新進気鋭のエフェクター・ブランド、BearFoot。Mad Professorを手がけるビョーン・ジュールと、Donnerboxの創始者であるドン・ラスクによって生まれた米国のブランドである。高い完成度を誇る本ブランド製品の中から、歪みエフェクター4機種を集めた。MO'SOME TONEBENDERに加えてソロでも活躍中のギタリスト百々和宏のデモ演奏とともにレポートしていこう。
BearFootは、BJF Electronicsのビョーン・ジュールとDonnerBoxが手を組んで生まれた新しいブランドだ。BearFootのペダルは全てビョーン・ジュールによってデザインされ、高い完成度を保ちつつもロープライスを実現している。
今回、百々和宏に試してもらったのはBearFootの歪みエフェクター4機種。それぞれの個性を一通り確認した後に、各機種のデモ演奏を即興で披露してもらった。ムービーの後半では、百々にBearFootエフェクター全体の印象や、特徴的なイコライザーの感想、また、どんなプレイヤーにおすすめかなどを語ってもらったインタビューを収録しているので、最後までじっくりとご覧いただきたい。
[PROFILE] 百々和宏(もも・かずひろ)
3ピース・ロック・バンド、MO'SOME TONEBENDERのギター/ボーカリスト。オルタナや初期パンクなどのアグレッシブなサウンドを基調にしつつ、アルバムごとに表情を変える変幻自在の音楽性が特徴。近年は345(b/凛として時雨)、yukihiro(d/L'Arc〜en〜Ciel)との新バンドgeek sleep sheepのほか、今年からソロ活動も開始。4月にデビュー作『窓』を発表した。モーサムの最新作は『Strange Utopia Crazy Kitchen』
◎百々和宏 公式HP
◎MO'SOME TONEBENDER 公式HP
百々:アンプで歪ませたクランチの音って感じ。すごいナチュラルに歪みますね。僕だったら、クリーン・ブースターっぽい感じで使いたいです。Natureのノブは設定次第で中域がグッと持ち上がる感じがあって、中域を足したい人にお薦めかな。ドライブのつまみはちょっと独特で、ゼロとフルとでそんなに大きく歪みの幅が変わらないんですけど、だいたいどの位置にしてもナイスなトーンが出ます。しかし、このエフェクターはピッキングのニュアンスがものすごく出ますね。これをつないで右手の練習したいです(笑)。
Honey Bee OD / 価格:オープン・プライス(市場実勢価格31,290円前後)
原音をスポイルせず、サウンドにダイナミズムを与えることができるブースター/オーバードライブ。ピッキングの強弱に対して敏感に反応するのが最も大きな特性となる。また、通常のトーンつまみの位置にあるのは“Nature”というノブ。歪みの周波数レンジを調整する機能を持ち、特に中低域をコントロールできる。
[SPECIFICATIONS]
●コントロール:ボリューム、ドライブ、Nature●入出力端子:インプット、アウトプット●電源:センターマイナス9VDCアダプター、9V電池●外形寸法:58(W)×110(D)×44(H)mm●重量:約240g
百々:これはブースターというより単体で歪ませて使いたいですね。フルにすればけっこう派手に歪みますけど、どれだけゲインを上げても音ヌケが素晴らしいです。なんか、歪みの感じが全然いやらしくないんですよ。ミドルのつまみをグッと上げていくとなんか60年代っぽくて、ややブーミーな音になる感じもすごく好き。今回の4機種の中で一番気に入りましたね。僕のソロ活動でぜひ使ってみたいです。オーバードライブからかなり激しいディストーションまで出せるから、これ1台あればOKですね。
Sparkling Yellow Overdrive 1 / 価格:オープン・プライス(市場実勢価格32,550円前後)
ピッキングへの高い反応性を持ちながら、モデル名どおり、はじけるような歪みを目指したオーバードライブ/ディストーション。歪みの幅が非常に広く、ゲイン、ボリューム、ミドル、トレブルのつまみの調整次第でブースター~ハードロック向けディストーションまで対応できる。なお、よりラウドでコンプ感が強い“Sparkling Yellow Overdrive 2”も発売中。
[SPECIFICATIONS]
●コントロール:ボリューム、ドライブ、ミッド、トレブル●入出力端子:インプット、アウトプット●電源:センターマイナス9VDCアダプター、9V電池●外形寸法:58(W)×110(D)×44(H)mm●重量:約240g
百々:ムスタングで試奏したんですけど、ムスタングってペダルによってはハイが痛くなって、使えなくなっちゃうんですよね。トーンの作り方が難しいんですけど、これはもとの音色がちょっと暗めだから、ハイがきつくならなくていいですね。キャラ的にはこれが今回の中では一番メタルっぽいなと思ったんですけど、LAのような明るさはないというか。ちなみに、歪み具合はかなり激しいですけど、アルペジオを弾いても1弦の音がしっかり抜けてくるんですよ。やっぱこれもすごく完成度が高いペダルですね。
Dyna Red Dist / 価格:オープン・プライス(市場実勢価格31,290円前後)
プレキシ・マーシャルを思わせる歪みを実現したクラシックなディストーション・ペダル。トーンつまみはトレブルのみとなっており、デフォルトのややダークめな音色から高音域を細かく調整できる。また、DISTツマミと組み合わせることで、サステインのあるオルガンのようなリード・トーンを作り出せる。
[SPECIFICATIONS]
●コントロール:ボリューム、DIST、トレブル●入出力端子:インプット、アウトプット●電源:センターマイナス9VDCアダプター、9V電池●外形寸法:58(W)×110(D)×44(H)mm●重量:約230g
百々:Dyna Red Distよりワイルドな音が出ますね。全部フルにするとファズっぽくもなって、カッコいい音が出ますよ。かといって潰れた感じがなく、音ヌケはさすがにしっかりしてます。キャラクター的にはコンプ感が少しあるんですけど、なんか暴れる感じがしないというか。そこはやっぱ高いクオリティを維持しているなって印象でした。お薦めのセッティングと言ったら……オール10(笑)。ガツンと歪ませて使ってほしいです。だけど、音からは想像がつかないような扱いやすさがあるんで使いやすいんじゃないでしょうか。
Model H / 価格:オープン・プライス(市場実勢価格32,550円前後)
同社のペダルの中で最も骨太の音を出せるモデル。ハイワットをイメージしたようなディストーションを基本にしながら、ドライブつまみを上げればファズのようなダーティ・サウンドも実現できる。右に回すほどアンプの出力を大きくしたようなサウンドにできるトーンつまみもユニークだ。
[SPECIFICATIONS]
●コントロール:ボリューム、ドライブ、トーン●入出力端子:インプット、アウトプット●電源:センターマイナス8V~ 12VDCアダプター、9V電池●外形寸法:58(W)×110(D)×44(H)mm●重量:約240g