BOSSの新製品Multi Overtone MO-2は、その名の通りオーバートーン、つまり倍音を調整できるというもの。
まずクランチ系の素の音でコードを弾き、本機をオンにしてみる。音が煌びやかになり、ぐっと前に出てくる。少し古めのサウンドが現代的になっていることが分かるだろう。特に、一度オンにして、その後オフにした時に、その効果のほどがはっきりと感じられるはずだ。アルペジオで弾いてみると、上の方で鳴っている倍音成分が、まるで12弦ギターを弾いているよう。
次にクリーンでソロを弾き、途中からオンにしてみる。セッティング次第だが、ここではオクターバーのようにエグくかかった。
ハイゲイン系の音に、本機をオン。軽くかけるとエッジが立って、デジタル系のバック・トラックにもよく馴染みそうな音になる。セッティング次第で、ハーモナイザーのような音や、スティール・ドラムを思わせる響きも出せた。
使いやすさは、流石BOSS。シールドをつないだ後は、迷うことがない。飛び道具としても使えるが、おススメは隠し味的な使用方法。例えば、オーバードライブさせたシングルコイルの原音に、ほんのひと匙分の倍音を足せば、ブライアン・メイのような華麗なサウンドも作れそうだ。
(使用ギター:Navigator LP Model '81)
[SPECIFICATIONS]
■コントロール:バランス、トーン、デチューン、モード ■入出力端子:インプット、アウトプット ■電源:9V電池/ACアダプター ■外形寸法:73(W)×129(D)×59(H)mm ■重量:430g
価格:オープン・プライス(市場実勢価格:14,000円前後)
[試奏者PROFILE] 井戸沼尚也(いどぬま・なおや)
大学在学中から環境音楽系のスタジオ・ワークを中心に、プロとしてのキャリアをスタート。CM音楽制作等に携わりつつ、自己のバンド“Il Berlione”のギタリストとして海外で評価を得る。第2回ギター・マガジンチャンピオンシップ・準グランプリ受賞。現在はZubola funk Laboratoryでの演奏をメインに、ギター・プレイヤーとライター/エディターの2本立てで活動中。