シンプルなコントロールでありながら、気の利いたサウンドメイクが可能なオーバードライブ。トーン自体はロー・ミッドにキャラクターのあるウォームな音色で、オフィシャルでも「シングルコイルに向いた歪み」という事をアピールしている。今回はSSHタイプのギターでチェックしているが、フロント＆センターのシングルコイルはもちろん、リアのハムバッカーでも良い結果が得られている事は動画からも確認できると思う。

　全体的に倍音はおとなしめで、その分、芯の音が前に出る印象。コントロールはわかりやすいので説明はいらないと思うが、あえてポイントを上げるとすればボリュームとマスターの関係が面白い。ボリュームを上げ目でマスターを下げると芯の音が歪んでいった様なドライブが得られる。パワー・コードでのプレイや、出しゃばらないドライブ・サウンド（このテイストは歌ものを演奏する際に結構大事なポイント）で、今時のバンド・サウンドにも違和感なく取り入れる事ができそう。また反対に、歪み感というよりはピッキングのニュアンスを大切にしたいギタリストはボリュームを下げ目にしてマスターを上げていくと、入力（ピッキング）に対して反応の良いクランチ・トーンが得られるだろう。

　ゲインは全体のドライブを調整するが、ゲインを上げても歪んでいない様な、クリーン・トーンのアタックが感じられる。この感じはアンプがクリーン時に得られ、クランチ時には感じられないもので、TS系にも通じるニュアンス。ゆえにきつめにトーンを開く（トレブリーなセッティング）場合にも耳当たりが良く、使いやすい。気合いを入れたピッキングではハードな歪みになり、緩いピッキングではメロウなトーンに、と使い勝手も良い。VOX系のアンプとの相性も良さそうだ。

※使用ギター：Crews Maniac Sound / Bottom's Up Quarter sawn
※使用アンプ：Fender / 68 Custom Deluxe Reverb

Providence / RED ROCK OD ROD-1