ギター・マガジン創刊:1980年12月号~1989年
司会:ギター・マガジン25周年ということで、おめでとうございます。
25年というと、音楽シーンにも色々な変革があったのではないかと思いますが、今回はギター・マガジン創刊号から現在にいたるまでの表紙をみながら、ギター・マガジンの表紙について語っていっていただきましょう。
まずは記念すべき創刊号ですが…。
変酋長:創刊号については、なぜ日本人が表紙なのかっていうのが不思議で。
当時はヴァン・ヘイレンもいただろうし、ジェフ・ベックもいたはずで、洋楽でいくのがセオリーだと思うんですよ。
その当時のことを考えると、香津美さんは80年に「トチカ」っていうアルバムを出していて、コマーシャルで「ユニコーン」っていう曲が使われたんだけど、すごいいい曲で結構流れたんですよ。
それまで玄人受けするジャズギタリストだった渡辺香津美をお茶の間に引き出したんです。それで香津美さんのファンになった人は多かったんだと思うんですけど、あの当時で10万枚以上売れたらしくて、フュージョンのアルバムでそんなに売れるのって画期的だったんですよね。その流れで、当時は人気が高かったからでしょうね。
実は香津美さんに創刊号の表紙になったことのいきさつについて訊いたことがあるんですけど、香津美さん「う~ん、おぼえてないんだよね~」って(笑)。それで次に創刊時のスタッフに訊いてみたんだけど、ギター・マガジンは後発だったから他誌とは違ったものにしなくてはならないという前提があって、当時渡辺香津美人気があったということと、フュージョンが盛り上がっていたということから、編集部内では全然悩まずに自然に決まったそうなんです。だから当時盛り上がってきたフュージョン層に訴えかけていたんでしょうね。それで最初から好スタートを切れたんじゃないかな、と。 他誌は最初からロック系で、ジャズやフュージョンは扱っていなかったから、なにか変わったモノを目指して創刊されたんだな、ということが当時のスタッフの話を聞いて分かりました。
司会:なるほど。創刊号の表紙にはそういう背景が隠されていたのですねぇ。
変酋長:でも、そこから続いて行っていきなり次の号でジェフベックになってるんだよね(笑)
その次の流れを見て行くと、次がアルディメオラで、ジャズ/フュージョン寄りでしょう?
で、その次が高中さんで、当時高中さんはレコードの売り上げ枚数で言ったら最高だったんだよ。
ソロのギタリストの売り上げでね。
ブルーラグーンとかさ、高中さんが絶頂期の頃だから。で、当然の流れで表紙になっているんだよね。きっと。
で、その後、ルカサーでしょ?これまた、TOTOが当時有名だったし、LAフュージョンというかさ、LAのAORっていうのは人気あったよね。西海岸っていうのがひとつの鍵なんじゃないかと思うんだけど。
副編:こうして創刊号から81年の1年間を振り返ると、振り幅が広いですね。
変酋長:ルカサーの次がリッチー・ブラックモア、ジョー・ウォルシュ、ヴァン・ヘイレン…。
LAフュージョン、LA AOR、LAメタルという流れで来ているね。
そうかと思えば、次はニール・ショーン、マイケル・シェンカー…。ほんと、振り幅が広い(笑)
ギター・マガジンのジャンルを問わない編集方針、そういった傾向はこの時点で確立されているね。
リスナーではなくて、プレイヤーのための雑誌という方針がね。
司会:こうして表紙だけみると、25年前も今もギターはあまり変わりませんね。
変酋長:そうだよね。ギターはあまり変わってないね。アンプとかエフェクターは結構変わってるんだろうけど。
司会:ところで1983年8月号、これはスティング?表紙がベーシストですか?
変酋長:当時はベーシストも扱ってたんですよ。84年4月号の表紙は桜井さん(カシオペア)で、これもベーシストですね。
副編:84年からデザインが変わってますね。
変酋長:あ、ほんとだ。年度が変わったから気分転換に変えたのかも(笑)
6月号はイングヴェイですね。アルカトラスの頃かな?
当時、ベストヒットUSAでしょっちゅう見たなぁ。ギターうまいなぁと思ったよ(笑)
副編:で、この号、「オジー.オズボーンをささえた4人のギタリスト」っていう特集やってますね。
変酋長:ホントだ!これからやろうと思ってたのに!(笑)もうやってたんだ(笑)
司会:先取りしていたわけですね(笑)
10月号、これはスティーブ・モーズですか?
変酋長:当時人気あったんですよ。当時僕は学生だったんですけど、渋谷のLive Innにライブ観に行きました。すごいかっこよかったなぁ。
こういう、スティーブ・モーズみたいなマニアックなギタリストを取り上げるから、ギター・マガジンはいいんだって周りの連中は言ってましたね。
副編:この頃はテクニック至上主義で、ノウハウとかの記事はやりやすかったでしょうね。
変酋長:そうでしょうね。速く弾こう!速く弾こう!で。スイープだけでも企画ができてしまうような、そんな時代でしたねぇ。
司会:85年9月号のジェフ・ベックが持ってるギターはそんな時代を感じさせますね。
副編:これ、シャーベルかな?確か、これ、ティナ・ターナーのサインが入ってるんですよ。手描きで。
変酋長:ティナ・ターナー?(笑)
副編:ティナ本人に書かれたそうですよ。この号のインタビューに書いてました。
変酋長:よく覚えてるな~(笑)
司会:89年1月号はトレーシー・ガンズですね。まだこの頃LAメタル人気があったんですね。
変酋長:かっこよかったんですよ!LAガンズ!渋公でライブやった時に、トレーシー・ガンズにインタビューに行きました。懐かしいなぁ~。