今回、高田氏に試してもらったのはPODシリーズ最新機種のHD500X。HD500の愛用者である高田氏に好みのサウンドを作ってもらい、その解説をお願いした。試奏環境は、ギターが普段から愛用しているというLine 6 James Tyler Variax JTV-59、ギター・アンプは通常、高田氏はLine 6 DT25 112を愛用しているが、今回はPOD HD500Xからライン出力されるトーンをそのままハイクオリティで再現できるよう、Line 6のパワードスピーカーStageSource L2mへダイレクトに接続している。それでは早速動画を見ていこう。
高田漣が語るHD500Xのここが凄い!
「リアルなアンプの種類/歪みの量に関係なく音量をコントロールできる!」
高田:1本目の動画では、ワウをかけてソウル風のバッキングを想定した音作りをしてみました。アンプはブラックフェイスのツイン・リバーブをモデリングしたHDアンプを使用して、ほんの少しリバーブをかけています。軽い歪みは、アンプのドライブを80%位に上げて作っています。
実際にツイン・リバーブを歪ませるにはかなり大音量を出す必要がありますが、HD500XとL2mの組み合わせなら音量のコントロールは自由自在です。
バンドの形態や会場の大きさなどの環境に合わせて、好きな音を好きな音量で演奏できるのはHD500Xの強みです。この音を自宅でも出せるわけですから、凄いですよね。
高田漣が語るHD500Xのここが凄い!
「コレクタブルな名機群をノイズレスで使えて、接続順も自由自在!」
高田:動画では続いてファズとワウをかけてみました。実機のワウもファズも凝りだすときりがないんですが、僕はHD500を使うようになってからはこればっかりです(笑)。もちろんこのHD500Xも、HD500の良いところはそのままですから、すぐに同じように使えました。
例えば、実機のファズとワウならどちらを先に繋ぐかで音が変わったりノイズが増えたりしますが、これは接続順を自由に入れ替えることが出来ますから、そんな心配がないのがいいですね。ワウだけも「FASEL(フェイゼル)」「COLORFUL(カラフル)」などマニアックに選べるもの嬉しいところ。実機でこれだけ揃えたら、総額いくらになるかわかりませんから!
高田漣が語るHD500Xのここが凄い!
「現場の環境に合わせた設定ができる!」
高田:続いてのサウンドは、フィルターにワウを絡めたものです。無機質になりがちなフィルターもこうやってワウを絡めると、ぐっと表情が出てきますよね。
こういう好みのサウンドを作ったら、僕の場合はバンクを「現場」毎で分けています。現場によって、ペダルスティールを何本、ギターを何本というように多くの楽器を使っています。それぞれに合う、好きなアンプとエフェクトのサウンドをHD500で用意しておいて、モニターの環境によって、イヤ・モニならラインで出したり、通常のモニターならアンプ(Line 6 DT25 112)で鳴らしたりしています。
もちろん、同じことがこのHD500Xでも出来ますし、むしろ、こちらの方が使いやすいですね。僕が慣れてきただけなのかな(笑)。
高田漣が語るHD500Xのここが凄い!
「Variaxとの組み合わせで実機と変わらないリアル・サウンドを出せる!」
高田:続いての動画の冒頭では、テレキャスターをデラックスに繋いだ音を再現しています。画面上ではギターはJames Tyler Variax JTV-59が1本ですから、見ている方は“こんなにリアルな音が、こんなにいろいろ出せるのか”と驚くかもしれませんね。
テレキャスターやストラトキャスターは大好きな楽器なのですが、特にレコーディングの現場ではシングルコイル特有のノイズの問題に悩まされます。動画ではコンプレッサーもかけていますが、ノイズが非常に少ないですよね。VariaxとHD500Xの組み合わせで、実機と変わらないリアルなサウンドが、ノイズレスで出せるのが嬉しいところです。
動画の後半では、アコースティック・ギターやリッケンバッカーの12弦のモデリング、それとフルアコ系のモデリング・サウンドも登場しますが、どれもピッチの調整等が難しい楽器です。それが正確なピッチで、リアルなサウンドで出てきますから、本当に凄いですよ。
高田漣が語るHD500Xのここが凄い!
「より解像度が上がったエフェクト・サウンドと、より自由になった組み合わせ!」
高田:ロータリー系のサウンドの揺れ方も、非常にリアルですよね。自分のアルバム『アンサンブル』や映画音楽のサウンドトラックでも、非常によく使っています。
元々Line 6のストンプボックスが出た時にそのサウンドの良さに驚いたのですが、今はさらに音の解像度が上がった感じがします。ディレイなんかでも、原音の良さを残しつつ、キレイにかかりますよ。
それから、以前のHD500だとピッチシフター系のサウンドを使うとDSPのパワーを消費してしまうので、場合によっては他のエフェクターを掛けにくいこともありましたが、HD500Xではほぼ自由な組み合わせで使えますね。このワーミーの音のモデリングのリアルさも凄いレベルですよ。他社製品ではキレイになり過ぎているものも多いですが、これは完璧ですね。
高田:これがあれば、どんな音でも作れますよ。そしてそれを自宅から大会場まで環境に合わせた音量で再現できるのが素晴らしいですね。僕自身は、HD500とJames Tyler Variax JTV-59の組み合わせで、それまでの機材に関するいろいろな悩み、ノイズやピッチや故障や搬送の問題から解放されました。
例えば、アンプやエフェクトの実機では音量を変えることによって音色まで変わってしまいますが、HD500Xを使えば、そうしたストレスが完全になくなります。僕は、本来はビンテージ楽器好きなアナログな人間です。それに対してこのHD500Xは、見た目も含めてハイテクな印象があると思うんですが、実はアナログな人ほど、HD500Xの凄さがわかると思います。目をつぶって聴けばアナログの実機と区別がつかない程のモデリングの完成度の高さがわかるのは、アナログが大好きな人です。
そして音量や接続順によって音色が変わったりノイズが増えたりすることに苦労しているのも、アナログが好きな人ですから、そのストレスから解放される喜びも大きいはずです。とにかく、制作者がアナログ機材に愛情と敬意を持って作っていることがよくわかる、素晴らしいモデルです。
ポイント1:よりスムーズで視認性が高まったフットスイッチ
フットスイッチが頑丈になり、スイッチング・ノイズも軽減。スイッチ周りが光り、視認性もアップした。
ポイント2:野外ステージでもはっきり見えるディスプレイ!
ディスプレイのコントラストが強調され、暗い場所はもちろん、明るい場所での視認性もアップ!特に“明るい昼間の野外ステージでも見やすいのが嬉しい”と高田氏。
ポイント3:DSPのプロセッシング・パワー向上で同使用エフェクトの増加にも余裕で対応!
デジタル・シグナル・プロセッシングのパワーが大幅にアップ!これまで以上に多くのアンプ、エフェクトを同時に使用できる。
【POD HD500X 製品概要】
【TOP VIEW】
【BACK VIEW】
「アンプの色を付けない積極的な音作りができる!」
高田:非常に素直な音色ですし、モニタリングもしやすいです。良いスピーカーですね。
例えば打ち込み系の現場だと、アンプが持つ空気感がサウンドに馴染まない場合があるんです。家でヘッドフォンをしながら作ったサウンドに、アンプの色が付いてしまう。そういう時は、HD500Xからこのスピーカーにラインで出すシステムの方が馴染みそうです。アコースティック系の音色も、アンプの色が付かない分、こちらの方がいいかもしれません。
アンプの代用というよりは、モニター環境や使用機材に合わせて積極的に使ってみたいスピーカーですね。
【Stage Source L2m 製品概要】
・素晴らしいライブ・サウンドを生み出し、あらゆるライブのシチュエーションに対応できるSmart Speakerモード
・真のスケール性を実現するマルチ機能のモジュラー・アーキテクチャー
・L6 LINK™ 経由でデジタル・ネットワーキング
・バイアンプ800Wの2ウェイ・スピーカー・システム
・マルチバンド・フィードバック・サプレッション
・加速度センサー、ポールマウント・センサーを内蔵
・バックライン・モード時にスピーカー出力を上方へ向けるバーチャル・ティルトバック機能
・M10サスペンション・ポイントを装備するツアーグレードのプライウッド製エンクロージャー
・簡単に持ち運べるリトラクタブル・ハンドル
「実機と同じサウンドが、ノイズレスで出せる!」
高田:僕自身、これを使うようになってから、実はギターをよく買うようになりました。これのモデリングが本当によくできているので、どうしても実機と比べてみたくなるんですよ。だから、毎日、デジマートを見まくって、常に何台か欲しいモデルを登録している状態です(笑)。
で、実際にビンテージを手に入れたりしているんですけど、結局ノイズやピッチの正確さの問題で、レコーディングで使うのはJTV-59ということがあります。音だけを聴いていると、実機と分かりませんから。それくらい、本当によく出来ていると思いますよ。
先日発表されたVariax HDアップグレードではエレキの音を全部見直したようですが、フェンダー系の音なんかはより乾いた感じになって、さらに良くなっていますね。これで弾きやすいんですから、本当に文句なしです。
【James Tyler Variax JTV-59 製品概要】
・マホガニー・ボディ
・メイプルトップ
・624mmスケール
・TylerデザインPAFスタイル・アルニコ・ハムバッカー
・ストップテール・ブリッジ
「クリーンで大きな音が出せて移動も楽!非常に良く出来たアンプ」
高田:アナログ回路とモデリング技術が合体したアンプですが、単純に、非常に良いアンプだといえます。僕はペダルスティールも弾きますが、ペダルスティールはとにかくクリーンな音を出す必要があるんです。それを大音量で出せるアンプは限られていて、以前は大型のアンプを使っていましたが搬入・搬出に苦労しました。これはクリーンで大きな音が出せて、移動も楽。もちろんサウンドそのものも素晴らしいです。
音作りに関しては、僕は基本的にはHD500のモデリングでアンプの音を作って、DT25で補正する感じです。補正といってもマスターボリュームで調整する位ですね。HD500と切り離して考えても素晴らしいアンプですよ、これは。
【DT25 112 製品概要】
・チューブ・アンプのグールー、ラインホルド・ボグナー氏のデザインによるフレキシブルな真空管セクション
・チャンネル毎に瞬時に再構成可能
・動作クラスを選択可能(クラスAB/25W/固定バイアス または クラスA/10W/カソード・バイアス)
・パワー管モードを選択可(五極管/三極管)
・4種類のユニークなボイシング(負帰還ループ・トポロジーとHDプリアンプ及びトーン・スタック・モデリングとの組み合わせ)
・1x12AX7、2xEL84真空管
・カスタムCelestion® G12H90スピーカー
[PROFILE] 高田漣(たかだ・れん)
エレクトリック・ギター、アコースティック・ギターはもちろん、ペダル・スティール・ギター、ラップ・スティール・ギター、バンジョー、マンドリン、ウクレレなどを弾きこなすマルチ弦楽器プレイヤー。YMO、くるり、斉藤和義等、日本を代表するミュージシャン達から絶大な信頼を集め、そのステージやレコーディングをサポートする一方で、自身の音楽の追及にも余念がない。2013年、父であるフォークシンガーの高田渡氏の音楽をはじめ、自身のルーツと正面から向き合った6枚目のソロ・アルバム『アンサンブル』(SPEEDSTAR RECORDS/ビクター VICL-64037)を発売。
◎高田漣 Official Website
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