ピアノの購入を考えたとき、手頃な「中古ピアノ」を選択肢に入れる人も多いのでは。とはいえ、中古では状態など、気になることもあるもの。今回は中古ピアノ専門店「富士楽器」の全面協力のもと、気がかりは解消し、安心して使えるお気に入りの1台を見つけるためのとっておき情報をたっぷり公開。第2部では、賢い中古ピアノの買い方・売り方からおすすめのモデルまで、中古ピアノのプロに直撃。これさえ見れば中古ピアノ選びの全てがまるわかり!
子どもの習い事や趣味のためなどの目的に合わせてピアノを選ぶなら、中古ピアノも選択肢に入れたいところ。新品との違いは、何といっても手が届きやすい価格であること。また、価格以外にも中古ピアノならではの魅力や利点は沢山!まずは中古ピアノのメリット・デメリットを見てみよう。
中古ピアノのメリット・デメリット | |
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上記のメリット・デメリットを踏まえると、きちんとメンテナンスされた状態の良い中古ピアノを選べば、満足できるクオリティのピアノをよりリーズナブルに手にできると言える。気になるピアノの寿命だが、実は、近年の中古ピアノ市場では「子どもが小さい頃に少し弾いた」程度で、コンディションが良いピアノが豊富。つまり、ダメージが少なく、この先も適切なメンテナンスをすることで長く楽しめる中古ピアノに出会えるチャンスが多いのも見逃せない。
ピアノは「グランドピアノ」、「アップライトピアノ」の2タイプ。前者は音大を目指す、ピアノ教室を始めるなど本格志向の人向けで、一般的には価格もサイズも手頃な「アップライトピアノ」を選ぶ人が多い傾向。ふたつの違いをもっと知りたい人は、こちらも参考に。
さて、「ピアノを買ったのに、玄関から入らなかった!」などのトラブルを招かないよう、購入前に必ずピアノの置き場所、搬入経路をチェックもしておきたいところ。
また、ピアノは1台1台に個性があるので、どれにするか迷うことも多いもの。まずは自分の目的や環境を踏まえ、下記を参考にある程度条件を絞っておくと、ピアノ選びがスムーズになりそう。
▲手前が113cmのピアノ。後列の121cmのピアノと比べると、かなりコンパクト。
▲インテリアになじみやすい木目調のピアノも人気。
▲グランドピアノも、サイズ、デザイン、機能など様々なタイプから選べる。
ピアノ購入前の、最初のチェックポイント | |
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(アップライトの場合) |
スタンダードな高さ121cmのほか、131cm、コンパクトな113cm程度のタイプもある。サイズによって弦の長さも変わり、一般的には弦が長いほうが音の響きが良いとされているが、昨今の住宅事情からコンパクトなタイプも人気。また、ピアノの置き場所はもちろん、玄関やエレベーター、室内への搬入経路を考慮の上、サイズを選ぶと安心。 |
集合住宅などの住環境や、夜間の練習など、音漏れを気にせずピアノを楽しみたいなら、消音機能付きのピアノも選択肢に。もともと消音機能があるピアノから、中古ピアノのリニューアル時に消音機能設置サービスを行う販売店も。 | |
ピアノの状態や、販売店の設定も異なるため一概には言えないが、新品価格の半分前後が多いよう。頻度や目的などを踏まえて、あらかじめ概ねの予算を立てておこう。 | |
ピアノの本体は黒いタイプ、木目調タイプが主流。また、鍵盤蓋や足、譜面台といったパーツにデザイン性がプラスされているタイプも。ピアノは存在感がある楽器なので、お気に入りのデザインであることもチェックポイントに入れてみては。 |
ここでは、中古ピアノの買取り・販売を行う「富士楽器」にご協力いただき、買取った中古ピアノを販売する前にどんな調整を行っているのか、また中古ピアノ購入時にチェックすべきポイントなどを、富士楽器でピアノ調律師/ピアノコンサルタントとして勤務する小島呈慈さんに伺ってみた。
それではチェックすべきポイントの詳細を見て行こう。まずは外装や鍵盤といった、外からでも分かる部分のチェックポイントがこちら。
CHECK1:外装
黒いピアノは比較的きれいに補修することが可能。目立つ傷などがないかを確認してみて。
CHECK2:響版
音を響かせる重要な板で、アップライトは背面、グランドは弦の下にある。この板にひびや割れなどのダメージがあると楽器として致命的。必ずチェックを。
CHECK3:鍵盤
鍵盤の高さがそろっているか、鍵盤に指を置き、横に揺らしたときに大幅にブレないかをチェック。
CHECK4:ペダル
ペダルを踏んだときにガタつきがないか、サスティンがきちんと機能しているか確認。
CHECK5:弾き心地・音色
ピアノを楽しむために、欠かせないポイント。ピアノによって異なるので、好みの音色やタッチのものを探そう。
CHECK6:消音機能
必要な人は、消音機能があるかも確認を。オプションで後付けできるモデルもあるので、販売店に聞いてみよう。
消音機能とは?
周囲への音漏れを配慮して、電子ピアノを選ぶ人も多いかもしれない。けれど、実はアコースティックピアノにも消音機能を付けることが可能。アコースティックピアノならではのタッチや音色はそのままに、音量調整などの便利な機能を備えた“一石二鳥”なピアノとあって、近年人気が高まっている。高さが120cm以上のアップライトピアノのほとんどに取り付けることができ、さらにはグランドピアノにも取り付けが可能(取り付け可能な機種や取り付け費用は店舗まで)。ここではその仕組みをちょっとだけ覗いてみよう。
普段は見えない部分だからこそ、購入前にしっかりチェックしておきたい。蓋を開けて見せてもらい、自分の目でもチェックを。わかりづらい部分はスタッフに確認しよう。
CHECK1:繊維材
ピアノには、さまざまなところにフェルトやクロスといった繊維材が使用されている。この部分が処理、あるいは交換されているか、販売店に確認して。自分の目でも繊維部分が摩耗していないか、キレイな状態かをチェックできるとベスト。
CHECK2:弦・金属部分
弦や、金属部分のサビや汚れが取り除かれているかチェック。
CHECK3:品番・調律履歴
国産ピアノには、内部に品番、製造番号が印字されているので念のためチェックを。また、調律履歴カードを見るとこれまでのメンテナンス状況がわかるので、確認しておこう。
最近では中古ピアノをネットで購入する人も増加傾向。楽器という性質上、できれば自分の手で確かめてからの購入がベストではあるものの、販売店が遠方であったり、お目当てのモデルがあるなどの場合は利用するのも手。また、ネット上に公開されたピアノの情報をもとに、ある程度自分の要望に沿ったピアノを事前にしぼり込んでおくという使い方も便利。動画などで音色やピアノのコンディションを公開している販売店もあるので、ぜひチェックしてみては。
せっかくコンディションの良いピアノを手にしたなら、その後も適切にケアして長い間楽しみたいもの。
ピアノのケアとして欠かせないのが調律。ピアノは繊細な楽器なので、わずかな移動や環境の変化にも左右されやすい。搬入後は、環境になじんだ1ヵ月前後を目安に調律をしよう。その後は年に1度を目安に調律するのが望ましい。購入後の調律までサポートする販売店もあるので、確認してみよう。
また、じめじめしていたり、逆にのどがカラカラになったりと、人が不快だと感じる環境はピアノも苦手。トラブルの原因にもなるので、できるだけ人が快適だと感じる環境に置けることがおすすめ。加湿乾燥アイテムなどを上手に利用して、ピアノにとっても居心地が良い環境を整えよう。
Part 2:中古ピアノ販売のプロが選び方を指南!「富士楽器」潜入レポート >>>