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アメリカはカリフォルニア州カラバサス。ポップ・ミュージックの中心地であるロサンゼルスのダウンタウンからクルマでおよそ1時間。閑静な住宅地にLine 6本社は居を構えている。ここからは本邦初公開となるLine 6本社内部、さらにそこで見つけた歴代のギター・アンプ・シリーズを紹介していこう。写真とともにほかのブランドにはない個性的なアンプ・ヒストリーを感じていただきたい!
世界初のデジタル・モデリング・ギター・アンプとして96年に発表されたAxSys。
記念すべきLine 6の第1号のアンプだ。今でこそ当たり前になっているが、デジタル・シグナル・プロセッシング(DSP処理)によってビンテージの真空管アンプ・サウンドをシミュレートするというコンセプト自体が画期的であった。デジタル機器然としたグリーン・パネルのインパクトも強烈。マーシャル、ヴォックス、ローランドなどに加えて、スティーヴィー・レイ・ヴォーン、メタリカ、U2などのアーティストのシミュレート・サウンドもあり、さらにエフェクトも多数内蔵されていた。あまりに先を行き過ぎていたためか、保守派ギタリストにはなかなか受け入れられなかった。
世界中のギタリストの録音環境をガラリと変えた伝説の初代PODが世に登場したのが97年。そのイメージ・カラーである鮮やかな赤をパネルに配したFlextone。
国内では98年から本格的な登場となった。アンプ・モデリングは16種類、ディレイ、コーラス、フランジャー、トレモロなどのエフェクト群も充実。かなりの完成度を誇っていた。専用フロア・ボードでメモリー・プログラムを操作、ワウを使用することもできた。
後継機種Flextone IIではアンプ・モデリングが一気に倍の32種類となった。
キャビネット・モデルも16種類搭載。ウェブからプログラム・データをダウンロードできるなど、ギター・アンプらしからぬ最先端の機能が内蔵されていた。
特別なカバーリングが施されたFlextoneIIスペシャル・エディション。渋い!
02年に登場したVETTAはLine 6のモデリング・アンプの進化をさらに一歩推し進めたモデルであった。
29種類のアンプ・モデルにはマーシャル、フェンダー、メサ・ブギーなどの定番に加えて、スプロ、シルバートーン、ギブソンなどのビンテージ・アンプが用意されていて、よりギタリスト好みのトーンを追求できるようになっていた。内蔵エフェクターも豊富。特筆すべきはふたつのアンプ・サウンドをミックスして鳴らすことができた点。液晶ディスプレイとタッチ・ボタンはデジタルライクだが、操作性はシンプルだった。
レトロなルックスが印象的なDUOVERBが登場したのは03年。
その名のとおり2系統のアンプ・チャンネルを持っていることが特徴で、ふたつをブレンドしたり、ステレオで左右別々に出力することも可能だ。アンプ・モデルは16種類、ビンテージ・クラシックからモダン・ハイゲインまで幅広いサウンドが用意されていた。エフェクト類が内蔵されていないこともそれまでのラインナップとは異なるポイントだった。
Spiderシリーズの最新版となるIV。POD x3と同等のサウンド・エンジンが搭載されて、アーティスト・サウンド・プログラムも500種類に拡充された。
音質も格段にアップ! 現行モデルとして絶大な人気を誇っており、2008年、2009年とも、全米市場ではこのシリーズだけで他のどのメーカーのアンプよりも多く売れている。右端はSpider Valve HD100。
右下は07年に登場したSpider Valve 212。
このシリーズで、ラインホルド・ボグナーのチューブ・サウンド・ノウハウとSpiderのモデリング・テクノロジーが融合して、Line 6アンプ・サウンドはまたひとつ大きな進化を遂げた。現在はMkⅡに進化している。上と左側にあるのはボグナーのアルケミスト。
国内では99年に、Line 6 アンプ・シリーズの最高級ラインとして登場したAX2212。
搭載されたアンプ・モデリングは28種類、エフェクターは7タイプ27種類という充実ぶり。特にオーバードライブ/ディストーションは12種類も用意されていた。PODで好評だったスピーカー・キャビネットのモデリングを15種類内蔵、さまざまなキャビネットの箱鳴りまでも再現できるようになっていた。発売時の価格は198,000円。
上はモデリング・アンプを6種類に絞り込んで、ギタリスト視線でのシンプルな操作性に重点を置いた初期のSpider。
フランジャー、テープ・エコー、ピンポンなどのエフェクターも使いやすく、アンプ・モデルと組み合わせたサウンド・バリエーションの豊富さで、ビギナーから中級者まで多くのギタリストの注目を集めることになる。自分でクリエイトしたトーンを4つまでワンタッチでプリセットできる点も好評だった。下は後継機種のSpider II。サウンドのパワーアップもさることながら、PODをイメージさせる赤パネルから精悍なツヤ消しブラックになりイメージを一新、ヒット・アンプとなった。右写真の上はFlextone IIのヘッド・モデルであるHD、下は12インチ・スピーカー一発を搭載した50Wモデル、Spider 112。
右写真の上はFlextone IIのヘッド・モデルであるHD、下は12インチ・スピーカー一発を搭載した50Wモデル、Spider 112。
それまでのLine 6のイメージをガラリと覆すルックスのHD147。
03年に発表されたこのアンプは、徹底的にハイゲイン・サウンドにこだわった作りが特徴だった。ビンテージ8タイプ、モダン10タイプ、オリジナル14タイプの計32種類のモデリングに加えて、16タイプのキャビネット・モデル、ディレイ6、モジュレーション6、リバーブ3などのエフェクツも豊富であらゆる音作りに対応できるようになっていた。300Wステレオ出力というスペックも強力!
Flextone IIIの上に鎮座しているのは04年に登場したVETTA II HD。
VETTAをさらにパワーアップ、なんと73種類ものアンプ・モデリングを搭載。ストンプ・ボックス・エフェクツはフィルター/シンセ系を含む59種、ポスト・エフェクト59種と歴代最多の機能を盛り込んでいる。部屋鳴りやスタジオの空気感、残響などを再現するA.I.R.II機能など、デジタル技術の進化を見せつける豪華仕様だ。
全米で最も売れたギター・アンプというキャッチフレーズを決定的にしたSpider IIIシリーズ。
出力、サイズなど豊富なバリエーションから用途に合ったモデルを選べた。内蔵アンプ・モデルは12、エフェクトは10であるが、最大のポイントは400種類にもおよぶアーティスト・サウンド・プログラム。年代ごとに分けられた豊富なトーンにはそれぞれ“HOTELCAL”などのわかりやすい名前がつけられていて、そのものズバリの音を簡単に楽しむことができる。左から2台目の下側Spider Jamは100以上のバッキング・パターンを内蔵、ひとりセッションができるという仕様の現行機種だ。