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自分がどういうイヤモニを求めているのかヴィジョンを明確にすることが大切 by 山田ノブマサ氏
それぞれのメーカー、機種によってサウンドの傾向がまったく違うのは驚きでした。バスドラを一発踏んだだけで、それぞれに音が違って個性があるんです。低音が充実していてロックに向いているもの、遮音性が高くて、何かの音に集中して演奏できるもの、生音や周囲の音もある程度モニターできるもの、それぞれに特徴がありました。それだけに、自分がどういうイヤモニを求めているのか、ヴィジョンを明確にすることが大切かもしれませんね。イヤモニを選ぶときには、できればドラムを演奏しながら聴き比べて、自分のやっている音楽や、音の好みに合わせて選ぶと良い……現実的に、それはなかなか難しいでしょうから、試聴機の貸し出しのサービスをやっているメーカーもあるようなので、そういうものを利用して、例えばリハスタでマイクを立ててみて試してみると、良いと思います。
生音の音量をそのまま下げたような
バランスの良いナチュラルなサウンド
Canal Works / CW-L12aEX ¥88,000
バランスの良いナチュラルなサウンドです。生音で聴いているそのままに音量を下げた感じと言えばいいでしょうか。遮音性が高いので、生音も聴きながら演奏したい人は物足りなさを感じるかもしれませんが、そのぶん、他の楽器の音がしっかり聴き取れるので、すごく良いと思いますね。カスタマイズのバリエーションも豊富なようなので、自分の好みに合わせやすいモデルではないでしょうか。
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シンバルの微妙なニュアンスも
バランス良くクリアに聴こえてくる
Canal Works / CW-L33Dr ¥135,000
ドラマー専用と謳うだけあって、すごく良くできたモデルだと思います。ナチュラルなサウンドでバランスが良い。シンバルの微妙なニュアンスもクリアに聴こえてきますし、ダイナミクスもリアルに伝わってきます。オケの音も聴きやすいです。遮音性も高いので、これをつけただけの状態で叩くと、音量を下げただけのように聴こえます。クリックに打点を揃えるような練習にも有効そうですね。
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ナチュラルで聴きやすい
小さい音でモニターしたい人向け
ETYMOTIC / RESEARCH ER3SE ¥19,800
音はナチュラルで聴きやすいです。ただ、音量を上げ過ぎると音が割れてきてしまうので、小さい音でモニターしたい人向けでしょう。モニター用というよりは、もともとリスニング用の機種のようで、耳へのぴたっとしたフィット感はあまりないので、リスニング兼用のイヤモニとして使うのであれば、演奏中にズレに対する工夫やトラブル防止は考えておいた方が良いかもしれません。リスニング用イヤフォンとしては、もちろん良い音です。
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音がすごく整っている
他の楽器の音にすごく合わせやすそう
FitEar / Private222 Custom Ear Monitor オープン・プライス(実売価格:¥89,000前後)
低域がバシッと聴こえてきてすごく良いですね。全体的にはCDで聴くようなサウンドで、音が整っているというのかな。だから他の楽器の音にすごく合わせやすいと思います。これをただ装着しただけの状態でドラムを叩いても生音の聴こえ方が独特で、実態としての音量感が変わって、しっかりEQされた音で演奏しているような気分になります。バーチャルな感覚になるというか、面白いですね。
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いずれの音も聴きやすい
ドラマーの聴きたい音だけが聴こえてくる
FitEar / MH334 Custom Ear Monitor オープン・プライス(実売価格:¥154,000 前後)
バランスが良いですね。タムを叩けばタムの音がしっかり聴こえてきて、222はバーチャル的と表現しましたが、こちらは逆に生っぽい感じ。シンバルなどはリアルな響きを感じました。スネアについては、レコーディングした音を聴いている感覚で、いずれの音も聴きやすくて、音がコントロールされているというか、余計な音が聴こえてこないんです。ドラマーの聴きたい音だけが、ちゃんと聴こえてきますね。
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低音がしっかり、中低域はがっつり
演奏していて気持ち良い
JH AUDIO / JH16V2 PRO(UNIVERSAL IEM) ¥156,300
低音がしっかりしていて、中低域はがっつり出てくるので、演奏していて気持ち良いですね。逆に、相対的に高域は絞られているように聴こえますが、今回の試聴/試奏で組み込んだトルコ系シンバルよりも、パイステなどのきらびやかな高音を持つロック系のシンバルの方が合うかもしれませんね。個人的に全体を通してロック向きのイヤモニな印象を受けました。
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特に低域が出る
メタルのような激しい音楽に
JH AUDIO / ROXANNE(UNIVERSAL IEM) ¥192,200
作りがしっかりしていて、ルックス、そしてデザイン性も良いですね。音もしっかりしています。音量をがっつり上げても音が割れることがないですし、特に低域が出ていますね。相対的に少し高域は控えめで、シンバルなどを激しく叩いても、耳に痛い感じもなく、遮音性も良いです。メタルやラウド・ロックなど、激しい音楽には合うのではないでしょうか。左右のドライバーがそれぞれに低域調整できるので、好みに応じて音が変えられるのも良いですね。
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手頃な価格帯のワイヤレスの
インイヤーモニターシステム
JTS / SIEM-2 Wireless In-Ear Monitor System ¥21,800
ワイヤレスの出力からくるものだと思いますが、音量は小さめの傾向です。低音はありますが、特性上、シンバルの帯域が削られてしまうので、音が曇った感じに聴こえるかもしれませんが、これは好みの分かれるところでしょう。ワイヤレスのシステムを試してみるという意味では、とても手軽な価格帯だと思います。そういう意味では、ドラマーはもちろんのこと、ヴォーカリストやギタリストなど、動き回りたいプレイヤーに向いているのかもしれないですね。
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すごくナチュラルなサウンド
長時間使っても疲れないのでは
ONKYO / IE-C2 ¥79,800
高音のシンバルの細かいニュアンスから低音までしっかり聴こえてきますね。音圧もあって、すごくナチュラルなサウンドだと思います。そのぶん、物足りなさを感じる人もいるかもしれませんが、ナチュラル志向の人は気に入ると思います。今回は試聴用のデモ機だったので装着感や密閉度などについてはこのレポートで触れませんが、装着感はキツくなさそうなので、長時間使っていても疲れないのではないでしょうか。
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全体的なバランスが良い
アンサンブル重視の人に
ONKYO / IE-C3 ¥119,800
リアルなサウンドで、低音が充実しています。高音もリアルさがありますが、5kHz近辺に少し音が集中しているように感じました。でも、全体的なバランスは良いですね。特にオケのベースが聴きやすくて、アンサンブル重視の人は良いと思いますよ。遮音性に関しては、3段階で選択できるようなので、例えば自分の音を返さない人や、自分の生音や周囲の音もモニターしたいという人には使いやすいと思いますね。
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自分の音をミュートして
生音も一緒に聴きたいという人に
SHURE / SE-215 オープン・プライス
音圧はちょっと抑えめですが、低域が良いですね。中域に音が固まる傾向があるので、シンバルの繊細なニュアンスまでは少し聴き取りづらいかもですが、逆に自分の音をミュートして、生音も一緒に聴きたいという人には良いと思います。イヤパッドを変えると音が変わるのは面白い。標準タイプは少し音が大人しくなり、穴が小さいタイプは過激な音になります。
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ピアノからフォルテまでの音が聴きやすい
イヤパッドを変えることで用途が広がる
SHURE / SE-535 オープン・プライス
“音のリアル感”がいいですね。ピアノからフォルテまでの音が聴きやすいです。音圧感もあるし、音量をある程度上げてもあからさまに音が割れることはありませんでした。低音も締まっていてドンッ!ときますね。イヤーパッドを変えることで用途が広がるのが面白くて、ソフト・フォーム・イヤパッドは、いわゆる耳栓代わりにもなるので、打点がリアルに聴こえてきます。トリプルフランジ・イヤパッドは中域が強調される印象です。クリックがしっかり聴こえるので演奏しやすいですね。
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中域〜中高域に音が集まっている感じ
ギターや鍵盤、クリックが聴きやすい
Ultimate Ears / UE11Pro ¥138,037
シンバル類の音のヌケが良いですね。音圧感もありますし、ある程度ボリュームを上げても音が割れることはありませんでした。それなりに音量を上げる人でも使いやすいと思います。低音はタイトですが、そのぶん、打点は意識しやすいですね。全体のバランスとしては中域から中高域に音が集まっている感じで、ベースを聴きたい人だとちょっとブーストしたくなるかもしれません。とはいえ、ギターや鍵盤、クリックは聴きやすいです。
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音の輪郭がしっかりしている
聴き取りやすい自然なサウンド
WESTONE / ES-60 ¥158,000前後
超高音域は抑え気味ですが、ナチュラルでシンバルの音も綺麗です。音の輪郭がしっかりとしているので、オケも自分の音も聴き取りやすいサウンドだと思います。今回試したデモ機のES-60は、ユーザーの耳の形に合わせてカスタムで作る密閉度の高いモデルですが、適度に生音も聴きたいという方は、次のEAS-30などのアンビエント・タイプがお勧めとのことです。
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まとまった音、
繊細な部分もしっかり聴こえてくる
WESTONE / EAS-30 ¥118,000 円前後
ES-60と傾向は同じで、まとまった音だと思います。繊細な部分もしっかり聴こえますが、ES60に比べると、12kHzあたりより上の音は、もう少しあるとより良くなりそうな印象を受けました。生音もやはり適度で良い感じに聴こえますね。アンビエント・フィルターを取り外すことができ、“フィルターなし”という選択もできますが、音のバランスを考えると、僕は基本装着して3 種類使い分けたいですね。フィルターを外してソリッド・プラグをつけると、いわゆる密閉タイプのイヤモニとしても使えます。
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リズム&ドラム・マガジン 2018年2月号
〜時代に即した“耳の環境” ドラマーとイヤモニ〜