Positive Grid Spark LIVE meets Toshiki Soejima & Naho Kimama
- 2024/12/13
Orange / Crush Pro CR60C
強烈なサウンドと独特のルックスで多くのファンを惹きつけているオレンジから、また1台、素晴らしいアンプが登場した。上位機種「Rockerverb」のように歯切れの良いクリーン・チャンネルと、重厚なドライブ・サウンドを叩き出すダーティー・チャンネルを有し、良質なデジタル・リバーブとエフェクト・ループを備えたモデルがこのCrush Pro CR60Cだ。本機は、故障等に強いソリッドステートの回路でありながら、ナチュラルかつ深い歪みを得ることができる点がポイントだ。
実は私はチューブ・アンプ好きで、ソリッドステートの歪みには正直あまり良い印象を持ったことがない。しかし、本機の歪みは、ソリッドであることを意識させずに弾けるナチュラルなもの。また、こってりと深く歪みながら、コンプレッションがかかり過ぎて埋もれることもなく、獰猛に前に出てくるトーンに驚かされた。この動画の後半でもわかるとおり、シングルコイルの普通のストラトをシールド1本で直結して、このサウンドだ。思わず普段はあまりやらない速いパッセージも弾いてしまう程、弾き心地がよかった。
歪みの話が先行したが、クリーン・トーンもトランジスタの硬さが感じられず、好印象。リバーブはスプリング、ホール、プレートの3種で、その響きは動画の中盤、指弾きしているあたりで確認して欲しい。
近年のアンプ製作技術の高さを思い知らされた1台。リハーサルからステージまで、故障知らずの心強い味方になってくれそうだ。
井戸沼尚也(いどぬま・なおや)
大学在学中から環境音楽系のスタジオ・ワークを中心に、プロとしてのキャリアをスタート。CM音楽制作等に携わりつつ、自己のバンド“Il Berlione”のギタリストとして海外で評価を得る。第2回ギター・マガジンチャンピオンシップ・準グランプリ受賞。現在はZubola funk Laboratoryでの演奏をメインに、ギター・プレイヤーとライター/エディターの2本立てで活動中。
◎井戸沼尚也HP 『ありがとう ギター』