AQUBE MUSIC PRODUCTS
- 2024/11/16
Fender Custom Shop / Japan Limited 1957 Stratocaster NOS
この1957ストラトキャスターNOSは、一見普通、しかし独自の仕様を持つ通好みなストラトだ。
まず、ネックのグリップがロー・ポジションではV、ハイ・ポジションに移るにしたがってCに変化するシェイプ。これにより、ロー・ポジションでの握り込むようなコード、ハイ・ポジションでのソロ・プレイが非常に弾きやすい。
ピックアップはカスタムショップ製50's Strat Neck Pickupを3基搭載。ネックを3基だ。そしてボディはカスタムショップ・グレードのアルダーを、継ぎ目がセンターにならないようにあえてずらしたオフセット・シーム2ピースで接着、これはビンテージにもしばしば見受けられる仕様。そのボディは、57年前後に見られる、大きく削ったコンターにより極端にボディの薄くなる部分がある“ナイフ・エッジ”と呼ばれる形状を採用している。
このように、ぱっと見ではわからない、こだわりの仕様が詰まったストラトに仕上がっている。しかし、そのサウンドは実に正統派。ストラトと聞けば誰もが思い浮かべる鈴鳴りの成分をたっぷりと含んだ、ブライトなトーンを響かせる。このサウンドには、恐らく出力が低めであろう“ネック”ピックアップを3基搭載していることが関係しているのだろう。ブライトではあるが、リアを選択しても耳に痛くなく、軽く歪ませると独特のバイト感が心地よい。
独自な仕様は奇をてらうのではなく、まっとうなストラトを作るために採用された──そんな印象の、持っていて間違いのない、ストラト好きのためのストラトだ。
※使用アンプ:Fender 68 Custom Deluxe Reverb
価格:オープン
井戸沼尚也(いどぬま・なおや)
大学在学中から環境音楽系のスタジオ・ワークを中心に、プロとしてのキャリアをスタート。CM音楽制作等に携わりつつ、自己のバンド“Il Berlione”のギタリストとして海外で評価を得る。第2回ギター・マガジンチャンピオンシップ・準グランプリ受賞。現在はZubola funk Laboratoryでの演奏をメインに、ギター・プレイヤーとライター/エディターの2本立てで活動中。