楽器探しのアシスト・メディア デジマート・マガジン

  • 連載
  • 週刊ギブソン Weekly Gibson〜第90回

密着! ギブソン・ディーラー・ツアー〜ギブソン・カスタム/ハンドセレクト編

Gibson Memphis & Nashville Dealer Tour 2016 Pt.4

  • 取材・撮影・編集:デジマート編集部 取材協力:ギブソン・ジャパン 翻訳:坂本信 一部音源提供:Hotel Congress

ギブソン・ディーラー・ツアー・レポートも4回目。今回はいよいよギブソン・カスタム@ナッシュビルでのレス・ポール用メイプル・トップ、ならびに完成品の“ハンドセレクト”についてレポートしていきます! もはやお馴染みとなったハンド・セレクト・レス・ポール(≒ヒストリック・セレクト)は、約15年に及ぶギブソン社&日本ディーラーの信頼と協調の中で成熟した日本独自企画です。ディーラーの皆さんが現地でどのようにオーダーしているのか、また完成品を現地でピックアップする意義とは? その裏側を見ていきましょう。

このエントリーをはてなブックマークに追加

密着! ギブソン・ディーラー・ツアー〜ギブソン・カスタム/ナッシュビル編

※YouTubeの字幕掲出(日本語)をONにすると字幕が表れます

世界も注目する“最高級”レス・ポール

 ナッシュビル国際空港から車で10分程度、ダウンタウンへ向かう幹線からひとつはずれた閑静な地にギブソン・カスタム工場はあります。その偉大なるロック・アイコンの拠点が、わずかに離れたギブソンUSA工場とは比ぶべくもない小規模であることは、カスタム・ディヴィジョン発足以降かれこれ20年以上変わっていません。日本ギブソン・ディーラーが現地へ赴き、独自企画として完成品の選定購入や現地オーダー、木材選定オーダーが段階的に実現したのは今から遡ること約15年前。特に木材選定オーダー企画は大きく結実し、今や本国を含む欧米や中国を中心としたアジア市場でも注目の集まる“最高級モデル”として認知されるに至りました。なぜ独自企画たり得たのか? それはやはり日本特有の風土が関係していそうです。

Gibson Custom Factory外観

 ところで、“ハンドセレクト”について編集記者も少し誤解していたところがありました。現地に行ったディーラー担当さんが、自らの店舗独自モデルのためだけに木材選定をする、そう理解していました。これ、50点。もちろん、スペシャルな一品モデル(キルト・トップやコア・トップ、特別フィニッシュなど)は、木材選定後に各自それぞれでオーダーされています。ただしいわゆるヒストリック・セレクト・レス・ポールについては、ディーラーの垣根を超えて現地に入った担当者が全員で同じ目的を共有しながら、2,000〜3,000枚ものメイプル材のストックすべてに目を通し、約100枚程度に厳選。主にトム・マーフィー氏によるエイジド&バーストが施されたモデルを前提に、現地で話し合って絞り込んだ理想のレス・ポール数パターンを少量製作。それらを各ディーラーで分け合うというものでした。

木材ハンドセレクトの様子

 もっとわかりやすく言うと、ある担当者が「コレ最高!」と思って選んだトップ材を使用したモデルが、必ずしも選んだ本人/ディーラーに渡るというものではありません。ただし言い換えれば、同等クオリティのものが国内に数本流通するわけで、是即ち日本国内で有するギターのクオリティの底上げであり、カスタマー側は異なる“表情”を選ぶ楽しみが増えると解釈できます。

 前置きばかり長くなりますが、強調しておきたいことがもうひとつ。“海外出張”という甘味な響きから、ご褒美感たっぷりな仕事兼観光ツアーとお思いの方もいらっしゃるでしょう。否、ディーラーの皆さん、ナッシュビルでは工場とホテルの往復しかしていません。早朝に出勤し、工員の方がいなくなるまで選定する、恐るべきストイックな仕事ぶりでした。ええ、行きましたよ、私たち取材班だけは。ダウンタウンの風景が撮りたい〜!と駄々こねて。その撮れ高は第88回をご確認ください。 


Message From Rick Gembar(Gibson Custom General Manager)

 こんにちは。ギブソン・カスタム総責任者のリック・ゲンバーです。ここに務めて23年になります。日本のディーラーの方々は毎年4回ほどいらっしゃいますから、私にとっては家族のようなものです。皆さんには感謝してもし切れない思いです。カスタム・ショップを応援してくださって、ありがとうございます。


完成品のハンドセレクト

 今回、ギブソン・カスタムでのハンドセレクト作業は3日半をかけて行なわれました。まずはディーラーさんの1日の流れを振り返っておきましょう。午前中はミーティングとメイプル・トップ材ハンドセレクト、午後も木材選定を中心に、14時頃に完成品のハンドセレクトを挟み、夕方以降に当日の完成品を再びチェックするというもの。また合間を縫って、工場内の見学、トム・マーフィー氏によるフィニッシュ・デモンストレーション(別途特集予定)、現地でしか購入できないプロ・ショップ・モデル(アート・ギターと呼ばれるワンオフもの)視察なども行なわれています。

ミーティング・ルームの様子

アート・ギター「Bella Voce(美しい声)」をプレゼンするBruce Kunkel氏(Master Luthier)

現在製作中というキリマンジャロをモチーフにしたバック・レリーフ

アート・ギターを製作/ペイントするTravis Easterly氏(Paint Artist)

ロッキン西尾氏が持つのは龍をモチーフにしたアート・ギター、右はPhillip Whorton氏(Custom Crimson Manager)

Chateau Ethereal(天の城)」と名づけられたアート・ギターを持つイシバシ楽器在原氏

 完成品のハンドセレクトは、工場内の2箇所、ファクトリー内に特設された壁と完成したギターが運ばれてくるファイナル・アッセンブリー・エリアにて行なわれました。午前中に製作したモデルが14時頃に並び始め、夕方には当日完成したモデルがズラリ。各モデルには重量を含め細かいスペックが記されたシートが差し込まれ、ディーラーの皆さんは目的のモデルと合致するか、スペック、ギターの表情、重量、バランス感、生音と代わる代わるチェックしていきます。作業フローはギブソン・メンフィスのそれと同じですが、モデル・バリエーションの幅がかなり広いのがカスタム・ショップの特徴です。

ファクトリー内での完成品選定の様子

スペック・シートや表情をチェック

リストアップした製品と符合するかチェック

最終組み込みエリアでの完成品選定の様子

レス・ポールに混じってSGなども散見

真剣な眼差しで見定めていく

 ダブル・ホワイツの載った59リイシューやフレイム・メイプルが奢られたレス・ポール・カスタム、トゥルー・ヒストリックにはないレフト・ハンド用レス・ポール、スペシャル・ランのセミアコ、フライングV、そしてカラーもさまざまと、ただでさえ特別仕様のモデルの中から厳選に厳選を重ねてセレクトしていきます。完成品をピックするメリットについて、ハンドセレクト・ツアーのベテランである平野楽器 ロッキンの西尾唯史さんはこう言います。

「タイムリーな商品をいち早く入手できることももちろんですが、メイプル・トップ材選定では板の状態から選ぶため、削って仕上げた時に木目の感じが変わってきてしまい、予想していた仕上がりとズレる場合があります。完成品にはそういうズレがないですからね」

 ここからはディーラーの皆さんがハンドセレクトした一部モデルを紹介してもらいましょう。


True Historic 1959 Les Paul
クロサワ楽器 池袋店 本館/大塚圭介さん

 今回のツアーでは、2015年に登場し話題になったトゥルー・ヒストリックを中心に買い付けました。主に1959レス・ポール・モデルで、1957レス・ポール・カスタムなども軽量なものを測定し選定しています。やはり現地でせっかく選ぶわけですから、並んでいたものはすべて目を通しました。また、木材のハンドセレクトで当店用にオーダーしたモデルも主にトゥルー・ヒストリック・ベースで、巨匠トム・マーフィー氏のエイジド・モデルやバーストまでトム氏が行なっている最高峰モデルもオーダーしました。また、2016年より登場したスタンダード・ヒストリックの特別スペックとしてE-buckerを搭載したモデルもオーダーしています。


Les Paul Custom Figured Top
池部楽器店 リボレ秋葉原店/吉村敦さん

 今回はフレイム・メイプル・トップのレス・ポール・カスタムを目当てのひとつとしておりましたが、写真の個体は杢とカラーリングに心惹かれて選定いたしました(2/19現在、販売済み)。本器はバックにもはっきりとしたフレイムが出ております。この他にもスタンダード・ヒストリックなど多数選定いたしておりますので、ぜひ当店でお確かめください。また、今回のツアーで一番感銘を受けたのはディーラー同士が協力して材選定を行なうことでした。私は初めて参加させていただいたのですが、新参スタッフの問い掛けにも分け隔てなく材選定の要点を教えてくれたり、ひとつの目的にディーラー全体で取り組む姿勢はとても有意義であり、貴重な経験と価値観を得ることが出来ました。


1959 Les Paul Lightly Aged
イシバシ楽器 渋谷店/在原央顕さん

 ほど良くエイジドされたライトリー・エイジドの1959レス・ポールを選定しましたのでご紹介いたします。なんと言ってもダブル・ホワイツのピックアップが載っておりますし、トップのメイプルにもフレックが入った大変貴重なモデルかと思います(2/19現在、販売済み)。また、完成品としましては一品もののアート・ギターを含めさまざまセレクトいたしました。木材選定ではキルト・メイプル・トップのレス・ポールもオーダーしています。2〜3月にかけ店頭に並びますので、ぜひイシバシ楽器フラッグシップ店の渋谷までお越しください。


True Historic 1959 Les Paul
クロサワ楽器 G’CLUB TOKYO/村木克弥さん

 G’CLUB TOKYOのオススメは、こちらのトゥルー・ヒストリック1959レス・ポール・ビンテージ・ダークバーストです。非常にワイドなフレイムが入った、角度によってギラつく見応えのあるトップになっています。こちらのフィニッシュを見かける機会は少ないと感じていますので、探されている方も多いと思います。また、木材選定でのオーダー・モデルはマーフィー・エイジドが中心になります。デュアン・オールマン風、ジミー・ペイジ風などカラーリングもこだわっております。3月頃には店頭に到着すると思いますので、ぜひいらっしゃってください。


Standard Historic Reissue 1958 Les Paul
イシバシ楽器 心斎橋店/吉村章生さん

 今回選びましたこのモデルは、新ラインナップとなるスタンダード・ヒストリックの1958レス・ポール(2/19現在、販売済み)です。エボニー・フィニッシュとなっておりまして、2014年のヒスコレですとエボニー・フィニッシュ・モデルのバックはマホガニーのままでしたが、こちらはオール・ブラック/VOSでカッコ良く仕上げられています。同様にサンバースト仕様も数本選定しています。また、トム・マーフィー氏によるペイント&エイジドの1959レス・ポールには厳選に厳選を重ねた極上のメイプル材をピックする事が出来ました。ひと言で言うなら、“カッコいい59レス・ポール”をオーダーしましたので、2〜3月の当店入荷をご期待ください!


Standard Historic Reissue 1959 Les Paul
イシバシ楽器 名古屋栄店/藤田裕さん

 当店では、1959レス・ポール・リイシューを中心にセレクトしました。特にワイドではっきりとしたフレイムが入った個体を選んでいます。また木材選定しましたモデルにつきましては、スラッシュ風のカラーや仕様などこだわったオーダーもしています。その他にも1ピース材のメイプルを使用したスタンダード・ヒストリックのオーダーも行ない、2~3月から店頭に並びますので、ぜひ店頭でご覧になって下さい。


Standard Historic Reissue 1959 Les Paul
平野楽器 ロッキン/西尾唯史さん

 こちらは2014年の仕様のため現行のトゥルー・ヒストリックとは異なりますが、価格面、カラーリング、指板の色味、全体バランスなどを考慮して選定いたしました。この他に珍しいカラーリングの小振りなセミアコ、CS-356も数本、フレイムやキルトの美しいものを厳選してチョイスできたと思います。木材選定はマーフィー・バーストが前提になるのですが、今回はワイド・フレイムが中心になると思います。毎回2〜3企画ほど予定していまして、それに見合う木材があればオーダーしますし、なければ妥協せずにやめるといった形になります。2日目の時点ではまだ予定数の半分程度しか選定できていませんが、良いモデルをお届けできるよう注力いたします。


Historic Select 1957 Les Paul
JUNSEI GUITARS/鈴木潤生さん

 このツアーの最大の目的は木材のハンドセレクトですが、もちろん完成品も選ぶことができますのでいくつか当店でもチョイスしました。こちらはワンオフ・モデルで、ゴールド・プリズムという変わったフィニッシュです(2/19現在、販売済み)。ピックアップもフロントがオープン・ゼブラという珍しいスタイルになります。ワイド・フレイムのトゥルー・ヒストリック1959レス・ポールなどもセレクトしました。また、前回オーダーしましたレイズド・ロゴをヘッドに実装したワンオフ・レス・ポール(2/19現在、販売済み)の進捗も確認できましたね。こちらではバーストとは異なる新しいレス・ポールの魅力を提案したいと思っています。


Standard Historic Reissue 1958 Les Paul
ギタープラネット エレキ本館/井上陽介さん

 完成品はおもに1958レス・ポールを選定しています。その代表として、2014年スペックと同等のスタンダード・ヒストリック・モデル(2/19現在、販売済み)をご紹介します。オール・エボニーのVOS仕上げとなっており、ローズウッド指板の色味も非常に濃い、詰まったものになっています。この他にもやはり人気の2014年スペック、スタンダード・ヒストリックを中心にレモン・バーストやサンライズ・ティー・バーストなどをセレクトしましたので、店頭にてご確認ください。また、木材選定では同様にスタンダード・ヒストリック・シリーズの1958レス・ポールVOS グリーン・レモンをオーダーしましたが、今から完成が楽しみですね。


True Historic 1959 Les Paul
池部楽器店/永澤兵衛さん

 今回セレクトした中から、鮮やかなビンテージ・チェリーのトゥルー・ヒストリック1959レス・ポールを紹介します(2/19現在、販売済み)。杢がうねっていて全体にバランス良く出ていますので、まず目を惹いたモデルです。実際に持ってみますと軽量でして、そこもオススメですね。これ以外にもスタンダード・ヒストリックを数本セレクトしまして、全部で10数本、池部楽器各店に並びますので、どうぞご期待ください。また木材選定によるヒストリック・セレクトでは、池部楽器店としてはエイジド・モデルを含めて、1959と1958をできるだけ多くオーダーしたいと思っています。


Les Paul TATTERED
松木屋 Kagetsu Rock/岡崎修一さん

 Kagetsu Rockでは、珍しいフライングVのカスタムやトゥルー・ヒストリックの59レス・ポールなどをセレクトしましたが、ここではアート・ギターをゲットしましたのでご紹介します。ブラック・カバーのP-90×2を搭載するモデルで、「塗装がめくれてきたら鉄の骨組みが表れた」というストーリー仕立ての1本になります。1本限定ですのでぜひご検討ください。また、木材選定モデルとして、バリトラのレス・ポール・カスタムやキルトのレス・ポールをオーダーしましたので、こちらもご期待ください。


材のハンドセレクト

 高額なギターだからこそ、妥協しない。ディーラー各社によるそんな姿勢は、1週間もの期間を割く出張買い付けツアーの中でも特にこの木材選定に表れています。市場のニーズに敏感で、業界全体の底上げを意識する日本ディーラーだからこそ、コンペティターという枠を超え、組織的にオーダーするシステムが確立されたと言っていいでしょう。ギブソン社も多くの要望に柔軟に応え、ワンオフを含めたさまざまなモデルが実現できるようになりました。ギブソン・カスタムのヨーロッパと日本市場のセールス・サポートを務めるトム・ファール氏は言います。

「世界各国のディーラーがナッシュビル・ファクトリーを訪問し、買い付けていかれますが、日本のように多くのディーラーが協調して木材をチェックしたり、共同企画をオーダーするということはありません。日本ディーラーはどの国よりも先を行っていますし、必然的に優れたレス・ポールは日本へ渡ります。私たちも彼らから多くのことを学んでいます」

Thom Fowle氏(Gibson Custom Trade Channel Manager)

 木材選定の作業は、夏場は工場外のスペース、冬場は工場内の木材保管スペースを使って行なわれます。パレットに積み上げられたブックマッチ済みのメイプル材は、多い時で3,000枚を超えるとか。パレットは「R9」「R8」などモデル毎に粗選別されていて、まずは各自でチェックしていきます。そうして粗選定した材を、最終的に全員で再度チェックするという流れ。メイプル板材は1枚3kg前後あり、見た目よりもはるかに重労働です。3日間という時間をかけてなめるようにすべてをチェックしたのち、もう一度見直すこともあり、その徹底ぶりには驚かされました。トップは削り出すため予想した杢の状態から逸れることもしばしばで、最後は経験がものを言うのでしょう。こういった熱意が、日本ディーラー各店の壁に並ぶレス・ポールの質の高さに繋がっているわけですね。当たり前のように陳列されているそれらに見慣れた感覚に陥っていましたが、身を律する思いでした。

パレットに積まれたメイプル材をハンドセレクトする“現場”

全員で協調しながらきびきびとメイプル材を選定していく

板目杢にびっしりとフィギュアの入ったメイプル材(一次予選通過)

まずは個々それぞれの審美眼が光る

「R9」はReissue59の略で1959レス・ポール用材を指す

木材選定はまさしくディーラー間を超えた共同作業

 最後に、材のハンドセレクトについて、ディーラーの皆さんにも少しだけ振り返ってもらいましょう。

「ここは、日本市場の動向、ギブソンに関しての意見交換や新たな製作アイディアが生まれる大切な場だと感じます。また、他の日本ディーラー様と協調することにより、日本限定モデルや企画品が続々と世の中に出ています。今後引き続き協調することにより、日本のお客様により満足のいくギブソン製品をご案内できるかと思います」
(イシバシ楽器 渋谷店 在原央顕さん)

「限られた時間の中、公平に材を選定する事は困難なため、各社で協力して選定する事は合理的であると考えます。何と言っても各社を代表する選りすぐりのスタッフですから信頼しています!」
(クロサワ楽器 G’CLUB TOKYO 村木克弥さん)

「豊富なストック材から選ぶのでチームワークが大切ですし、実際、個々で選ぶのは難しいと思います。担当者や地域によって好む材の傾向がわかったり、良い刺激をもらっています。今回は最終日にエドウィン・ウィルソン氏のプライベート材が追加されました。ビンテージ・テイストのフレイムが交じったバーズアイで、1ピースのメイプル材も数枚ありました。今まではこのような材はなかったと思いますし、とても良いオーダーができましたね」
(ギタープラネット エレキ本館 井上陽介さん)

「毎回参加していますが、その時その時でカスタム側が企画している製品用のストック材を特別に使用できることがあります。コレクターズ・チョイス用の独特なフィギュアを持ったメイプル材が使用できる場合や、エドウィン・ウィルソン氏が別途ストックしていた素晴らしいトップ材を使用できる場合もあります。そのような突発的な出物に期待している部分も多くあります」
(平野楽器 ロッキン 西尾唯史さん)

「ディーラー同士で“協調する”と言うよりは、高額な製品を作るのだから妥協せず良い物を選定しようという“意識を共有する”という言い方が正しいと思います。“駄目な物は駄目”という意見も多く出ますね」
(池部楽器店 永澤兵衛さん)

 ちなみにメイプル材の選定にとどまらず、ボディ・バックのマホガニー材を選ぶこともあるそうです。「特に高額となるマーフィー・バーストであったり、一部のエイジド・モデルなどではマホガニーも選んでいます。やはり軽量なものが好まれる傾向にありますので、記入された数値を目安に選びます。一方で、マホガニーでも杢の出方がありますので、板目/柾目は分けてチェックしていますね」とはロッキン西尾さんの弁。

Tom Murphy(中央左/Vintage Expert)氏とEdwin Wilson(同右/Gibson Custom Historic Program Manager)氏が駆けつけて記念撮影

 日本のギブソン・ディーラーに並ぶハンドセレクト・レス・ポール(≒ヒストリック・セレクト)の質の高さを、改めて理解いただけたでしょうか。今回、セレクトした数々のレス・ポールはすでに参加ディーラーの各店舗/デジマート上に並び始めています。実器はぜひ各店でチェックしていただき、ツアーの裏話(?)などを担当さんに聞いてみてくださいね。週刊ギブソンでは引き続き、現地ギブソン・カスタム/USAでの取材の様子をお伝えしていきます。ぜひお楽しみに!


※次回の週刊ギブソン〜Weekly Gibsonは2月26日(金)を予定。

このエントリーをはてなブックマークに追加

製品情報

Gibson Custom Shop / Historic Select Les Paul

【問い合わせ】
ギブソン・ジャパン http://www.gibson.com/
デジマートでこの商品を探す

製品レビューREVIEW

製品ニュースPROUCTS