Positive Grid Spark LIVE meets Toshiki Soejima & Naho Kimama
- 2024/12/13
Gibson Custom Shop / Joe Bonamassa "Skinnerburst" 1959 Les Paul, Murphy Aged
今回は、アメリカのギター・ヒーロー、ジョー・ボナマッサが愛用するビンテージ・レス・ポールを再現したJoe Bonamassa "Skinnerburst" 1959 Les Paulを紹介します。本人が所有する数あるコレクションの中でも“最重要の1本”を再現したという本器。この個体は、トム・マーフィーによるエイジングと、ボナマッサ本人によるサウンド・チェック後の直筆サインが記された、まさに最高のルックスと音を持つギターに仕上がっています。その魅力を徹底チェックしていきましょう。
10代前半の頃から、アメリカのギター・シーンでは“神童”として知られていたジョー・ボナマッサ。17歳の時に“二世”バンド、Bloodlineで世界デビュー、ブルースをベースに弾きまくる独自のスタイルは、ここ日本でも話題になりました。今やギター・ヒーローとしての地位を確立し、200本とも250本とも言われるギター・コレクションを有することでも知られるジョー・ボナマッサですが、そんな彼が最も大切にしているギターが1959年製のオリジナル・レス・ポール、通称"Skinnerburst" です。
ジョー・ボナマッサとギブソンは長年にわたって良好な関係を築いており、かつてはゴールドトップに黒いエスカッションが印象的なJoe Bonamassa Les Paul Gold Topをリリースしたこともあります。今回は自身のコレクション中、最重要だという1959バーストを、ギブソン・カスタムが徹底的に分析し、完全な形で限定復刻しました。
本器の生産数は、VOS仕様が150本、エイジド仕様が100本で、(この個体を含む)サインド・エイジドの50本にはジョー・ボナマッサ自身のサインが入ります。エイジド加工を担当するのは、エイジング・アーティストのトム・マーフィー。見事なスキルで、長い時を経たギターだけが持つ圧倒的なオーラを本器に付与しています。
"Skinnerburst"Dirty Lemonと称される独特なレモン・カラーも目を引きますね。経年変化により赤味が抜けた渋いレモン・カラーが再現され、ビンテージのような風合いとなっています。トップは2ピースのフィギュアード・メイプルで、その素晴らしい木目はもちろん、豊かなアーチも3Dスキャンで解析し、再現されています。
ピックアップは、フロントにバーストバッカー#3、リアにアルニコⅢマグネットを使ったカスタムバッカーを搭載。そのサウンドは後ほど動画でたっぷりと紹介しますが、この組み合わせは実に良いマッチングですね。そもそも本器は、ネック・ジョイントや指板の接着にはハイドグルーを用い、トラスロッドの見直しも行われた、いわゆるヒストリック2014仕様ですから、基本的な鳴りの部分でも抜かりはありません。
それでは、そのサウンドを動画でチェックしていきましょう。
使用アンプ:フェンダー 68 Custom Deluxe Reverb
「いかがでしょう?」などと聞くまでもない、最高のレス・ポール・サウンドです。“良いレス・ポール”は総じて、フロント・ピックアップを選択した場合にも高域が足りなかったり、低域がぶよぶよすることはありませんが、本器も例に漏れず、高域は伸びやかで、煌びやか、低域のもたつきは一切感じられません。フロント・ピックアップでありながらリア・ピックアップのようなバイト感まで十分にあります。“コツンコツン”というアタックが心地よく、いつまでも弾いていたくなりました。
映像の途中、フロントを選択したままトーンを絞る場面がありますが、そのサウンドこそ一般的なイメージの“フロントの甘い音”で、トーンを開いていくとそこから太さを保ちながらシングルコイルのようなニュアンスの音に化けます。リア・ピックアップには、出力を抑えたカスタムバッカーを搭載していて、これがまた、シングルコイルを思わせるサウンドです。ここで“シングルコイルのニュアンス”と言っているのはアタックの出方、ピッキングのタッチへの追随性などのことですが、音質的には十分にハイが出ているにも関わらず、不思議と“硬い”という印象はまったくなく、むしろ“豊か”なイメージを抱かせるサウンドです。このあたりが通常のシングルコイルでは出せない、“シングルコイルを思わせるハムバッカー”ならではのマジックなのでしょう。“フロントに低出力のカスタムバッカー、リアに通常のパワーのバーストバッカー”と並べるのが一般的のように思われますが、本器はリアに低出力のカスタムバッカーをマウントしています。これが不思議とマッチする……どころか、弾いていて一切不満のない、素晴らしい組み合わせでした。
余談ですが、試奏後にスペック表を見て初めて気がついたのですが、本器には011〜050という太めのゲージの弦が張られています。テイルピースの上側に回す巻き方で弦が張られていることも一因でしょうが、あまりのサウンドの良さ、弾き心地の良さに恥ずかしながらゲージの太さにまったく気づきませんでした。
ヒストリック・コレクション、コレクターズ・チョイスなど、筆者は素晴らしいレス・ポールを多く弾く機会に恵まれてきましたが、それを踏まえた上でも、本器は現在手に入れられる最高峰のレス・ポールの中の1本と断言できます。このクラスになると、それぞれが“最高のレス・ポール”という範疇で、異なる個性を発揮しているので最終的な判断は“好み”でしかありませんが、本器は“間違いない”1本と推させていただきます。ぜひご自身でもチェックされてください。
※週刊ギブソン〜Weekly Gibsonは毎週金曜日に更新します。次回は6月20日を予定。
価格:¥1,581,000 (税込)