商品の説明

1892年創立とGibson社やFender社を超える深い歴史をもつRickenbacker。中でも世界中を圧倒したモンスターバンド、ビートルズに愛された事でその名を絶対的なものにしました。

数字の羅列にてモデル名となるリッケンですが、その数字にも意味があり、フラッグシップとなる300シリーズでは、12 3/4ワイドモデルの3/4スケールの2PUを310、3PUを320、フルスケールの3PUを350。15 1/4ワイドのスタンダードトリムの2PUを330、3PUを340、そしてデラックストリムの2PUを360、3PUを370となり、それぞれビブラート搭載モデルは下一桁が”5”となります。

またBeatles Gearの中でも特異なスタイルとなる12弦仕様も当時よりラインナップされており、その中でも特に有名なモデルと言えばジョージハリスンが愛用した360/12モデルになるでしょう。プロアマ問わず数多くのギタリスト達にも影響を与えた12弦仕様ですが、そのジョージのサウンドにインスパイアを受け、その後のロックシーンにおける12弦ギターサウンドを確立したプレイヤーと言えば、やはりThe Byrdsのロジャー・マッギンになるかと思います。現在に至るまでのロック、フォークにも多大な影響を与え、まさにレジェンダリーと呼ぶべきロック史上において偉大なギタリストの1人ですが、中でもThe Byrdsのファースト・シングル "Mr.Tambourine Man" の非常に印象的かつ美しく煌びやかな12弦ギターによるイントロは衝撃的で、アメリカ、イギリス共にチャートトップを獲得しロックの歴史的にも非常に重要なナンバーとなりました。

今回ご紹介させて頂くのは、そのロジャー・マッギンが愛用しフォークロックの時代を創り上げたと言っても過言では無いモデルRickenbacker 370/12 Maplegloの1997年製。現在では生産完了となったレアモデルとなりますが、こちらはファーストオーナー様が当時新品で購入されたワンオーナー品。もちろんパーツ類の交換歴の無いハンダバージンのフルオリジナルに加え、美品コンディション。更にはパーツ単体としても入手の難しい12弦用ブリッジも付属する希少な一本になります。

まずそのスペックは、基本的にはジョージの愛用でも知られる360/12モデルに準じておりますが、大きな違いとしては360/12が2PUに対し、370/12は3PU仕様という点になります。その内容としては、ホロウ構造のシンボディ、スラッシュサウンドホール、ラウンド形状のダブルカッタウェイスタイル、そしてボディバックのみのシングルバウンドを採用した所謂NS（ニュースタイル）仕様。採用された材はボディ、ネック共にメイプル仕様となりますが、ボディトップには多数のフレックと薄っすらながらもワイルドなフィギュアド、ボディバックは角度によってギラつくフレイムとバーズアイ、ネックも薄っすらながらフィギュアドが確認出来ます。レスポール系のギラギラのフィギュアドではありませんが、このプレーン寄りながら見る角度によってギラつく控えめなフィギュアドという点もリッケンの渋い魅力のひとつと言えるでしょう。ネックは強度を意識したメイプル-ウォルナット-メイプルの3P構造（+ウォルナットウイング）に2本のデュアルトラスロッドが仕込まれます。ヘッドは特徴的なスロテッドヘッド形状でネック＆ヘッド共にボディ同様のマッチングフィニッシュが施されております。その他としては24F仕様のローズウッド指板、ポジションマークにはトライアングルパールインレイ、サイドポジションマークはブラックのスモールドット、特徴的なスプリット2ピースのホワイトピックガード、トースターピックアップ、”Ｒ”テイルピース、シャーラーチューナー、エンボス・ブランドロゴ仕様のトラスロッドカバー等のスペックが挙げられます。またオリジナルのブリッジは6コマのサドルに2つの溝があるタイプとなっておりますが、こちらは希少な12コマサドルのブリッジが搭載されております。（オリジナル付属）

そして気になるサウンドですが、まさにロジャー・マッギンのサウンドそのもので、煌びやかな12弦ギターによるサウンドはこの仕様でしか味わえないと感じさせてくれます。また当然ながらジョージの360/12サウンドも再現可能で、流石上位機種といった幅の広いサウンドメイキングを魅せ付けます。独自の形状となるホロウボディ＆12弦仕様ならではの独創的なサウンド、アコースティック感のある倍音感に、トースターＰＵ独特の煌びやかなブリティッシュサウンドはまさに唯一無二。360、370の12弦仕様があったからこそ、後に様々なポップ/ロックーシーンが生まれ、また12弦モデルが確立したとも言えるでしょう。またヴィンテージとまではいかないものの、27年という長い歳月により枯れたニュアンスを含む”いなたい”味わいをもったトーンは、近年の他の12弦モデルでは味わえない素晴らしいサウンドに成熟しております。

最後に状態としては、ファーストオーナー様がこのサウンドに惚れこんで入手された為、それなりの使用感こそありますが、27年前の製作品ということを踏まえれば非常に良好な状態をキープ。この時期のリッケン特有の塗装のベタつきやツヤが出てしまっている部分、またネックジョイント部（ボディのバインディングとの継ぎ目）の塗装が浮いている点、その他Maplegloのナチュラルフィニッシュという事もあり目立ちにくいながらも、ボディバックにバックルスクラッチや、全体的に細かなスレや小傷こそございますが、外観を損ねるような特筆した大きなダメージは無く、年式の割に非常にキレイな美品コンディションとなっております。パーツ類は当時から変更無しとなるハンダバージンのフルオリジナル。ケースも勿論オリジナルハードケースが付属致します。演奏面としてはネックコンディションは良好でトラスロッドの余裕もシッカリと残っており、電装関係の不具合もございません。

現在は生産を完了しており、また当時より生産本数も少なかったことから市場流通も少ない370/12モデル。近いスペックを持つRoger McGuinnモデルについては使用感の強い個体でも3桁超えが当たり前となる程に高騰を続けております。同モデルの直近の販売歴としては殆どが40～50万円前後、個人売買でも35万円以上での販売歴が確認出来ます。今回の一本については、ワンオーナーのフルオリジナル＆美品コンディションに加え、希少な12弦仕様のブリッジ付属と、適正価格としては50万円オーバーでもおかしくありませんが、こちら前ファーストオーナー様からの多大なるご厚意もあり、個人売買での販売歴とも変わらない非常にお値打ちな特別価格にてご案内させて頂く事となりました。ロジャーマッギンファンの方、ジョージハリスンファンの方には必須アイテムとなりますので、お探しだった方は是非この機会をお見逃しなく。