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Line 6 の製品は、POD を始め、たくさん使ってきました。アンプもVETTA とかけっこういろいろ弾いてきましたが、今回このDT50 を試して率直に感じたのは、もはやモデリングがどうこうという問題ではなく、使い勝手の良い、いろいろな音が出るギター・アンプになってきたなということです。個人的に、エレキ・ギターというものは、ギターとアンプが組み合わさって初めて成るものだと思っているんですが、このアンプはソロにしろ伴奏にしろ、曲の中で使った時にギターを光らせてくれるアンプだなと思いました。なおかつ、コンテンポラリーな使い勝手の良さも兼ね備えていますね。
【写真左】レコーディングで使用したギター。フェンダーのテレキャスター、1994スペシャル・エディション・モデル(左)、ギブソンの57リイシュー・レス・ポール・スタンダード(右)。レス・ポールはカスタム・ショップ製でレコーディングではメインで使用されるそうだ。 【写真右】マイクは写真のようにセッティングして行なった。SHUREの57を左右のスピーカー正面に、少し離した位置にノイマンのU87Aをセッティング。レコーディング:studioforesta
確かに、このアンプのモデリングは4つだけで、これまでのようにいろいろなタイプが含まれているわけではないですけど、その4つがすべて使える音だというところがすごいと思います。もちろん、これまでのモデルが使えない音だったというわけではないんですけど、やっぱり嗜好に左右される部分もありましたよね。それに比べて今回の4タイプは、EQ やゲインを工夫すればすべて使える音になるし、そういう意味でも良いギター・アンプだなと思いました。加えて、プリ部の回路方式やパワー部の真空管構成まで設定できますしね。真空管アンプは、当たりの時は最高に良い音が出せるんだけど、“もう少しこうなればいいのに”と思うこともあるんです。そういうところのスウィート・スポットを、より積極的に探せるっていうのはおもしろいですし、モデリングうんぬんを考えず、良いところをガンガン探せるっていうのは良いアンプだなと思います。セッティングはそのままで、たまたまアンプ・タイプを変えただけで良い音だったみたいなことも起こり得るんじゃないかな。
あと、アンプ本体、箱が鳴っているっていうのもあって、モデリングのアンプ・タイプを変えていっても、このアンプ自体の音を逸脱しないというのは、弾き手としてはありがたいですよ。実際、タイプを切り替えながら使うこともあると思うんですけど、そこであまりにもかけ離れた音になってしまうと作りもの感が出てしまう。良い意味で統一感があるのはいいと思います。 今回はセレッション製の12 インチ・スピーカーが2 タイプ入ったモデルで、もちろん厳密にどちらがどうというのかはわからないんですけど、結果としてすごく良い効果を生んでいたと思います。片方のビンテージ30 は僕も愛用しているスピーカーですけど、もうひとつのG12H90 と一緒に鳴っているからこそ奥行きとかも出ているのかなと思いました。
くり返しになりますけど、このDT50 というアンプに関しては、モデリング“も”されているという感じで、もうモデリング・アンプがどうこうという話ではないと思います。デジタルの利点は生かしつつ、真空管の良さも取り入れた良いアンプです。これまでLine 6のアンプをいろいろ使ってきましたけど、初めてそこまできたモデルだと思います。真空管アンプを使っている人がこれを使っても違和感はないでしょうね。そのぶんギミック的な機能は少なくなっていますけど、ギター・アンプとして優れた製品だと思います。
深沼 元昭プロフィール PLAGUESのボーカル&ギターとして94年デビュー。ソロ・プロジェクトであるMellowhead、近藤智洋(vo、g)らと結成したGheeeでの精力的な活動に加えて、多くのアーティストのプロデュースや楽曲提供で活躍。ギタリストとしても佐野元春や浅井健一とのレコーディング/ツアーなど、さまざまな方面で活躍ぶりを見せている、昨年、PLAGUESが再始動。復活ライブを完全収録したDVD「LIVE AT SHIBUYA CLUBQUATTRO "TOURS FOR FELLOWS2010"(amazon.co.jpで購入) 」が好評発売中だ!