リズム&ドラム・マガジン4月号・close up!:YAMAHA PHXの“響き” → Page 123

Chapter01 -Drummers Voice ~ 愛用ドラマー達が語るPHXサウンドの魅力!

まずは、実際にPHXシリーズを愛用している菅沼孝三則竹裕之島村英二の3人に登場していただき、そのサウンドの魅力をじっくりと語っていただいた。

菅沼孝三・写真

菅沼孝三

 PHXは開発段階からいろいろと試してきたんです。「メイプルとは違う素材で最高級のものを作る」と言われ、今の形に辿り着くまで、全部がカポールとか、ジャトバが入るまではマイナー・チェンジを何度も繰り返して改良や研究を重ねてきました。サウンドの印象は、これまでのヤマハになかった中低音の太いサウンドが出ています。なので体感音圧があり、叩いている時はCDを聴いてる時と同じような音域の広さを感じますね。

 PHXは低音、高音のドンシャリがある上に中低域のおいしい倍音の成分が豊富で、叩いていて本当に気持ちがいい。レコーディングにも使用しましたが、最高に音質が良く、音のツブ立ちがハッキリしていました。チップのアタックまでクリアに出るし、低音も高音も中低音も全然もぐらない。なおかつ音量もデカいけど、耳に痛い感じではないんです。僕の場合、ジャズをやった次の日にメタルをやったりすることもあるので、PHXはあらゆる場面で使える楽器だと思いますね。

 新しい機能ではYESS II に注目です。3点留めで安定感がありますね。叩き手にとってタムが揺れるのは打点がブレるからストレスになるんですけど、これならまったく問題ありません。また、新しいラグも横ブレがなく、カッチリと止まり安定しています。この2つの新しい機構が素材本来の良さを引き出しているんでしょう。最大限に“響き”が生かされた、ある意味究極のドラムだと思います。

PHOTO:Eiji Kikuchi(菊地英二)



▲1月のリズム&ドラム・マガジン・フェスティバルで初お披露目となった孝三のPHXセッティング。通常よりも薄い塗装を施したテキスチャード・フィニッシュのアッシュ・バージョンで、カラーはブラック・サンバーストをチョイス。サイズは、22"×18"BD(×2)、8"×7"TT、10"×8"TT、12"×9"TT、13"×10"TT、16"×15"FT、18"×16"FTという構成。タムはもちろんYESS IIを介してセットしている。フープ、ラグなどのパーツ類はすべてゴールド仕様。メイン・スネアはヤマハの菅沼孝三シグネチャー・モデル(14"×5.5"/カッパー)。左手側には、ヤマハの小口径のスティール・スネアを2台セット(左手側より10"×5.5"、12"×5.5"と並ぶ)。シンバルはすべてジルジャン。ドラマー左手側から、6"ジル・ベル、9.5"ジル・ベル、16"スウィッシュ、Zカスタム18"チャイナ、K14"ハイハット、Kカスタム16"ダーク・クラッシュ、同20"ミディアム・ライド、Aカスタム18"チャイナ、Kカスタム18"ダーク・クラッシュ、A12"スペシャル・レコーディング・ハイハット。サイド・スネアの横にピートエンゲルハートのシェード・ドラムを、右手側にはタンバリン&カウベルをそれぞれ配置。2バス、4タム、2フロアに多数のパーカッションを組み込んだ多点キットながら、ヤマハの最新ラック・システム、HEXRACKをうまく活用し、コンパクトにセットしているのが特徴的だ。また、ドラム・セットが変わったのと同時に足元のペダル類も一新。フット・ペダルは今年発表されたばかりのヤマハ最新モデルで、ダブル・チェーン仕様のFP9500C。ハイハット・スタンドも同じく最新モデルのHS1200Tを使用。

則竹裕之・写真

則竹裕之

 一昨年の6月、ヤマハの方から「極秘に開発しているドラム・セットがあるので、チェックしてもらえませんか?」と言われ、神保さんと浜松の工場で見せてもらったのがPHXだったんです。そのときに初めて叩いたのですが、明らかに次元の違う音でした。今までのものとは、鳴りの大きさが違う……大きさっていうのは、単純にボリュームではなく、世界観の大きさ(笑)。その感触は、ソリッドかつふくよかで、ミッド・ローまできちんと包み込んでくれるような、ヤマハ独特のものです。ダイナミクス・レンジがすごく広い。叩き方を変えなきゃいけないくらい、演奏していて“まだ、この先があるの?”って驚かされます(笑)。

 面白いことがあって、いつも大体のピッチを決めているんですけど、(PHXだと)フル・ショットしたときにいつもより低く聴こえるんです。つまり下の倍音が豊かなんでしょうね。奏法を上手にコントロールすれば、そのダイナミクスをフルに生かすことができると思います。また、非常に精度の高いチューニングができるのでヘッドの種類や表裏のバランスなどで音作りの可能性は無限にさえ思えます。

 PHXの登場で、バンド・サウンドにおいても化学反応が起きていくような予感がしています。例えば作曲者の書く曲想やアレンジだって変わってくるかもしれません。きっと良い形でバンドのボトムが出てくるんじゃないかと思います。


◀則竹のPHXは、サファイア・フェイドが美しいアッシュ・バージョンで、サイズは22"×18"BD、10"×8"TT、12"×9"TT、14"×13"FT、16"×15"FT。14"と16"のタムは、以前はホルダーでセットしていたが、音の流れを意識し、フロア・タムで使用。この他に13"TTを所有し、8"TTをオーダーしているとのこと。


島村英二・写真

島村英二

 PHXを一言で表現するなら“天下無双”!! とにかく素晴らしい。エッジの効いたソリッドな音から“鳴り”に不純物を感じないディープな音色など、どんな音でも造り出せる可能性を秘めていて、ジャンルに関係なくすべてのドラマーに愛されるドラムだと思いますね。


▶島村のPHXは、テキスチャーアンバー・サンバースト・カラーのアッシュ・バージョン。サイズは、22"×18"BD、10"×7"TT、12"×8"TT、14"×13"FT、16"×15"FTという構成。孝三、則竹両氏と同じく、パーツ類はゴールド仕様となっている。


続いてはリズム&ドラム・マガジン編集部による試奏レポート▶▶

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