ジャズ・ギターにお薦めのシールド・ケーブル4選
- 2024/12/04
Gibson Acoustic / HP665SB
今週の週刊ギブソンでは、2017年モデルとしてリリースされたギブソン・アコースティックの新機軸、HP(ハイ・パフォーマンス)シリーズの中から、J-165の流れを汲んだモデル、HP665SBをご紹介します。一度抱えたなら、小振りなボディならではのプレイアビリティの高さと、まるでディープ・ボディのような芳醇なサウンドにきっと驚くはずです。
このギターの最大の特徴のひとつは、薄く小さなボディにカッタウェイというスタイリッシュなボディ・シェイプにあります。3.5インチというボディ厚は、通常のこのスタイルのギターの厚さである4インチと数字の上ではほんの些細な違いに思われますが、実際に抱えてみると、腕の中にすっぽりと収まることにきっと誰もが驚かされるでしょう。
本器のキャッチコピーである“音に妥協しない小さなボディ・デザイン”を実現するべくボディ・トップ材にシトカ・スプルース、サイド&バックにはローズウッドを採用。弾きやすさを追求したショート・スケールのネックにはマホガニーが用いられ、これまでよりフラットな指板に仕上がっているので、低いポジションから高いポジションまで自在な運指を可能にしてくれます。“アドバンスト・レスポンス・ネック”と名づけられたこの仕様は、間違いなくプレイヤーのポテンシャルを最大限発揮する手助けとなるはずです。
また、L.R.バッグス製のトーン・コントロール付きアクティブ・ピックアップ、エレメントVTCが標準搭載されているので、ステージの大きさや環境に左右されないサウンド・メイキングが可能です。ライブでの即戦力としても使える嬉しい仕様ですね。
モンタナで1本1本丁寧に製作されている本器を、まずはフィンガースタイルで弾いてみると、歌心のあるミドルからハイにかけての音色の豊かさに心を奪われました。トラディショナルなブルース・スタイルでバチンと弦を強く弾いても、決して音がつぶれてしまうことはなく、力強さと甘さを兼ね備えた芯のある音がサウンドホールから飛び出してくるのです。
硬めのフラット・ピックでのストローク演奏では、これぞギブソンというビンテージのコンプレッサーを薄くかけたような、自分の演奏のグレードがいち段上がったような気持ちにさせられる音が響きます。小振りなボディとは思えない腹に伝わってくる低音のパーカッシブな振動は、まだ弾いたことのないフレーズへ辿り着くインスピレーションをあなたに与えてくれるでしょう。
優しく弾くと優しい音が、強く弾くと強い音が。この当たり前のようで、当たり前じゃないギターの本質。小振りなボディの中に大きなサウンドが閉じ込められた本器は、現代のスタンダードとなる1本と呼べるでしょう。
※次回の週刊ギブソン〜Weekly Gibsonは10月28日(金)を予定。
価格:¥271,000 (税別)
エバラ健太
えばら・けんた●1983年、東京都出身。地元と第2の故郷徳島を拠点に、全国各地を旅する弾き語りシンガー/ソングライター。作詞・作曲だけでなくアレンジ・録音・ミックスまでを自ら手がける。的確なギター・ワークと歌唱によるオーガニックなサウンドを、デジタルマシンで即興的に加工しながら情緒的に歌い上げるライブは、既存のジャンルにカテゴライズされない新しい音楽シーンの幕開けを予感させる。自身の活動の他、CM、TVなど、さまざまなレコーディングにも参加。Morris FingerPicking Contest 2015にて最優秀賞、オリジナルアレンジ賞を受賞。最新ソロ・アルバムは初のフィンガー・ピッキング・アルバムとなる『7』。