商品の説明

Gibson社におけるレスポールモデルと人気を二分するES(Electric Spanish)シリーズ。その歴史は戦前となる1936年に発表されたES-150モデルに始まり、現在に至るまで多くのギタリスト達に愛用され続けております。ESシリーズの元祖となるES-150モデルですが、Full Depth（深胴）の16 1/4インチボディにて、アーチトップ＆フラットバック、Fホール、ノンカッタウェイのスタイルにCharlie Christianピックアップと、言わば既存のアコースティックギターにピックアップを搭載したモデルにて1956年に生産を終了（TenorバージョンのEST-150は1937～1971）します。その後1958年にES-335TDとES-355TDモデルがラインナップされ、ダブルカッタウェイ＆2ハムバッカースタイルが主流となります。そして1969年にはダブルカッタウェイ＆2ハムバッカーを搭載したES-150DCモデルが発表されます。ただ当時のジャズ・ブルースからロックミュージックへ移行するサウンドシーンの背景もあり、フルアコースティック・エレキギターのニーズが少なく1974年には生産終了となります。（ES-330TDモデルも1972年に生産終了）

今回ご紹介させて頂くのは、その僅かな期間のみ製作された隠れた名機ES-150DCモデルの1973年製。こちらのモデルの発表と同時に他のモデルでも採用をスターとした人気のウォルナットカラー。ES-175Dモデルの上位互換と感じさせる極上ヴィンテージトーンに加え、51年前と半世紀以上の製作品ながら、非常にキレイなコンディションかつ、コントロールノブ（Tone×1）の交換を除けばハンダバージンのフルオリジナル品と、抜群のサウンドだけでなくコレクション性も非常に高いオリジナルヴィンテージの一本になります。

まずそのスペックとしては、アーチドトップにアーチドバック、3インチ厚のフルデプス（深胴）、Fホール、16 1/4インチサイズのラウンド・ダブルカッタウェイを採用したラミネイテッド・メイプルボディ。採用されているメイプル材も基本はプレーンながら、各所に大粒のバーズアイやフレイムの様なフィギュアドも魅せつけるヴィンテージならではの極上材が採用されております。フィニッシュカラーはES-150Dモデルの発表年と同じ1969年より採用された人気のウォルナットカラーとなりますが、経年によるフェイドやウェザーチェックも少ないツヤのある美しいルックスです。ネックにはこの時期ならではのナット幅39.5mm、ネックはノンボリュート、細身でテーパーの強いマホガニーの3ピースネックを採用し非常に高いプレイアビリティを感じさせます。指板には色濃いコントラストにハッキリとした黒の杢目がしっかりと確認出来る上質な材に、美しい発色を魅せるパール・スモールブロックインレイが施されております。その他としては5Pのブラックピックガード、ワイヤード＆パテントにブラスサドルのABR-1ブリッジ、チューナーは2コブ・ダブルライン＆KLUSON DELUXE刻印の入ったクルーソン、トラピーズテイルピース、ヘッドストックにはブランドロゴとクラウンインレイ、クロームトッププレートのソンブレロノブ等が挙げられます。

そして気になるサウンドですが、半世紀オーバーという歳月は伊達じゃないと言わんべく、極上のヴィンテージサウンドを掻き鳴らします。まず生鳴りからいって近年のリイシューモデルでは絶対に出せない個体鳴りを誇り、熟成された極上材の良さを十二分に堪能出来る枯れたトーンが感じられます。ピックアップはオリジナルのステッカードナンバードPAFを搭載。まさに王道のヴィンテージギブソンサウンドと呼ぶに相応しい素晴らしいトーンを持ち、力強いローミッドに甘く広がる倍音感、フルアコながらもレスポンスの高くエッジ感のある音色。そして艶めいたきらびやかな枯れたトーンは時間を忘れさせてくれる最高の一本です。特にジャズ系にはこの上なくマッチしたサウンドキャラクターで、美しく煌びやかな高音域、倍音成分を多く含むコシのある中域、全体をまとめあげながら空気中に溶けていくような低域を持ち、ストロークで弾いた際のコード感、そして独特のフィードバック感はヴィンテージの良さを再認識させられます。シングルカッタウェイ＆ウッドブリッジのES-175Dモデルと比較すれば、よりブライトで明瞭なトーンとなっており、厚胴フルアコモデルにありがちな、音像の粒立ちや輪郭が霞んでしまうことなく、メロウな柔らかく心地よい甘さを持ながらもキレのある美しい旋律をもちます。またマスターボリューム搭載による使い勝手の良さもこちらのモデルの魅力のひとつでしょう。

最後に状態としては、半世紀前の一本かつサウンドの良い個体という事もあり、スクラッチ系のダメージやそれなりの打痕やスレ等は見受けられますが、塗装のツヤ感やカラーリングを含め、年式を考慮すればかなりキレイなコンディションをキープ。またパーツ類に関しては、唯一Toneノブが一つ交換されておりますが、その他フレット・ナットを含め全て当時からのオリジナル、電装関係もハンダバージン、木部リペア歴等もございません。演奏面としてもネックコンディションは良好でトラスロッドの余裕もシッカリと残っております。幅が広く背の低いオリジナルフレットは5～6部山前後、多少の部分減りこそあるものの、まだまだ現役にてお使い頂ける状態となっております。付属のハードケースはインナーカラーやサイズ形状よりオリジナルと判断しておりますが、当時様々なハードケースが存在した為、確実にオリジナルと判断するのは難しくなりますが、現状取手交換のみでラッチ等の破損もございません。

昨今の楽器業界全体の高騰もあり、特に1970年代ヴィンテージは国内外合わせて年々高騰を続けております。現在の同モデルの相場としてはオリジナル度やコンディションによっても前後致しますが、70～80万円前後となっており、今回の一本の状態を加味した適正価格としては75～80万円前後になるかと予想されます。ですがこちら前所有者様からの多大なるご厚意もあり、是非この素晴らしいサウンドの一本をプレイヤーの方に手にして頂きたいというご意向から、相場を大きく下回る非常にお値打ちな特別価格にてご案内させて頂く事となりました。サウンド＆コンディション共に素晴らしいヴィンテージとなりますので、お探しだった方はもちろん、お気になりました方は是非この機会をお見逃しなく。