AQUBE MUSIC PRODUCTS
- 2024/11/16
Epiphone 2016 Models
高品質でありながら手の届きやすい価格設定という抜群のコストパフォーマンスに定評があり、古くはザ・ビートルズのシンボリック・ブランドとして、さらにギブソン・ファミリー・ブランドとしてスラッシュやジョー・ボナマッサ、Tak Matsumoto、奥田民生など多くのトップ・プロも認めるエピフォン・ギター。ここでは同ブランドを代表するギター8本を、自他ともにレス・ポール狂と認めるギタリスト/作編曲家/ボカロPの164(イチロクヨン)が弾きまくり、改めてその実力を徹底チェックしていく。
使用アンプ・シミュレーター:FRACTAL AUDIO SYSTEMS Axe fxⅡ+1960A(キャビネット)
使用シールド:ギブソンInstrument Cable
ロック・ギターのアイコンであり、これぞスタンダードと言えるモデル、レス・ポール。Les Paul Plustop PROは、レス・ポールの基本的な仕様とサウンドをしっかりと押さえた上で、コイル・スプリッティング機能が付いたモデルだ。ピックアップにはProBucker-2(フロント)、ProBucker-3(リア)をマウント。それぞれコイル・スプリッティングができ、パワフルなハムバッカー・サウンドから明るく軽やかなスプリット・サウンドまで幅広く音作りができる。フレイム・メイプルを使用した豪華なルックスに加え、リーズナブルな価格も魅力的。サウンド、ルックス両面でレス・ポールの魅力を存分に堪能できる1本だ。
164’s Comment──僕にとっては“レス・ポールこそがギターの王者”
僕は普段からレス・ポールばかりを弾いていまして、これまでレス・ポールしか眼中にない人生を送ってきました(笑)。音、弾きやすさなどすべての面で“レス・ポールこそがギター”であり、“ギターの王者”という感じです。このギターはレス・ポールらしい太い音はもちろん、コイル・スプリットが付いていて、激歪みから非常に美しいクリーンまで出せるのが魅力ですね。このサウンドの幅広さは、ギターを1本しかライブに持っていけないような人にはすごくいいんじゃないでしょうか。
SPECIFICATIONS
■ボディ:AAAフレイム・メイプル・ベニア・トップ、マホガニー・バック ■ネック:マホガニー ■指板:ローズウッド ■ピックアップ:ProBucker-2 with coil-tapping(フロント)、ProBucker-3 with coil-tapping(リア) ■ブリッジ:Locktoneストップ・バー・テイルピース、チューン“オー”マティック・ブリッジ ■コントロール:2ボリューム(2コイル・スプリッティング)/2トーン/1トグル・スイッチ ■フィニッシュ:ハニーバースト、ヘリテイジ・チェリー・サンバースト(写真)、トランスブルー、ビンテージ・サンバースト、チェリー
価格:73,000円(税別)
ダブル・カッタウェイ・ボディと、マホガニー材+ハムバッカーのパワフルなサウンドが持ち味のSG。軽量で扱いやすいギターで、特に高音域の弾きやすさは抜群だ。このG-400 PROはSGらしいサウンドとルックス、そして弾きやすさを兼ね備えたモデル。本器に搭載されたAlnico Classic Proピックアップはコイル・スプリットが可能で、骨太なサウンドのみならず、軽快で明るいサウンドもお手のもの。このクラシカルなルックスとサウンドをリーズナブルな価格で手に入れることができる上、本来SGが持ち得ないサウンド・バリエーションの広さまで持っている、非常に高いバリューを持つ1本だ。
164’s Comment──これは1本持っておいたほうがいいでしょう!
ダブル・カッタウェイの見た目から想像できるとはいえ、とにかくこの高音域の弾きやすさには驚きました。フィンガリングする左手の親指が、スッとハイ・ポジションにまで入っていくことに感動しましたね。このG-400 PROはコイル・スプリット機能が付いていて、ハムバッカーらしいふくよかな音から、スプリットしたキレのあるクリーンまでイケます。それでいてこれだけプレイアビリティが高いんですから、ぜひ1本持っておきたいギターですね。
SPECIFICATIONS
■ボディ:マホガニー ■ネック:マホガニー ■指板:ローズウッド ■ピックアップ:エピフォンAlnico Classic Pro×2 ■ブリッジ:Locktoneストップ・バー・テイルピース、チューン“オー”マティック・ブリッジ ■コントロール:2ボリューム(2コイル・スプリッティング)/2トーン/1トグル・スイッチ ■フィニッシュ:チェリー(写真)、エボニー
価格:49,000円(税別)
Goth“1958”Explorerは、ボディ&ネック、そしてパーツ類まで黒で統一、ただでさえ目立つ変形シェイプにマットなピッチ・ブラック・フィニッシュが施され、圧倒的な存在感を持つギターに仕上げられている。サウンド面ではマホガニー・ボディとマホガニー・ネック、そしてAlnico Classicピックアップの組み合わせによるロー〜ミッドに張りのある太い音が特徴となる。また、本器のトーン部分には音を瞬間的にカットできるKill Potが搭載されており、早押しすることでマシンガンのような断続的なサウンドを作ることができる。メタル系の音楽に最適な仕様を持つモデルだ。
164’s Comment──このマットな感触、すごく好きですね
歪ませるとパワフルで、クリーンで弾けばふくよかな音ですね。エフェクターの乗りも良くて、コーラスなんかの空間系をかけてもすごくキレイです。あとは、このギターのマットなフィニッシュの感触が好きですね。ベタベタせずに心地良く演奏できます。それからこのギターの特色としては、やはりこのキル・ポットですね。トーン・ポットを押している間だけ音が切れる仕組みなんですけど(といってダ・ダ・ダ・ダと実演)、飛び道具的なワザとして使えます。重たい系・速い系のメタルをやりたい人、特にリード・ギターを弾きたい人にオススメしたいですね。
SPECIFICATIONS
■ボディ:マホガニー ■ネック:マホガニー ■指板:ローズウッド ■ピックアップ:Alnico Classic×2 ■ブリッジ:Locktoneストップ・バー・テイルピース、チューン“オー”マティック・ブリッジ ■コントロール:2ボリューム/1トーン(キル・ポット)/1トグル・スイッチ ■フィニッシュ:ピッチ・ブラック
価格:56,000円(税別)
Casinoはボディ内部にセンターブロックを持たない、いわゆるフル・アコースティック構造のモデル。ザ・ビートルズのジョン・レノンから新世代ギター・ヒーローのゲイリー・クラーク・ジュニアまで、多くのアーティストに愛される歴史的名器だ。そのサウンドはやはりアコースティカルな響きを持ち、特に歌のバッキングでは他のギターでは得難い個性を発揮する。また構造上、非常に軽量で弾き疲れしないため、特にギター/ボーカルに愛されるギターでもある。クリーン・トーンでのコード・ワークから、軽く歪ませてのリード・プレイまで、守備範囲も広い。エピフォンを代表する名器のひとつであり、ギタリストならぜひ一度は手に取って欲しいギター。
164’s Comment──アコギばりの生音のでかさに驚きました
家ではアコギをポロポロと弾くことが多いんですが、Casinoを弾いてみて「これでいいじゃん!」と思いました。このアコギばりの生音の大きさには改めて驚きましたね。それだけボディが鳴っているということですからね、弾いていて気持ちがいいです。アンプに通すとP-90らしいガッツのある音がします。P-90はシングルなんですけど出力が高くて、中域が太いのがいいですね。動画のオープニングでは結構歪ませましたけど問題なく使えましたし、もちろんクリーンもエア感があっていい音です。
SPECIFICATIONS
■ボディ:5プライ・メイプル(バスウッド・ブレイシング) ■ネック:マホガニー ■指板:ローズウッド ■ピックアップ:Epiphone P-90R(フロント)、Epiphone P-90T(リア) ■ブリッジ:トラピーズLocktoneテイルピース、チューン“オー”マティック・ブリッジ ■コントロール:2ボリューム/2トーン/1トグル・スイッチ ■フィニッシュ:チェリー、ナチュラル、ビンテージ・サンバースト(写真)
価格:85,000円(税別)
近年、大人気となっているカジノのダウンサイズ版が、このカジノ・クーペ。構造はカジノと同じフルアコ構造で、スケールも同じ24.75インチ。ただしボディのサイズだけが85%に縮小されている。サウンドはカジノと同様アコースティカルで、エア感を含むナチュラルなもの。生音もソリッドに比べれば驚くほど大きい。ただしボディ・サイズが影響して、極わずかだがカジノよりタイトで、ハウリングにも強い。軽量、小型で扱いやすく、ルックス的にも可愛いので、女性ギタリストには最適。また男性ギタリストでも部屋で手軽に弾けるギターとして重宝することは間違いない。
164’s Comment──ソリッドから持ち替えても違和感なし!
カジノと同じように、生音が大きいですよね。この鳴りの良さはカジノと共通する部分です。反対にカジノと異なる部分はローの出方ですね。ローが欲しい人はカジノを、取り回しを重視する人はカジノ・クーペを選べばいいんじゃないでしょうか。もちろん、見た目で選んでもいいと思います。それからこのギターは、やはり抱え心地が良くて、ソリッド・エレキから持ち替えても違和感がないのが良いと思います。ES-335などのセミアコとはエア感が違う印象ですね。
SPECIFICATIONS
■ボディ:5プライ・メイプル ■ネック:マホガニー ■指板:ローズウッド ■ピックアップ:Epiphone P-90R(フロント)、Epiphone P-90T(リア) ■ブリッジ:トラピーズLocktoneテイルピース、チューン“オー”マティック・ブリッジ ■コントロール:2ボリューム/2トーン/1トグル・スイッチ ■フィニッシュ:チェリー(写真)、ナチュラル、ビンテージ・サンバースト
価格:64,000円(税別)
シェラトンは、エピフォンで最も強い影響力を持つギターの1本。“シンライン”と呼ばれる薄いボディのセミ・アコースティック構造で、ES-335などと同じくセンターブロックを持つ。豪華なインレイ、ゴールド・パーツなどの豪華な仕様も魅力的で、ジョン・リー・フッカーのようなレジェンド・ブルースマンが好んで使った。そのサウンドは、カジノなどに比べるとその分タイトで、レス・ポールなどと比べると多くのエア感を含んだサウンドが特徴。また、本器にはコイル・スプリッティング機能が搭載されており、繊細なスプリット・サウンドをアウトプットすることも可能だ。
164’s Comment──ソリッドとフルアコのいいとこ取り!
これはボディ内部にセンターブロックを持つセミアコ構造なので当たり前ですけど、ソリッドとフルアコのいいとこ取りという印象ですね。結構深く歪ませてもイケるし、クリーンもいい。そのうえ、このSheraton-Ⅱ PROにはコイル・スプリット機能が付いていますので、スプリットせずにジャズっぽいコード弾き、スプリットしてチャキチャキしたカッティングもできます。ルックスもすごく豪華で、10万円を切る価格で入手出来るギターとはとても思えないですね。
SPECIFICATIONS
■ボディ:ラミネイテッド・メイプル ■ネック:5Pハード・メイプル/ウォルナット・ラミネイテッド ■指板:ローズウッド ■ピックアップ:ProBucker-2(フロント)、ProBucker-3(リア) ■ブリッジ:ストップ・バー・テイルピース、チューン“オー”マティック・ブリッジ ■コントロール:2ボリューム(コイル・スプリッティング)/2トーン/1トグル・スイッチ ■フィニッシュ:エボニー(写真)、ナチュラル、ビンテージ・サンバースト、ワインレッド
価格:99,000円(税別)
エピフォン・ソリッド・ギターの代表機種、コロネットをベースに、奥田民生のこだわりを詰め込んだシグネチャー・モデル。例えば、コロネットには存在しなかったフロント・ピックアップを搭載、フロントが“ソープバー”、リアが“ドッグイヤー”というふたつのP-90が面白い。また自然な揺らぎが楽しめるトレモトーン・ユニットを搭載している。銀狐の毛を連想させるシルバーフォックス・フィニッシュは、ボディのアフリカン・マホガニーの導管が見えるほど薄く、ニトロセルロース・ラッカーで仕上げられている。奥田民生ファンはもちろん、それ以外の方にも弾いてほしい個性派モデル。
164’s Comment──ボディが軽くて扱いやすく、トレモロも心地良い
僕はビブラート・ユニットの付いているギターを持っていないんですが、このギターのアームは飛び道具ではなく、普段使いで使えるというか……自然なかかりが心地良いですね。ネックは高音域までフィンガリングしやすいですし、ボディも小さくて弾きやすく、扱いやすいです。僕もそうですけど、自我の強いギタリストは“◯◯モデル”っていうシグネチャー・ギターは苦手という人もいると思うんですよ。でもこのギターは奥田民生さんのモデルであることを別にしても完成した個性を持っているので、純然とギター自体に惹かれる方も多いのではないでしょうか。
SPECIFICATIONS
■ボディ:1ピース アフリカン・マホガニー ■ネック:1ピース アフリカン・マホガニー ■指板:インディアン・ローズウッド ■ピックアップ:ギブソンUSA“ソープバー” P-90(フロント)、ギブソンUSA“ドッグイヤー” P-90(リア) ■ブリッジ:エピフォン・トレモトーン、チューン“オー”マティック・ブリッジ ■コントロール:2ボリューム/2トーン/1トグル・スイッチ ■フィニッシュ:シルバーフォックス
価格:260,000円(税別)
ビートルズの名曲「イエスタディ」の作曲/録音でポール・マッカートニーが使用したと言われている1964年製のテキサン。本器は、その1964年製を再現したモデルだ。価格はリーズナブルに抑えられているが、ボディ・トップにはソリッド・スプルースを、バックにはソリッド・マホガニーを採用し、アコースティック・ギターの心地良いレンジをきちんとまとめている。また、シャドーNanoFlexピックアップを内蔵し、ステージでの使用にも対応。単なるリイシューではなく現代における使い勝手についても配慮されている。ポール・マッカートニー・ファンにはもちろんマストだが、それ以外の「手の届く範囲の良いアコギが欲しい」人にもオススメしたい。
164’s Comment──きちんと整理された音が出ていますね
いやらしいところが出ずに、美味しいところだけが出ていますね。きちんと整理された音が出るギターだと思います。レンジが広過ぎるギターはアンサンブルの中で逆に埋もれてしまうんですが、こういう良いレンジ感を持っていると録音でも使いやすいでしょうね。ピックアップも搭載されているので、ステージでもすぐに使えると思います。ポール・マッカートニーの使用で有名ですけど、どんなプレイにも合いますので、オリジナリティを出したい人が手にしても良いアコギですね。
SPECIFICATIONS
■ボディ:ソリッド・スプルース・トップ、マホガニー・サイド、ソリッド・マホガニー・バック ■ネック:マホガニー ■指板:ローズウッド ■ピックアップ:シャドーNanoFlex ■ブリッジ:ローズウッド ■コントロール:シャドーSonic soundhole mounted system ■フィニッシュ:アンティーク・ナチュラル(写真)、ビンテージ・チェリーバースト
価格:56,000円(税別)
今日は8本ものエピフォン・ギターを弾かせてもらいましたが、どれも個性がはっきりあって、でもそれだけに特化したギターではなく「どれも幅広く使えるギターだなぁ」というのがトータルでの印象です。特に印象に残っているのは、カジノですね。生音のでかさにびっくりしました。これだけ鳴っていれば、アンプを通してもいい音するよなぁという感じです。
どのギターも弾きやすさ、サウンドの良さとも素晴らしかったんですが、すべて価格が抑えられていますよね。そのうえすべて対応力も広いギターだと思うので、ステージに何本もギターを持っていけない学生さんにはうってつけだと思います。エピフォンを1本持っていけば、十分ライブができますから。それから別に若い方だけが対象ではなく、この価格帯でこのクオリティというのは、普段ギブソンを使っているベテラン・ギタリストの方でも絶対満足するギターだなと感じました。
164
164(イチロクヨン)、山口県生まれ。プロデューサー/ギタリスト。2008年9月28日「shiningray」でボーカロイド・プロデューサーとしての活動を開始。2011年5月28日に公開した「天ノ弱」が大ヒット、ボーカロイド史上に残る名曲を生み出す(現在440万回再生を突破)。これまでに6枚のメジャー・アルバムをリリース。自らの音楽活動に加え、様々なアーティストへの楽曲提供なども積極的に行なっている。