高いクオリティで多くのプロから信頼を集めるフィンランド産のハンドメイド・エフェクター・ブランド、Mad Professor。今回はブランド注目の3モデルをピックアップし、多数のアーティストのサポートやYELLOW FRIED CHICKENzで活躍するTAKUMIに各機を試奏してもらい、その感想を聞いた。
今回はギター・マガジン編集部がピックアップした注目の3機種をTAKUMIに試奏してもらい、それぞれのサウンド・キャラクターや、オススメの使い方などを語ってもらった。用意したエフェクターは、オーバードライブのSweet Honey Overdrive、ディストーションのMighty Red Distortion、そしてディレイのDeep Blue Delay。
Sweet Honey Overdrive
ハンドメイドの高級アンプ“ダンブル”を体現したようなアンプ・ライクなオーバードライブ。ピッキングの強弱に敏感に反応するため、繊細な表現を求めるプレイヤーにはうってつけと言える。“FOCUS”ノブは通常のTONEと微妙に異なり、全体的なEQのダイナミクスを設定するもの。
[SPECIFICATIONS]
●コントロール:ボリューム、ドライブ、フォーカス●入出力端子:インプット、アウトプット●電源:9Vアダプター、9V電池●外形寸法:67(W)×112(D)×48(H)mm●重量:460g
価格:オープン・プライス(市場実勢価格:42,000円)
Mighty Red Distortion
80年代後半のコンプレッションのかかったハイゲイン・スタイルを再現したディストーション。また、独自の極低ノイズ増幅段を用いることで低ノイズも実現。高域をコントロールするPRESENCEノブは、ややダークめな音色の本機にぴったりのつまみと言える。
[SPECIFICATIONS]
●コントロール:ボリューム、ディストート、プレゼンス●入出力端子:インプット、アウトプット●電源:9Vアダプター、9V電池●外形寸法:67(W)×112(D)×48(H)mm●重量:460g
価格:オープン・プライス(市場実勢価格:42,000円)
Deep Blue Delay
アナログ・ディレイ・サウンドを再現したペダル(回路はデジタル)。クラシカルなテープ・エコー・ユニットと同域のデプスを持ち、ツマミを全開にしても音が歪むことのない美しいディレイ・サウンドが特徴。ディレイ・タイムは25mSから450mSまで設定可能だ。
[SPECIFICATIONS]
●コントロール:レベル、ディレイ、リピート●入出力端子:インプット、アウトプット●電源:9Vアダプター、9V電池●外形寸法:67(W)×112(D)×48(H)mm●重量:460g
価格:オープン・プライス(市場実勢価格:44,100円)
Profile: TAKUMI
GACKT(vo)を中心に結成したバンド、YELLOW FRIED CHICKENzのギタリスト。3月に発売した1stアルバム『YELLOW FRIED CHICKENz』はオリコンのデイリー・チャートで3位を獲得。その大半の楽曲はTAKUMIが作曲している。4月18日には昨年に行なった大規模な世界ツアーの模様を収めたDVDもリリースした。また、本名の鮫島巧名義ではSUGIZO、雅 -MIYAVI-、T.M.Revolution、土屋アンナなど多数のアーティストのツアー&レコーディングに参加。またAKB48などのアーティストへの楽曲提供やアレンジ、舞台音楽監督なども勢力的に行なっている。
その存在は知っていても、出自やブランドのコンセプトなどを深く知る人は少ないはず。Mad Professorとは、一体どんなブランドなのだろうか?
▲Mad Professorの創始者、ビョルン・ジュール
Mad Professorの歴史は、創設者のフィンランド人、ビョルン・ジュールが製作した“BJFE”名義のエフェクターを、“カスタム・サウンズ”という楽器店を経営していたハリー・コスキのもとで00年12月から販売するようになったことに始まる。その後、ハリーが“ビルダーを用意するので、アンプの設計をしてほしい”とビョルンに依頼したところ、ビョルンは自由に設計させてもらうことを条件にその依頼を承諾。こうして製作されたアンプが“Mad Professor”名義で販売されたことで、ブランドの歩みがスタートしたわけである。当初はアンプだけを製作していたが、BJFE名義のエフェクターの需要が高まったところで、エフェクターも生産を開始し、現在にいたっている。
Mad Professorで発売されているエフェクターは、その多くがBJFEで製作された製品がベースとなっている。例えば、BJFEの名機と呼ばれているHoneyBee Overdriveが、今回動画で紹介しているSweetHoney Overdriveにあたる。このモデルに搭載された“FOCUS”ノブ(通常のTONEと微妙に異なり、全体的なEQのダイナミクスを設定するもの)のように、一見効果がわかりづらいが、実際に使ってみるとプレイヤーが欲しい音が出せるような、こだわりの設計になっているのがビョルンのデザインの大きな特徴だ。それと、歪み系エフェクターはアンプ・ライクな歪みが持ち味となっており、ボリュームを少し控えめにしてあるものが多い。弾き手の微妙なニュアンスを繊細に反映する製品が多く、どちらかと言うと中級〜上級者向きのブランドと言えるだろう。ちなみに、国内ではNothing's Carved In Stoneの生形真一、the band apartの川崎亘一、海外ではゲイリー・ムーアらが愛用者として知られる。
現在、ラインナップされているものを以下に紹介しよう。近年はハンド・ワイアードの製品だけでなく、PCB基板による比較的安価なモデルも各種生産している。音質・音色面の大差はないのでオススメだ。今後、Mad Professor製品はプレイヤーにとってより身近なエフェクターとなるはずだ。
※リンクをクリックするとデジマートで検索できます
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