商品の説明

1892年創立と深い歴史をもつRickenbacker。中でも世界中を圧倒したモンスターバンド、ビートルズに愛された事でその名を絶対的なものにしました。数々のラインナップの中でも特に高い人気を誇るジョン・レノンのトレードマークとなる325モデル。元々は1958年に発表されたCapri 325というモデルにて発表されましたが、当時の売れ行きは悪く、その後ビートルズのデビュー＆ジョン・レノンの愛用によって一躍世界的に有名なモデルとなりました。1964年にはボディ構造の見直しに始まり、カラーチャートへJetgloの追加、やアクセントビブラートユニットやコントロールの変更などを行い現在に至る”325”モデルとして販売が再開されました。時を同じくして1964年、イギリスの楽器商であるRose Morris社がビートルズの爆発的な人気による楽器販売の拡大を狙い、Rickenbacker社へオーダーをかけ325モデルのFホール仕様をRose Morris #1996、4001sをRose Morris #1999としてイギリスへ輸入し、この際にローズ・モリス氏がジョンへこの#1996モデルをプレゼントします。その後すぐにビートルズはエド・サリヴァン・ショーでデビューを果たし、サタデーイブニングポスト時代にも愛用します。そのRose Morris #1996モデルですが、単純に製作本数が極めて少なく、製作時期としては1964～1966年の短い期間に併せて、1964年のシッピングデータは僅かに23本。更にジョンが所有していた個体同様スペックとなる最初期のみしか存在しないFホールの角度が時計の針で言うところの”2時”を指すことから、通称”2 O’clock”と呼ばれる仕様に関しては更に希少価値が極めて高く、海外ではその凄まじい人気による急激な高騰を”スカイロケット”とまで表現しております。実際にもジョンが所有していた個体に関しては、その後ビートルズのドラマーであるリンゴ・スターに譲られ、2015年にはジュリアンズのオークションにて910,000ドルで落札された伝説のモデルとなっております。

今回ご紹介させて頂くのは、その究極のビートルズギアとなるRose Morris #1996モデル。更にはジョンレノンファンには堪らない1964年製かつ2オクロック仕様、当時からフレット＆ナット、ポット等の消耗品の交換すら無いハンダバージンのフルオリジナルコンディション、加えて取り扱い説明書やクロス、ブリッジカバーの付いたケースキャンディ。そして極めつけは当時の325モデルを含め、Firegloモデルに関しては赤の塗料が経年にてオレンジに変化していく個体が殆どとなる中、こちらは鮮やかなレッドがインパクト抜群の非常に魅力的なビートルズギア。ヴィンテージファンの中でも有名なVintage Maniacsのサイトにも掲載された特別な一本になります。

まずそのスペックとしては、基本的には同時期の325モデルに準じており、セミホロウ構造、メイプルボディ＆セットインのメイプルネックにお馴染みのFiregloフィニッシュ。採用されたメイプルもボディトップ＆バック、ネックの全てにギラギラと浮かぶフィギュアドが入った素晴らしい材となっております。そして同モデルでも1964年の最初期にしか存在しない本人ドンズバの激レア仕様となる2オクロック仕様ですが、通常の#1996モデルのFホールよりも角度が強くつけられており、一見してすぐにジョンの個体と同じだと感じさせるファンには堪らないスペックです。その他としては、ジョンの個体とも近いコントラストを持つ良質なローズウッド指板に、スモールドットマーカー、クルーソンデラックス刻印のシングルラインチューナー、PAT PEND刻印の入ったアクセントビブラートユニット、2重構造となるホワイトスプリット・ピックガードもありがちなクラックや欠損無し、2ボリューム2トーン1バランスコントロール、重量は約2.84kgと軽量でスリムネックと併せてプレイアビリティは非常に高くなっております。またコアな部分で言えばピックアップは希少なトランジション・トースターピックアップ×3が搭載されておりますが、1964年の最初期までは金属カバーの下にある黒のかバー両サイドにディンプル（くぼみ）が入った形成でしたが、製作段階での金型が破損してしまった為、以降はディンプル無しのブラックカバーとなります。もちろんジョンの個体も同様です。ヘッドストックの形状も本人同様となる1964年仕様のスリムヘッドにて、トラスロッドカバーのRickenbackerロゴの”n”の文字の終わりが流れる特徴的なスタイルとなります。シリアルはジョンの所有機がDE519（1964年5月出荷品）に対してこちらはDD3●●（1964年4月出荷品）とシリアルも近くなっております。※最後の3桁に関してはその年の何本目の製作品かを示すとされておりますが、実際には課税されないように申告していたという説が有力で、月部分の表記を変えていた可能性もあり、また元々製作本数が極めて少ないモデルという事もあり、殆ど同時期に製作されていた個体と推察されます。

そして気になるサウンドですが、これぞビートルズサウンドだと頷ける素晴らしいサウンドを奏でます。良質なヴィンテージのメイプル材特有の硬質でクリアな芯のあるサウンドは音自体に深みを持ち、そしてホロウボディのアコースティカルさが加わり、軽快で粒立ちの良い鳴りが楽しめます。出力面でもこの時期のトースタートップＰＵならではのパワーの強い力強いサウンドがボディ鳴りと素晴らしいマッチングを魅せ付け、甘くふくよかなトーンながらも、輪郭がダレてしまうことなくストレートに抜けていき、高いレスポンスとサウンドクオリティは流石”本物”のヴィンテージだと感じさせてくれます。正直な感想として、同時期の325モデルよりもジョンのサウンドに近いのはこれだと感じさせる素晴らしいサウンドを持った最高の一本です。

最後に状態としては、サウンドがここまで良ければ当然ながら、長年弾き込まれてきた事が伺えるプレイヤーズコンディションとなっており、ボディバックには多数のバックルスクラッチ、ボディエッジには塗装が無くなった部分が見受けられます。その反面ボディトップ側のダメージは年式の割に少なく、Firegloの赤がシッカリと残っている点は保管状況の良さが伺える大切にされてきた一本となっております。加えてパーツ類に関してはフレット＆ナット、ポット類の消耗品を含めて全て当時のままとなるハンダバージンのフルオリジナルコンディション。加えて欠損しがちなブリッジカバー、当時の説明書、クロス、金具破損も無いオリジナルのシルバーケースが付属。現状、プロのリペアショップにてルックス面を重視して、全体的に塗装カラーの退色の進行を抑えるためのクリアコートが吹かれており、長く大切にしていくコレクションとして最大限に配慮された一本となっております。演奏面でもネックコンディションは良好でトラスロッドは2本共にシッカリと余裕が残っており、オリジナルフレットも充分な高さが残っております。