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Line 6 StageScape M20d

ビジュアル画面で簡単に扱えるスマート・ミキシング・システム。Line 6が開く新たなライブ・サウンドの世界!

Line 6 StageScape M20d:ビジュアル画面で簡単に扱えるスマート・ミキシング・システム

2012年1月のNAMMショーで、全く新しいコンセプトのライブ・サウンド製品として話題をさらったLine 6のデジタル・ミキサーとパワード・スピーカー。ここ日本でも、この夏の発売にあわせて製品発表会が行われ、その全貌が明らかになった。前回紹介したパワード・スピーカーに続き、今回はスマート・ミキシング・システム『StageScape M20d』の魅力を探ってみよう。

フェーダーがない!! 20inミキサー

StageScape M20d・正面

▲StageScape M20dの正面。ご覧の通りフェーダーがなく、7インチのタッチスクリーン上でほとんどの操作を行う。

 去る7月23日、東京・渋谷で行われた製品発表会では、Line 6 Japanマーケティング・マネージャーの松中康夫氏がスマート・ミキシング・システム『StageScape M20d』のプレゼンテーションを行った。

 それによると、同機はオートセンシング機能が付いたマイク/ライン入力×12、追加ライン入力×4、USBやSDカード等からデジタルストリーミングできるダイレクト入力×2、MP3プレイヤーなどのソースを統合するステレオ・ライン入力×2の、20inミキサー。これらの入力系統だけを見ても“今のミキサー”を感じさせるが、同機にはなんと、フェーダ―がない!!タッチスクリーンとロータリー・エンコーダーだけで、ビジュアルで感覚的にPAシステムをセットアップしていけるのだ。

 その驚きの内容を、発表会に合わせてLine 6米国本社より来日した副社長のサイモン・ジョーンズ氏の解説動画で見てみよう。

Line 6 StageScape M20d〜サイモン・ジョーンズ氏による製品機能説明

スマート・ミキシング・システム『StageScape M20d』

 『StageScape M20d』は、ライブ・サウンド向けに開発された世界初のスマート・ミキシング・システム。革新的なタッチスクリーン・ビジュアル・ミキシング環境により、従来はなかなかミュージシャンには扱えなかった複雑なライブ・サウンドのミックス方法がすっきりと体系化され、クリエイティブなことに集中したまま、素早くライブ・サウンドを作ることができる。

 ミュージシャンの演奏の場が、カフェやストリートなどPAシステムのない場所まで多様化してきている今、ライブ・サウンド全体をミュージシャン自身や、専門的なエンジニアリングの知識を持たない人でもしっかりコントロールできる同機が、大きな注目を集めることは間違いないだろう。それでは、スマート・ミキシング・システム『StageScape M20d』の機能を説明していこう。

タッチスクリーンでビジュアルミキシング

StageScape M20dの7インチ・タッチスクリーン

▲ステージにアイコンを配置し、視覚的に操作できる。

 『StageScape M20d』は、ノブやフェーダ―が並ぶかわりに、中央に7インチ・フルカラーのタッチスクリーン・インターフェイスを採用。マイクや楽器を入力端子へ接続すると、それが自動認識されてスクリーン上のステージにマイクやケーブルのアイコンが表示され、入力のタイプに応じたチャンネルが設定される。画面下に並ぶアイコンはプリセットになっており、ここから選択するだけで男性/女性ボーカル、ドラムキット、ギターなどに最適なセッティングが実現。ステージ上と同様の配置にしておけば、視覚的な操作が可能になる。

 分析的に作業を進めるのでなく、耳を使って素晴らしいボーカルや楽器のサウンドを簡単に実現できる。PAシステムの構築、操作に弱いミュージシャンにとって、非常に心強い味方だ。

全チャンネルにプロ・エフェクト搭載

各チャンネルにプロ・エフェクトを搭載

▲各チャンネルにプロ・エフェクトを搭載し、楽器毎の最適なトーンを演出。クイック・キャプチャーでサウンド・チェックの省力化も可能。

 『StageScape M20d』には、プロフェッショナルな楽器やボーカルのサウンドを実現するために必要なもの全てが、必要な場所に用意されている。入力しているソースに応じてプリセットを選ぶと、そのチャンネルには専用ダイナミクスやEQ、さらには各チャンネル向けにカスタマイズされたフル・パラメトリックEQやダイナミックEQ、フィルター、スタンダード&マルチバンド・コンプレッション、リミッター、ゲート、ディレイなどのエフェクト・プロセッサーなどが搭載されている。それぞれのエフェクトにはLine 6が培った技術が反映されており、その音質は折り紙つきだ。

 また、『StageScape M20d』はボタンを押すだけで、どの入力からも最長20秒を内蔵メモリーへレコーディングできる。このクイック・キャプチャー機能により、音決めのために何度もボーカリストや楽器奏者に演奏してもらう必要もなくなる。またUSBメモリーやSDカード、外付けUSBハード・ディスクを使えば、何と各トラックを独立させたマルチトラック・レコーディングがコンピューターなしに実現!

iPad®でリモートコントロール

iPad®でリモートコントロールが可能

▲会場のどこにいてもミックスが行えるという、夢のような環境が実現。写真上方がiPad®のスクリーン。

 日常生活において不可欠なものとなったモバイル機器をステージ上に持ち込み、『StageScape M20d』と接続することで、ステージ上のどこからでも、客席に向けたライブ・サウンドやモニターの返しを調整できるようになる

 1台もしくは複数台のiPad® ディバイスを(オプションのUSB Wi-Fiアダプター経由で)同時に接続することで、全てのミキサー機能をリモート・コントロール可能。パフォーマーが自分の立ち位置で、モニターを個別に調整することができる。

 従来のように客席でPAスタッフが扱う場合でも、PAブースに縛られず、客席のどこからでも操作が可能だ。カフェなどで活用する場合には、ミキサーはステージ袖にセットして、iPad®でカウンターに腰掛けてミキシングといった使い方ができるだろう。

L6 LINK経由のデジタル・ネットワーク

L6 LINK経由でStageSourceスピーカーと接続

▲システムをリンクするだけで、自動的にモニターやメインスピーカーを最適なセットアップに設定。写真はモニターを自動的に認識した様子。

 『StageScape M20d』はアナログのメイン&モニター出力を装備しているため、これまで同様に一般的なスピーカー・システムとも使用できるが、ここからL6 LINK経由でLine 6 パワード・スピーカー『StageSource』へ接続することで、スピーカー・システムがデジタル・ネットワークされた究極のセットアップが実現可能となる。

 この場合、『StageScape M20d』は自動的にモニターとして使われているスピーカーを認識し、モニター・フィードをルーティング。メインPAスピーカーも自動設定されてステレオ・シグナルが振り分けられ、スマート・スピーカー・モードの調整やシステム全体の最適化も行われる。また『StageScape M20d』は自動的にサブウーファーを認識してクロスオーバーを設定し、どのスピーカーがモニターとして使われているかを検出し、モニター・フィードをルーティング。このように、『StageScape M20d』と『StageSource』を接続すると、単にコンポーネントを組み合わせただけではなく、インテリジェントなライブ・システムとして機能し始めるのだ。

 従来のPAシステムの在り方を変えるスマート・ミキシング・システム『StageScape M20d』とLine 6のライブ・サウンド製品の魅力は、限られたスペースで語り尽くすことは難しい。より詳細なスペックについては、Line 6のHPでぜひ確認してみてほしい。