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- 2024/11/16
John Page Classic / The Ashburn
フェンダーカスタムショップを創立し、1998年まで総責任者を務めたジョン・ペイジ。彼が“トップクラスのビルダーによるギターを手軽に入手できるように”というコンセプトのもと立ち上げたJohn Page Classicは、その良質なサウンド・クオリティと演奏性によって高い評価を獲得している。今回は若手屈指の実力を持つ菰口雄矢を迎え、その実力をチェックしていこう。
1978年フェンダーに入社後、87年にフェンダーカスタムショップを創立し、98年まで総責任者を務めるなど、ギター・ビルダー界の伝説的人物であるジョン・ペイジ。その経験のすべてを注ぎ込み、自身の理想とするギターを求めて2006年に立ち上げたブランドが“John Page Guitars”だ。
今回紹介するのは、“良質なギターをより多くのギタリストに手に取ってもらいたい”という思いからスタートしたラインである“John Page Classic”。ジョンが選定した日本のファクトリーで生産されており、メイド・イン・ジャパンならではの精度の高い造りを実現。さらにプレイアビリティを向上させるために施されたヒールカット加工などのモダン・デザインによって、サウンド/演奏性ともに隙のないギターに仕上げられている。また、このシリーズのために作られた“BLOODLINE”ピックアップも要注目だ。
現在ラインナップされているのは“The Ashburn”、“The Ashburn HH”、“The AJ”の3モデルで、それぞれローズウッド/メイプル指板を選択可能だ。また、The Ashburnは7色、AJは4色と豊富なカラー・バリエーションも用意され、指板との組み合わせで自分好みのルックスを選ぶことができるのもうれしいポイントだろう。
ビンテージ・ライクなオリジナル・シェイプに12Rラジアス指板、プレートを使わないアンカー・ボルト・ジョイント、ヒールカットなど現代的スペックを取り入れたモデル。通常とは逆にスラントされたリア・ピックアップも見逃せない。
Specifications:
●ボディ:アルダー ●ネック:メイプル ●指板:メイプル or ローズウッド(写真)●フレット:22 ●スケール:25 1/2インチ ●ピックアップ:Bloodline by John Page JP-1×3 ●コントロール:ボリューム、トーン、5ウェイ・セレクター ●ペグ:ゴトー・スタガード・ビンテージ・スタイル ●ブリッジ:ゴトー510トレモロ ●カラー:ブラック・メタリック(写真)、ダフネ・ブルー、フィエスタ・レッド、インカ・シルバー、オリンピック・ホワイト、ショアライン・ゴールド、2トーン・サンバースト
“オール・ジャンルに対応できると思います”
アンプから音を出した瞬間に、ものすごくまとまったトーンでアウトプットされてくると感じました。ビンテージを狙ったギターって、良くも悪くも音がでこぼこするじゃないですか。でもこのギターはコンプをかけてるんじゃないか、っていうくらい各弦のバランスが良い。多少粗く弾いてもうまく聴こえると思います。ハイ・ポジションでの演奏性も高くて、普通のギターだと6弦の20フレットあたりってなかなか使えないんですが、このギターはそのポジションも余裕で活用できますね。
あと、全体的に音がタイトですよ。ローがボヤけないからドロップ・チューニングで歪ませたりしてもしっかり輪郭が出てくれる。場面を選ばずオール・ジャンルに対応できると思いますよ。そこはSTタイプらしい幅広さがありますね。
ゴトー製マグナムロック・ペグや2点支持ブリッジなど、アームを多用するロック・スタイルでの安定性を高めた1本。オリジナル・デザインのハムバッカーを搭載し、歪ませた際もしっかり“抜ける”サウンドを創出する。
Specifications:
●ボディ:アルダー ●ネック:メイプル ●指板:メイプル(写真)or ローズウッド ●フレット:22 ●スケール:25 1/2インチ ●ピックアップ:Bloodline by John Page JP-2 Humbucker×2 ●コントロール:ボリューム、トーン、3ウェイ・ピックアップ・セレクター ●ペグ:ゴトー・マグナムロック ●ブリッジ:ゴトー510トレモロ ●カラー:ブラック・メタリック、ダフネ・ブルー、フィエスタ・レッド、インカ・シルバー、オリンピック・ホワイト、ショアライン・ゴールド、2トーン・サンバースト(写真)
“歪ませた瞬間にガツンと化ける感じがしますね”
ボディが小ぶりで軽くて良いですね。カバードのハムバッカーなので、サウンド的にはジャジィな雰囲気があります。でもこもっているわけではなくて、フロントでもクリーンで使えるようなブライトさを持っていますね。ピックアップはビンテージ・テイストを感じる音ですが、いかにもPAFを狙いましたっていうわけではなく、どこか新しさを感じる独自のサウンドがあります。メイプル指板なのにミッドが豊かなのもおもしろいです。
歪ませるとめちゃめちゃ抜けの良い音がしますね。そういうギターってクリーンが使えない音になってしまうことも多いんですが、全然そんなことはない。歪ませた瞬間にガツンと化ける感じがしたので、これでロックを弾いたら最高に気持ちいいと思います。
TLスタイルのブリッジ構造、フロントにP-90スタイルのピックアップを搭載し、シンプルながら力強い音をアウトプットするThe AJ。Ashburnと同じくリア・ピックアップは通常と逆にスラントされ、巻き弦をよりブライトに鳴らすことができる。
Specifications:
●ボディ:アルダー ●ネック:メイプル ●指板:メイプル or ローズウッド(写真)●フレット:22 ●スケール:25 1/2インチ ●ピックアップ:Bloodline by John Page JP-3P P90(フロント)、Bloodline by John Page JP-3T Tele(リア)●コントロール:ボリューム、トーン、3ウェイ・トグルスイッチ ●ペグ:ゴトー・スタガード・ビンテージ・スタイル ●ブリッジ:JPビンテージTスタイル with リバース・ピックアップ ●カラー:ブラック・メタリック、2トーン・サンバースト、シーフォーム・グリーン(写真)、デザート・サンド
“コードを弾いた時の分離感が気持ちいいです”
基本的なキャラクターはTLタイプなんですが、ロー・ミッドの質感がもっと骨太な印象で、さらに万能に使えそうです。フロントのP-90も良いですね。センターでボリュームを絞ったジャキっとした感じとか、ポップスやR&Bの歌伴にはすごくマッチするんじゃないかな。ずっとクリーンで弾いていても楽しいです。
歪ませるとサステインがすごく長く、音の粒立ちが良いのでコードを弾いた時の分離感が気持ちいいです。速いパッセージを弾いてもスピード感が追従してくれる。あと、ボリュームを絞ってもハイが残ってくれるから、アンプのゲインを上げて手元のボリュームで歪みを調整した時にちゃんと抜けてくれるのも使いやすいですね。良いアンプがあれば、それだけで十分なトーンが作れそうです。
“確実に即戦力になると思います”
見た目はビンテージを思わせるようなノスタルジックなスタイルですが、実際に弾いてみると全然ビンテージにとらわれてなくて、より新しくて使いやすいものを目指してるんだなと感じました。今回の試奏はアンプ直で行なったんですが、直でこれだけ素晴らしい音が出せるので、エフェクターと組み合わせたらさらに音作りの幅が広がると思います。このアンプと相性が悪い、みたいなこともないでしょう。日本製で造りも丁寧なので、フレットが浮いたり、ネックがすごく動いたりっていう問題がない安心感もあります。この価格帯でこのクオリティはなかなかないですよ、確実に即戦力になると思います。
本記事はリットーミュージック刊『ギター・マガジン2016年9月号』の特集「John Page Classic 伝統とモダンの融合」を転載しています。
【ギター・マガジン2016年9月号 内容紹介】
表紙:ナショナル グレンウッド95
■Special Program
弾きたいビザール
“感染者”続出、その魅力を再考。
■Guitar Magazine × Fender
スペシャル・テレキャスター“マンハッタン”の実力をチェック!
■独占速報! Ken(L'Arc~en~Ciel)のニュー・ギター“Paisley Fantasy”を直撃!
■GM WORKSHOP
高田漣のスライド・シネマ・パラダイス
~ボトルネックで楽しむ映画音楽の世界
■The Axis’ Gear
◎BUMP OF CHICKEN
◎SEKAI NO OWARI
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価格:オープン
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菰口雄矢(こもぐち・ゆうや)
10代の頃より卓越した演奏技術で注目を集め、プロとしてのキャリアをスタート。08年にTRI-Offensiveでメジャー・デビューしたのち、11年にはTRIXに加入、14年にはソロ・アルバム『picture』をリリース。ギター界に多大な影響を与える新星だ。