国産のエレクトリック・ギターの実力は、既に海外製品を上回るという事は周知の事実。アメリカは勿論、ヨーロッパ諸国のギター・フリーク、ベース・フリークが日本製のギター、ベースを欲しがっている理由は、やはり造りの良さと仕上げの丁寧さ、そして何よりも弾きやすさだと言える。このViolet MoonのSTAGE-1 Q VBも、やはり日本製ギターのクオリティを感じられるモデル。手にした瞬間に「造りの良さ」が感じられる。

　ネックは若干ワイドなナット幅を持ち、シェイクハンド・スタイルというよりはクラシック・スタイルのフィンガー・フォームのギタリストが好むネックシェイプ。指板ラディアスは緩やかで、タッピング等を多用するプレイヤーにも喜ばれるだろう。フレットはやや背の高いミッド・ジャンボで、軽いタッチで簡単に良いアタックが得られる印象。ボディーはキルテッド・メイプル・トップにアルダーの2ピースを合わせたワールド・スタンダードというスペックで、暗めのトーンを持つアルダーのサウンドにメイプル・トップを張りあわせる事で、見た目の美しさだけでなく、アタックの粒を揃えてサスティーンを得る事につながっている。

　ハードウェアもワールド・スタンダードと言える日本製ゴトーガットのマグナムロック＋ハイト・アジャスタブル・ポスト（HAP）のペグ、そしてスティール・サドルを備えた2点支持のシンクロタイプ・トレモロを採用。ペグはポストに弦を巻き付ける事なくチューニングが可能で、容易な弦交換が可能。さらにHAP構造なので、各弦のテンション感も調整できる。ブリッジはガッツのある立ち上がりのスティール・サドルを採用しているので、リフものに必要な重厚感のある音の立ち上がりが得られる。

　ピックアップはオリジナル・モデルで、フロントはややロー・パワーでスッキリとしたハムバッカー、リアは十分なパワーを持っており、ハイゲインでも存在感が感じられる。センター・ピックアップはボリューム・ブレンダーでミックスして使用する事を前提としており、ボリュームを上げなければ2ハムバッカーのギターとして使用できる。動画でその多彩なトーン・バリエーションをチェクしてみてほしい。

　また、リア・ダイレクト・スイッチはいかなるピックアップ・セレクターとセンター・ピックアップのブレンド状態からでも、スイッチ一発でリア・ピックアップを強制選択できる。つまりフロント・ピックアップを選択し、センターピックアップを40％くらい混ぜたハーフトーンからスイッチ一つでリアのハムバッカーに切り替えができ、またスイッチを切れば元のハーフトーンに戻る事ができる（プリセット・スイッチと呼ばれる事もある）。

　ルックスを含めた全体的なイメージからもテクニカルな奏法を好むギタリストに向けたギターだと言えるが、１本のギターで多彩なトーンを引き出したいと考えるわがままなギタリストの皆さんも是非一度試してみてほしいモデルだ。

※使用アンプ：Fender 68 Custom Deluxe Reverb

フロントとリアでパワー、キャラクターが異なるオリジナルのハムバッキング・ピックアップ。

フロント＆リアPUとセンターPUに分けられたボリューム、フロント＋センター／フロント＋センター＋リア、センター＋リアの3ウェイ・ピックアップ・セレクター、コイルタップSWも兼ねたトーン・ノブ、リアPUへのダイレクトSWなど、非常に良く考えられたコントロール部。

青紫の月があしらわれているポジションマークはViolet Moonのトレード・マーク。

ハイ・ポジションでの演奏性を考慮したカッタウェイの処理も丁寧な造りだ。

面取りされたヘッドストックには、マグナムロック＋ハイト・アジャスタブル・ポスト（HAP）のペグが装着される。

VIOLET MOON / STAGE-1 Q VB