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Whammyの魅力!〜 ピッチ・シフターの名機がいよいよ第5世代となって新登場!

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画期的な製品をリリースし続けるブランド・デジテックを代表する一台といえば、ワーミーであるといって間違いないだろう。1989年、世界に衝撃を与えたデビューから多くのアーティストの創作心を刺激し続け、歴史に残る名曲を生み出す翼端を担ってきた。そんなワーミーもいよいよ第5世代となって新登場した。今回はその最新機の試奏動画とともに、20年以上もブラッシュアップを続けながら、いまだに名機として君臨するワーミーの歴史を探っていこう。

〜ワーミーの魅力を探る〜
第5世代となって新登場した『Whammy』を動画で紹介!

▲新機能を加え第5世代となった、デジテック製品を代表するピッチ・シフターペダル『Whammy』。

 1989年、世界に衝撃を与えたワーミーペダルが、いよいよ第5世代となって新登場。今回は、コントロール部にトグルスイッチが追加され、CLASSICとCHORDSの切り替えが可能。CLASSIC側では従来同様のワーミー機能、CHORDS側ではこれまで対応が難しかった和音でのピッチシフティングが可能になった。しかも、プレイヤーサイドにとって非常に嬉しいポイントは、これまでリクエストが多かったトゥルーバイパス機能がついに搭載された点。ワーミーの機能は欲しいが繋いだ時の音痩せが……と悩んでいた人は、即買いだ。専用電源ではなくDC9V電源が使用可能になったことも嬉しいポイント。パワーサプライを使ってボードをすっきりとさせることができる。

最新ワーミー・ペダルのサウンドを動画でチェック!

 単音でのピッチ操作はこれまで通り、非常にスムーズかつ大胆に効く。似た機能を持つ製品は各社から出てきているが、このスムーズさは流石ワーミー!デチューン機能は従来通り、アルペジオなどここぞというところだけ踏み込んで、音像に深みを与えることができる。新しく搭載されたコード・スイッチを入れると、和音が実にキレイにシフトしていく。チューニングをしている途中の不快な音の揺れのようなものが、ない。この感覚は新鮮だ。何か新しい音楽、新しいリフを生み出せそうな、新しいサウンドである。

【Specifications】
●コントロール:エクスプレッション・ペダル、セレクター・ノブ、クラシック/コード・スイッチ ●入出力端子:インプット、アウトプット、MIDIインプット端子 ●電源:9VDC付属アダプター ●外形寸法:170(W)×196(D)×61(H)mm ●価格:34,650円

[試奏者PROFILE] 井戸沼尚也(いどぬま・なおや)
大学在学中から環境音楽系のスタジオ・ワークを中心に、プロとしてのキャリアをスタート。CM音楽制作等に携わりつつ、自己のバンド“Il Berlione”のギタリストとして海外で評価を得る。第2回ギター・マガジンチャンピオンシップ・準グランプリ受賞。現在はZubola funk Laboratoryでの演奏をメインに、ギター・プレイヤーとライター/エディターの2本立てで活動中。

 

〜ワーミーの魅力を探る〜
アーティストを魅了し続けるワーミーとは?

 印象的な塗装。ヘビーデューティーな筐体。そして、トレードマークのスウィープ・ペダル。DigiTech社の誇る、稀代のリアルタイム・ピッチベンド・エフェクト・ペダル…それがWhammy(ワーミー)だ。機能的な種別で言えば、‘ピッチシフター’のくくりになるが、それでもその独特の効果において、他の追随を許さない圧倒的独自性を備える孤高のペダル・ユニットとして、Whammyは発売より20年を経過した今でもなお、各方面から熱狂的な支持を受け続けている製品だ。

 通常のピッチシフターとは異なり、このWhammyというエフェクターは、設定した音階(1オクターブ上、3オクターブ下など)に対し、シフト効果を無段階でベンド(音程をなだらかに変化させる効果)できるという特性を持っている。まるで、トレモロ・アームをダイナミックにアップ、ダウンさせるかのようなピッチ・スウィープを容易に生み出し、さらには、ハーモニクスそのものを度数単位で振幅させることを可能にするなど、その音色は既存のピッチシフターとはかけ離れた唯一無二のサウンドを生む機器として、後継機や他ブランドのオマージュを含め今では『Whammy系』と呼ばれる一つのジャンルにまで成長を遂げている。

 名前の由来は『Whammy Bar』(「ワミー・バー」と読む。よって、海外ではWhammyも「ワーミー」ではなく「ワミー」と発音される)…つまり国内で言うところのトレモロ・アームの俗称から来ている。その恩恵を最も受けたのが、トレモロ・ユニットを持たないレス・ポール系ギタリスト達であったことは言うまでもない。彼らはWhammyを導入する事により、チョーキングやハンド・ビブラートでしか得ることのできなかったシフティング・プレイ(しかも上昇音階のみ)を、ギター本体の改造なしに、本物のアーム・プレイ並みに自由に、そして大胆に操る事ができるようになったのだ。それは、より表現豊かな新機能を搭載した近代的ギターに対し、バッキングにあまんじるしかなかったノン・トレモロ奏者に、オブリガードにおける対抗手段として全く新しいステージを与える結果となった事は言うまでもない。

 興味深いのは、その利用者がレス・ポール系ユーザーにとどまらず、トレモロ・ユニットを搭載したギターを持つプレイヤー達にも広がりを見せた事だ。当時、フロイト・ローズ全盛だったロック式トレモロがアーム・プレイ時のチューニングの狂いを抑制することは知られていたが、その弦交換やメンテナンスの困難さから一部のプレイヤーからは確実に敬遠されていたのをご存知だろうか。そんな彼らが、ギターのチューニングに一切干渉しない、完全ハードウェア依存のエフェクトによる擬似アーム効果に傾倒しない理由は無かった。ペダル一体型という利便性も相まって、Whammyという機器の存在はそうしてあらゆるユーザーに受け入れられていったのだ。

 そして、ピッチの可変幅を足元でコントロールできるという利点は、さらなる予想外の新奏法の発展を助長することとなる。アームを手で操作しなくて良いという事は、つまり弦を爪弾く側の手(右利き用ギターなら、右手)が自由になる事を意味する。具体的な例を挙げて言えば、ライトハンド、ピック・スクラッチなどの奏法時にも自由に有機的アーミング効果を加える事ができるようになるという事だ。もっと踏み込んでしまえば、指弾きや、既存のアーム・プレイ時に、さらなるピッチベンド効果を追加する事さえ可能になったという事でもあるわけだ。

 全く新しい発想による新世代のエフェクターとして、常に使用者達の叙情的プレイスタイルを未知のベクトルへとマネジメントし続ける存在、Whammy。それは、今日においても、なおプレイヤーの奏法そのものを根底から変えてしまいかねない恐るべき可能性を有した機器だ。その音質、機能、そして自由度…単なる飛び道具の枠を超え、「Whammy」という世界のただ一つのオリジナルとして、それは、この先もプレイヤー達の想像力を刺激してやまない絶対的指針として君臨し続けるだろう。

〜ワーミーの魅力を探る〜
最新第5世代までの歴代Whammyを紹介!

 連続可変ピッチ・エフェクトの金字塔「Whammy」の起源は、今より20年以上前にさかのぼる。’80年代も終盤、DigiTech社がリリースした1Uサイズの複合インテリジェント・ピッチシフター『iPS-33B』という機器が世間で注目を集めていた。当時、ピッチシフターはまだまだ高価な機材で、なかなか個人のギター・プレイヤーなどでは導入に踏み切れない高嶺の花であったのだが、iPS-33Bはオート・アルペジオ、1500msecを誇るロングディレイ、コーラスの他、歪みの中から高精度にシフトポジションを検出する機能や、基本的なハーモニック・スケールを全て網羅した使い勝手の良い機構を、当時のインテリジェント・ピッチシフターとしては信じられない程の安価で備えていた。だが、その中でもとりわけユーザーの熱い視線を集めていたのが、エクスプレッション・ペダルを利用した、かつて例のなかった‘無段階ピッチベンド機能’だ。まるでアームをぐわんぐわんとフロートさせるように自由に足下でピッチをコントロールする楽しさ、表現力の豊かさが話題となり、iPS-33Bは多くのプロ・ミュージシャンの機材に組み込まれるようになっていった。その独創的な機構を切り離し、コンシュマー用筐体としていち早くストンプ・ボックス市場に投入されたペダル型単体機、それこそがWhammyペダルなのだ。

Whammy (WH-1)

▲Whammy (WH-1)

 1989年に発売された、伝説のWhammy初代機。歴代のWhammyの中で最もコンパクトな外観を持つ。真っ赤に塗られたワーミー・カラーはその後(二代目を除いて)Whammyの特徴的な外観を表すトレードマークとなった。現代のピッチシフターでは有り得ない12bitDPSというローテクな機構だが、むしろそれが現行とは違う、暖かく野太い音質を生んでおり、今でも好んでこの筐体を求めるユーザーも少なくない。当時は珍しい9VAC駆動であった上、演奏中のモード切り替えが困難など、使い勝手の悪い仕様がたたって、わずか4年で製造が中止された。’97に限定で少数復刻された。

Whammy II (WP-2)

▲Whammy II (WP-2)

 通称“黒ワーミー”と呼ばれる、シリーズ唯一の漆黒のカラーを持つ筐体で有名。WH-1の弱点だったモード切り替えを、搭載したフットスイッチで行えるようにした機体。それにより操作性が格段に向上したが、稼働部の脆弱さが問題になったり、肝心のピッチ・コントロール関連の機能面でそれほど強化がなされなかったため、リリース数をのばす事無く生産が打ち切られた。

XP-100 (Whammy-Wah)

▲XP-100 (Whammy-Wah)

 通算3代目にして、マルチ・ペダル・エフェクターとしての機能を持たされたWhammy。ワーミーの他に、ワウ、オート・ワウ、ボリューム、ハーモナイザーなどを盛り込んだが、多機能ゆえに演算処理の限界が露呈。エフェクト効果におけるレイテンシーの遅さが問題視された。このシリーズは後にXP-200、XP-300、XP-400へと、Whammyとは別の進化をたどる事になる。色はくすんだ赤。

Bass Whammy

 Whammy IIとほぼ同じ筐体に、ブルーのカラーリングを施された通称“青ワーミー”。その名の通りベース専用機で、その可変域周波数帯もベースのものに合わされている。Whammy効果よりもむしろデチューン・モードに定評があり、好んで使用するベーシストが多数いた。しかし、これも処理速度の向上は図られず、リズム隊のベースにとっては致命的ともいえる反応の遅さにより、ループの中の飛び道具として活用される場面が多かった。

Whammy 4 (WH-4)

▲Whammy 4 (WH-4)

 原点回帰を目指し、初代のような単体機として復活した第四世代のWhammy。懐かしい赤い筐体が目を引く当機だが、その性能はただのWH-1復刻版にあらず、あらゆる方面から近代的にブラッシュアップされ蘇った全く新しいWhammyだ。筐体は頑強なスチール製になり、足の大きさに合わせた縦長のサイズに変更された。シャシーの拡大に伴いペダルそのものも大きくなり、よりスムーズなペダル・ベンディングが可能となるなど、操作性が格段に向上。『爆撃機サウンド』の代名詞ともなった3オクターブ・ダウン・プリセット“Dive Bomb”モードの追加や、Whammyのヘビー・ユーザーでもあるSteve Vaiの提案による外部コントロールMIDI-in搭載など、完全な実践向きモデルとして絶賛され、Whammyの地位を不動のものにした。20周年記念モデルの鏡面筐体の個体も限定数発売された。

Whammy DT

▲Whammy DT

 Whammy 4に、完全エフェクト依存の多機能ドロップ・チューニング・エフェクトをマッチングさせた脅威の機体。最高1オクターブまでのダウン/アップ・チューニングを可能にするドロップ・モードをに加え、踏んでる間だけハンマーオン/プルオフ奏法のような効果を得られるMomentaryスイッチも備え、ピッチベンド複合機としての完成度も高い。また、長年Whammyの懸案だった9VAC駆動を、通常のエフェクターと同等の9VDCに変更し、さらにバイパス時の音痩せを解消するトゥルー(ハードウェア)バイパス機構も選択できるなど、音質、性能両面において最高点に達した、歴代Whammyの集大成とも言うべき存在。

Whammy 5 (WH-5)

▲Whammy 5 (WH-5)

 初代を思わせるペダル内の抜き白文字が美しい、最新のWhammy単体機。今までのどの歴代機でも達成できなかった「完全和音対応」をついに果たした、新世代のピッチベンド・エフェクト・ユニットだ。高機能DSPによる精度の高いピッチ検出能力により、複数の音程を一瞬かつスムーズにシフトさせる事が可能。音圧そのものに揺らぎを与えるようなダイナミックな効果から、リフ・ワークにおける瞬時の味付けまで思いのまま。DTゆずりのトゥルー・バイパスと、DC駆動による機動力の高さが、現代の音楽シーンにおけるWhammyの存在価値をより一層主張してやまない、最高傑作。

 

〜ワーミーの魅力を探る〜
Whammy × 主要アーティスト/作品紹介!

 さすがロングセラーWhammyだけあって、愛用者も有名アーティストでひしめいている。その中で、わかりやすく独創的な効果を出すアーティストをピックアップ紹介。

Steve Vai

 Whammyの第一人者と言えばこの人と言えるくらい、その愛用ぶりは有名。初代からの愛好者で、その機能を知り尽くしている者にしか不可能な空間系とWhammyの幻想的な空間演出が絶品。‘KILL THE GUY WITH THE BALL’のオープニングの「イヤイヤ声」はトーキング・モジュレーターにあらず、すくいあげるようなワーミー効果と、ピークを意図的にずらしたアーミングで演出。‘TOUCHING TONGUES’のディレイを絡めた美しいハーモニック重奏は圧巻の一言。

Dimebag Darrell

 統制された歪み、残響、ハーモニクスをコントロールして超高音を放出する『ハーモニック・スクウィール』を得意とする彼もまた、Whammy使いとして名を馳せる奏者。寸分違わぬ正確なプレイの中に、独自のアームプレイとワーミー・サウンドを織り込み、地を這いずり回る轟音から天空を突き破る絶叫音まで多彩な効果を聴かせてくれる。‘BECOMING ’でのプレイが有名だが、ライブでのソロ弾きの際にもそのテクニックでWhammyと手動ハーモニクスの絶妙な入れ替え演出を見せつける。惜しい人を亡くしたものだ。

SUGIZO

 国内の若いギターキッズに支持される彼も、有名なWhammyの使い手。セッティングの中に“黒ワーミー”がある写真がよく公開されている。‘G.’で見せたような、ディレイを絡め、ピークにぶちぶちとした劣化を生む悶え苦しむような効果が得意。あえて素直には使わず、どこかからぶっ飛んでくるような出足と、糸を引くようなゆらめきを残す独特の後味が持ち味の、稀代のWhammy奏者の一人。