カスタム・コンポーネント・ギターの歴史において、その存在を無視する事ができないブランド、トム・アンダーソン。そのトム・アンダーソンによる初の24フレット・モデルがこのANGELだ。同社のDROP TOPモデルをベースに、2つのハムバッカー・マウントが基本となる。24フレット・モデルはこれまで製作してしなかったという事が意外だが、これまでのトム・アンダーソン・ファンには間違いなく受け入れられる完成度を持っている。

　DROP TOPに比べ、両側のホーン・カッタウェイ部分が深く削り込まれており、ハイ・ポジションでのプレイアビリティも申し分ない。なによりそのガッチリとした組み込み・セットアップが素晴らしい。コンポーネント・ギターを代表するクオリティの高さだ。そしてポジション毎の音の立ち上がり、サステインなどのポイントもハイ・レベル。特に24フレット・ギターのウィーク・ポイントである、1〜2弦の12フレット〜17フレット辺りの伸びも素晴らしい。

　また、トム・アンダーソン・オリジナルのピックアップはフロントとリアでキャリブレーションが取られており、ハイ・パワーでありながら使いやすい。ピックアップ・セレクターは5WAYで以下の様に切り替わる。
1）フロント・ハムバッカー（シリーズ）
2）フロント・ハムバッカー（パラレル）
3）リア・ハムバッカーとフロント・ハムバッカーのミックス※
4）リア・ハムバッカー（パラレル）
5）リア・ハムバッカー（シリーズ）
※（3）のポジションでトーン・ポットを引き上げると、両ハムバッカーがコイルタップ／パラレル配線に切り替わる。

ピックアップ・セレクターの各ポジションの内訳。

　トーン・バリエーションも多彩だが、基本のギター・セットアップがハイレベルである事が、このギターの重要なポイントだと言える。24フレットのギターは非常にバランスを取ることが難しく、使い始めてみるとウィーク・ポイントの多さに気づく事が多い。そういった意味でもこのANGELのレベルの高さには驚かされた。

※使用アンプ：Fender 68 Custom Deluxe Reverb

トム・アンダーソンの“Ａ”ロゴが入ったロッキング・タイプのペグ。

高い演奏性を支えるネック＆フィンガーボード。ジャンボ・フレットのエッジの処理も見事。

何と2点止めのネック・ジョイント。ストレスなく24フレットを弾ききれる点も嬉しい。

ピックアップはオリジナルのH1（フロント）、H2（リア）をマウント。

コイルタップSWを兼ねたトーン・ポット。

トップ材には非常に美しいフィギュアド・メイプルを使用している。

Tom Anderson / ANGEL