスは感じさせない。
ナットにはグラフテックを採用しており、このナットならではのキラリとした音が、音の立ち上がりに良いバイブスを与えている。好みにもよるが、牛骨等に比べて硬質なナットはセットネック・ギターには向いていると言えるかも知れない。ペグにはグローバーを採用しており、ヘッド側のウエイトを稼いでいる。このグローバーならではの音もポイントの一つで、クルーソン・タイプに比べるとドッシリとした音色を持っているだけでなく、ヘッド側でのテンションとサステインにも影響を与えていると言える。
ボディにもこだわりがあり、コンター加工をボディ・バックに持たせ、左右のホーンとネック・ジョイント部にも大胆なカットが施されており、ハイ・ポジションも弾きやすい。サウンドの面でも低音弦側のキレがある。ボディ・バックはマホガニー、トップはカーブトップのメイプル(それぞれ2ピース)だ。
ピックアップには“パワー感と粘り、そしてキレのある音をイメージ”したというオリジナルのClassic Screamin’を搭載。ファットなアタックで、音に耳障りなピークが無い。クリーンでもスピード感があり、個人的にはジャズ・ギタリストやファンク系のギタリストに強くお勧めしたいという印象。トーン・コントロールは各ピックアップに対して独立して用意されており、メロウな音色の変化が楽しめる。ウーマントーン時にも存在感があり、ある意味“オヤジキラー”なギターと言えるかも知れない。
ブリッジはラップアラウンド・タイプの一体型で、オクターブも調整可能。ブリッジからの音の立ち上がりがしっかりしており、ハイゲイン環境でもヌケの良いアタックが得られるだろう。クリーンでニュアンスを重視するギタリストから、爆音ロッカーまで満足でき、しかもコストパフォーマンスが高い。メイド・イン・ジャパンならではの質の良さが活きたギターだと言える。
※使用アンプ:Fender '65 Deluxe Reverb
価格:¥180,000 (税別)
村田善行(むらた・よしゆき)
株式会社クルーズにてエフェクト・ペダル全般のデザイン担当、同経営の楽器店フーチーズ(東京都渋谷区)のマネージャーを兼任。ファズ関連・エフェクター全般へのこだわりから専門誌にてコラムを担当する他、覆面ネームにて機材の試奏レポ/製品レビュー多数。