商品の説明

1892年創立とGibson社やFender社を超える深い歴史をもつRickenbacker。中でも世界中を圧倒したモンスターバンド、ビートルズに愛された事でその名を絶対的なものにしました。Rickenbacker社は1892年に創業者アドルフ・リッケンバッカーによって創立し、その後1953年にF.C.Hallに売却。そして今やリッケンの代名詞ともなるホロウボディシリーズの”カプリ”が1958年に誕生しますが。こちらは1954年にスタートしたComboシリーズの派生モデルとなる1957年に発表されたCombo 850をベースとしたホロウボディスタイルで、当時のF.C.Hall家の愛猫の名前よりモデル名が付けられました。そのカプリモデルが1958年のNAMMショーよりJohn Lennonの手に渡り、Rickenbacker社とBeatlesの歴史が始まります。

1964年にはボディ構造の見直しに始まり、カラーチャートへJetgloの追加、やアクセントビブラートユニットやコントロールの変更などを行い現在に至るラインナップにて販売が再開されました。時を同じくして1964年、イギリスの楽器商であるRose Morris社がビートルズの爆発的な人気によるRickenbackerブランドの販売拡大を狙い、既存のキャッツアイスタイルではなく、特徴的なFホールを採用したイギリス輸出仕様としてRickenbacker社へオーダーをかけ、そのラインナップは325モデルを#1996、330モデルを#1997、340を#1998、360/12モデルを#1993として少数ながら製作されました。ポールマッカートニーの愛用で知られる4001sモデルもイギリスでの輸入元であるRose Morris社では管理番号をModel #1999として販売されていました。

Rickenbackerブランドはビートルズを筆頭に、1960年代から現在に至るまで様々なジャンルの大物アーティスト達に愛用され、国内でも数多くのアーティスト達に愛用されていることでも知られておりますが、モデル名を数字の羅列とし、その数字がそれぞれのモデルの仕様を示します。フラッグシップとなる300シリーズでは、12 3/4ワイドモデルの3/4スケールの2PUを310、3PUを320、フルスケールの3PUを350。15 1/4ワイドのスタンダードトリムの2PUを330、3PUを340、そしてデラックストリムの2PUを360、3PUを370となり、それぞれビブラート搭載モデルは下一桁が”5”となります。

今回ご紹介させて頂くのは、The Whoのピート・タウンゼントの愛用でも知られるRose Morris ＃1997（330）の本人ドンズバFireglo仕様。こちらイギリス仕様となるオリジナルモデル1997を極少数ながらリイシューした再生産モデルとなりますが、ファーストオーナー様が当時新品にてご購入された後、コレクションとして大切に保管されてきた一本で、変更・改造歴の無いハンダバージンのフルオリジナルに加え、23年の歳月が無かったかのようにまで感じさせる奇跡のミントコンディション品になります。

まずそのスペックとしては、基本的には330モデルに準じており、セミホロウ構造、メイプルボディ＆セットインのメイプルネックにPete Townshend愛用でもお馴染みのFiregloフィニッシュ。採用されたメイプルも非常に素晴らしい材が採用されており、ボディトップはバーズアイ系の珠歪が浮かぶ霜降り系フィギュアド、ボディバックは攻撃的な強いフレイムフィギュアドがビッシリと入っております。また保管状況が良かったという事もあり、Firegloカラーの赤の退色は殆ど無く、リッケンならではの鮮やかなカラーリングが非常に美しく残っております。そしてRose Morris仕様の一番の特徴であるFホール仕様は、通常の330モデルのキャッツアイとはガラっと変わるルックスにてその独創性を主張してくれます。また指板のローズウッドは斜めに杢目が走る稀少な美しい杢目取りにて採用されております。その他としては、スモールドットマーカー、RIC DELUXE刻印のクルーソンチューナー、コの字型のテイルピース、2重構造となるホワイトスプリット・ピックガードもありがちなクラックや欠損無し、2ボリューム2トーン1バランスコントロール、重量は約3.19kgと軽量で肉厚ながらも手にシッカリとフィットする抜群のネックシェイプと併せてプレイアビリティは非常に高くなっております。

そして気になるサウンドですが、近年の330リイシューモデルとは比較にならない程の、ヴィンテージライクな素晴らしいトーンを感じさせてくれます。搭載されたピックアップはオリジナルのトースターピックアップ×2となりますが、コレクションにて殆ど弾かれていない個体ながら、経年によるボディとネックの一体感、そしてこなれた枯れたニュアンスは1960年代のオリジナルとも遜色の無い素晴らしい一本となっております。サウンドキャラクターとしては、まさにピート・タウンゼントのサウンドとほぼ同一にて、良質なメイプル材特有の硬質でクリアな芯のあるサウンドは音自体に深みを持ち、そしてホロウボディのアコースティカルさが加わり、軽快で粒立ちの良い鳴りが楽しめます。出力面でもオリジナルトースターピックアップの出力減衰も一切無く、パワーの強い力強いサウンドがボディ鳴りと素晴らしいマッチングを魅せ付け、甘くふくよかなトーンながらも、輪郭がダレてしまうことなくストレートに抜けていき、高いレスポンスとサウンドクオリティを感じさせてくれます。

最後に状態としては、こちら2001年製と既に23年の歳月が経過していながら、それを全く感じさせない極上過ぎる状態をキープ。目立ったダメージは一切無く、あえて神経質に見渡してみても、光の角度によって見えるレベルの薄いピッキングスクラッチやスレ、それ以外にはボディバックに言われれば・・・というレベルの極々僅かな塗装変化が見られる程度。カラーの退色も殆ど無く塗装のツヤも非常にキレイに残っており、金属パーツの程度も良好、フレットもほぼ減り凹み無く99%コンディションと、それこそこのまま新品で販売してもおかしくないレベルとなる、奇跡のミントコンディションです。演奏面においてもネックコンディションは良好でトラスロッドの余裕もシッカリと残っており、電装関係の不具合も一切ありません。もちろん新品当時から改造・リペア歴の一切ないハンダバージンのフルオリジナルとなっております。付属品についても当時の正規代理店である新星堂発行の保証書を始めとする書類一式（画像参照）が揃っており、専用工具やケースキーも付属します。またオリジナルのシルバーハードケースの状態も非常に良好です。